位置 青森県西津軽郡深浦町田野沢汐干浜(40.7587 140.0321)

 

<ここで見られる地学素材>

◆中新世ウニの化石,現生のウニの殻

〇何がすごいの?

◆千数百万年前のウニの化石化した殻と,数年前のウニの殻を比べてのがすごい

〇ウニの棘はどうなったのですか?

◆私たちの知っているウニは全身が棘で覆われています.しかし,ここで見られる化石のウニの殻にも,現生のウニの殻にも棘がありません.ウニは死ぬと殻から棘がとれてしまうようです.殻の表面に棘がついていた痕跡が残っているだけです.

〇取れた棘はどうなるのでしょう?

〇どういう種類のウニですか?

◆残念ながら,化石のウニも現生のウニも,どんな種類なのか私にはわかりません.ウニの化石だということしかわかりません.

 

写真1.上の薄緑色のものが現生のウニ,下の茶色いのがウニの化石.どちらも中心の丸い孔と棘の痕跡が見える.

 

 

 青森のジオサイトをたずねて ~地層・岩石・化石・地形~

 

 

位置 青森県西津軽郡深浦町深浦岡崎(40.643717 139.919150)

 

<ここで見られる地学素材>

◆断層,凝灰角礫岩,角礫凝灰岩,グリーンタフ

〇何がすごいの?

◆小さな断層を間近で観察することができるのがすごい

〇この地層はなんという地層ですか?

◆地層名としては大戸瀬層の中の吾妻川流紋岩部層という,中新世中期の地層だと考えられています.火砕岩の分類では,凝灰角礫岩と角礫凝灰岩になると思われます.厚さが10数cmの薄い層が何枚も重なっているのが特徴です.堆積した時の環境は,このように全体が成層しているので,1度に1枚の単層の堆積が何回も起こったのだと考えられます.それは陸上と水中のどちらで起こったのはよくわかりません.なんとなく水中の気がしますが……….大戸瀬層の時期は日本列島は大陸の一部といわれていますので,水中だとしたら湖沼なのでしょうか?浅い海なのでしょうか?

〇断層とは何ですか.?

◆地層や岩石に割れ目に沿って,その両側の地層や岩石がずれているのを断層といいます.ずれがないものや小さなものは節理・ジョイントといいます.

〇ここで見られる断層は,どうなっているの?

◆ここで見られるのは,逆断層という種類のものだと思われます.地層が両側から引っ張られてできる断層です.断層ができた時期はここではわかりません.日本列島に圧縮の力がはたらいた時期なのかな? と妄想します.

 

写真1.傾いたグリーンタフに見られる小さな断層.

 

写真2.青線が断層面の沿った部分,赤矢印が同じ地層,これによって断層のずれを確認できる.

 

 青森のジオサイトをたずねて ~地層・岩石・化石・地形~

 

 

位置 青森県西津軽郡深浦町松神下浜松(40.5574,139.9321)

 

 

<ここで見られる地学素材>

◆流紋岩・流理構造・気孔

○何がすごいのですか?

◆流紋岩にできる内部構造を見ることができるのがすごい.

○琉理構造とは何ですか.

◆流紋岩に見られる縞模様のことです.全ての流紋岩に見られるのではありませんが,流紋岩の名前の由来となった構造です.ここの流紋岩には琉理構造の見られるものが多くあります.

○流理構造がどのようにしてできるのですか?

◆固まりつつあるマグマが流動するときにできるといわれています.固まりつつあるマグマの中にできた結晶などが,マグマの流動によって平行に並んで縞模様ができると考えられています.そのように考えると,流理構造はマグマが流動した痕跡だともいえます.

○気孔とは何ですか.

◆岩石の表面などに小さな穴が見えることがあります.円に近い形のものや不規則な形の物などさまざまです.この穴はマグマの中の火山ガスが抜けてできるとされています.気孔が見られるとマグマが冷え固まった火山岩だという,一つの根拠になることがあります.

 

写真1.流理構造の見られる流紋岩.写真の横方向の縞模様が流理構造.

 

写真2.流理構造の見られる流紋岩.写真の横方向の縞模様が流理構造.

 

写真3.流理構造の見られる流紋岩の礫.写真の横方向の黒っぽい縞模様が流理構造.たくさんの気孔があるので,表面がガサガサになっている.

