2017年の暮れ、12月26日~28日の島根大学での集中講義を終え、29日は島根半島の松江市美保関町にある美保神社と青石畳み通りに行ってきました。そこでは主に三つの石を見ることができます。
美保神社
青石畳み通り。雨に濡れた石畳がきれいです。
この地域は「国引きジオパーク」として日本ジオパークを目指していて、いたるところに幟やポスターが見られます。現在は「島根半島・宍道湖中海ジオパーク」に名前を変えていて、訪問する直前の22日に晴れて日本ジオパークに認定されました。
来待石(きまちいし)
美保神社に入ってすぐの大きな狛犬は嘉永3年(1850年)に作られたもので、来待石と呼ばれる砂岩で作られています。
本殿裏側にある小さな社の前にある灯篭は天保10年(1839年)に作られたもので、これも来待石です。
笏谷石(しゃくだにいし)
本殿手前、右側の小さな社にある、小さな狛犬を見ると、青みがかった岩石で大小の岩石や軽石のかけらが入っているのがわかります。これらの岩石片の大きさや入り方が不ぞろいなことから、火砕流の堆積物が固まったものと考えられます。これは福井市足羽山で採石される笏谷石と似ています。
笏谷石は古墳の石棺に始まり、北陸地方を中心に歴史的な石造物によく利用されています。また江戸時代には北前船で特に日本海側の各地に運ばれています。
森山石
美保神社だけでなく、青石畳み通りにも使用されています。写真のように岩石片が多く見られます。
青石畳通りの路面を構成する基本的な岩石は、美保関町西部で採れる緑色の凝灰質砂岩~礫岩で、地元では森山石と呼ばれています。礫が丸く、成層することから水で運ばれて堆積したことがわかります。この凝灰質砂岩は松江城の石垣にも多く使われています。
花崗岩
このほか、産地は分かりませんが、美保神社には花崗岩の灯篭もあります。
安政四年(1857年)に作られた灯篭。カリ長石がピンクの黒雲母花崗岩で作られています。
寛政元年(1789年)に作られた灯篭。有色鉱物が多い、角閃石黒雲母花崗岩~花崗閃緑岩で作られています。