ジオパークをやっていて感じるいくつかの矛盾 | 地質・地理と文化 ージオサイト巡りの旅-

地質・地理と文化 ージオサイト巡りの旅-

おもに近畿・中国・四国地方を中心に
地質・地形と文化の関係、訪れたジオサイトなどを紹介します
思い出しながら書いているので、記事の日付が前後することがあります

2008年以来ジオパークにかかわっていて、ずっと矛盾を感じていたことがあります。山陰海岸特有のこともありますが、各地のジオパーク全般で感じることもあります。

 

1.研究者はわかりやすく話すのが苦手だと平気で言うジオパークの研究者

 専門家がわかりやすく伝えなかったら誰がするのか。地学的バックグラウンドがないガイドがわかりやすく地学を伝えるためには専門家から学ぶことが必要。そのガイドの人達が理解できる話をしなかったら意味がないでしょう。

 まして、ジオパークでは地学をわかりやすく伝えることが必要、と言いながら難しい話をするのは矛盾しているし、少なくともジオパークにかかわる研究者はわかりやすく話をするための工夫や努力はすべきだと思います。

 

2.ジオパークが広く、移動したり連携を取るのが難しいという人たち

 ジオパーク内のたかだか100kmちょっとの距離のところにも行くのが嫌な人が、日本全国や海外からも多くの人に来ていただこうとするのは矛盾していないでしょうか。遠くからの人を呼ぶことも大切だけど、ジオパークに来てもらおうとするのであれば、その中の人達が自分のジオパーク全体に魅力を感じ、楽しく行き来している姿を見せることが大切なんじゃないかな、と思います。

 

3.有償のガイドを目指しているのに無料のガイド養成講座

 ジオパークではガイド付きツアーを通じて地域に利益をもたらすことが求められ、そのツアーは基本的に有料です。そのガイドを目指すのになぜ無料なのか?ボランティアでのガイドを目指すのであればそれでもいいですが、投資をせずに儲けようとするのはおかしい。

 

4、平日の日中に開催するガイド養成講座

 平日にガイド養成講座を実施する理由として、よく土日は出られないからと言われるけれど、ほんとうにそうなのか。実際にガイドをしている人たちは土日や祝日に仕事が入るので仕方がないけれど、これからガイドをしようとする人はそうじゃないはず。だいいち、土日の講座に出られない人が、土日にガイドをできはずがない。結局養成講座に出られる人は平日に仕事を持っていない人になり、若い人は入ってきません。

 

5.ジオパークがイエローやレッドになって怒る人たち

 特にジオパークの中で一生懸命活動している人ほどそうかもしれませんが、ジオパークがよくない評価を受けたときに怒る人があります。気持ちはわかりますが、少し考えてほしい。

 ジオパークの推進協議会や事務局に対して怒る人。これまで事務局にどんな協力をしてきたでしょうか? 自分はどのように運営にかかわってきたでしょうか? ジオパークはボトムアップで進めるもの。もしかして事務局に任せきりだったり頼り切ったりしていなかったでしょうか。

 ジオパーク委員会などを非難する人。そもそも誰が審査してジオパークになったのでしょうか?それは同じジオパーク委員会です。今回のことを非難するのであれば、日本ジオパークに認定された評価も非難して当然と思います。それ以後に指摘されてきたことに何も対応してこなかったら、今回の評価も仕方がないと思います。

 ジオパークの審査システムそのものがよくないという人。それがジオパークであり、皆さんはそれを選択したのだから、それに従うのが当然だと思います。ジオパークにならないという選択肢もあったなかで、そのシステムも知ったうえでジオパークを選択したはずです。

 

以上、日頃感じていることを書きましたが、人のことはわかるけど自分のことは気付かないことがよくあります。もう一度自分自身も振り返ってみたいと思います。