 

写真4.流理構造の見られる流紋岩の礫.写真の斜め方向の縞模様が流理構造.

 

写真5.流理構造の見られる流紋岩の礫.写真の横方向の縞模様が流理構造.写真では少し不明瞭です.

 

写真6.流理構造の見られる流紋岩の礫.

 

写真7.流理構造の見られる流紋岩の礫,流理構造がおおむね平行なのですが,凹凸が激しい.たくさんの気孔があるので,表面がガサガサになっている.

 

 

 青森のジオサイトをたずねて ~地層・岩石・化石・地形~

位置 青森県西津軽郡深浦町松神下浜松(40.5570 139.9306)

 

<ここで見られる地学素材>

◆流紋岩.柱状節理,放射状節理,

〇何がすごいの?

◆千数百万年前の火山噴火で流れた溶岩の断面が見れるのがすごい.

〇この岩石は何ですか?

◆岩石名としては,流紋岩という岩石です.マグマが地表や地表近くで冷え固まった火山岩に分類され,火山岩の中の流紋岩という岩石になります.地層名としては,十二湖流紋岩とよばれています.

〇扇型の模様は何ですか?

◆扇はよく見ると,細い柱からできています.このような柱の構造を柱状節理といいます.節理というのは岩石の割れ目のことです.この割れ目は溶岩が冷え固まるときに体積が小さくなってできるといわれています.柱を上から見ると,五角形や六角形になっているものが多く目につきます.

〇柱状節理から何がわかりますか?

◆簡単にいうと溶岩の表面と底面がわかります.柱状節理は冷却面(溶岩の場合は表面や底面)に垂直に柱ができるといわれているので,扇型の扇の外側が溶岩の表面だと思われます.

 

写真1.柱状節理が扇型の構造を作っている.扇の要の部分は板状の構造の板状節理が見られる.

 

 

写真2.柱状節理の方向から、現在植物の生えている地表面と板状節理の方向から冷却されたと推定できる.ここでは,2つの溶岩があった可能性がある.ます,板状節理を持つ下部の溶岩,その上を覆った柱状節理をもつ溶岩の2つである.

 

写真3.写真1の拡大.柱状節理が扇型は,下部の板状節理を持ドーム型の溶岩を覆った時にできたと考えられる.

 

写真4.柱状節理を真上から見た様子.六角形五角形のものが多いといわれている.すき間なく柱状節理が接しているので,マグマが冷却して固まる時に収縮して節理ができると考えられている.

 

写真5.初めに中央の長い直線状の節理ができて,次にまわりの小さな節理ができて多角形の節理ができたと思われる.

 

 

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位置 青森県つがる市木造越水(40.8009,140.2505)

 

<ここで見られる地学素材>

◆砂礫層,覆瓦構造・インブリケーション,泥炭,砂,礫

〇何がすごいの?

◆砂礫層も細かく観察するといろいろなことが見えてくるのがすごい

〇砂礫層はどんなものからできているのですか?

◆砂礫層を詳しく見ると,泥・砂・礫などからの連続性の悪い層からできています.これらは例えば川などのような水流によって運ばれたものだと思われます.洪水などの時は礫が,通常時は砂が運ばれたのではないでしょうか.

〇インブリケーションとは何ですか?

◆礫の配列にみられる構造です.簡単に言えば,平らな礫の平らな面が上流側に傾く構造のことです.地層の中でも,現在の河原でも見ることができます.

〇泥炭層とは何ですか.

◆ここの露頭で見られるような,有機質の黒っぽい堆積物のことです.川や湖沼の水の流れの悪いところで,枯れた植物が十分に分解されずに泥や砂と一緒に堆積したものです.

 

写真1.明褐色の砂礫層の中に,黒っぽい泥炭の層と,中央下にインブリケーション構造を示す礫層がみられる.

 

写真2.インブリケーションの見られる礫層.写真中央の礫の一部が右上がりの方向を示しているのがインブリケーション.これによって,この礫の堆積した時の水流の方向が左から右であったことがわかる.

 

写真3.黒っぽい部分が泥炭の層.水の流れの悪い場所で枯れた植物などが十分に分解されずに堆積したものと考えられる.川や湖沼の後背湿地のような普段は水が流れないところだった可能性がある.明褐色の部分は砂礫層.

 

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