位置 青森県西津軽郡鰺ヶ沢町北浮田町今須(40.7984,140.2483)

 

<ここで見られる地学素材>

◆生痕化石,スナガニ

〇何がすごいの?

◆スナガニの巣をつくるようすと餌を食べた痕跡がわかる.これが地層になれば生痕化石かと思うと,すごい.

〇生痕化石って何ですか?

◆化石というと,恐竜の骨やアンモナイトのような体の硬い部分が残ったものをイメージすることが多いのではないでしょうか.しかし,化石の中には生物の体そのものではなく,足跡や巣穴などの生物が残した痕跡も化石と扱われていて,それを生痕化石といいます.

〇スナガニはどんな生物ですか?

◆海岸の砂浜に巣穴をほって暮らしているカニです.巣穴の深さは最大1mにもなるそうです.ここに棲んでいるのは10cmほどのものが多いようです.餌は砂の表面に付着している植物だといわれています.砂の表面の植物を食べて,食べなかった砂を丸い団子にします.

〇化石とどんな関係がありますか?

◆このような生物の巣穴のある砂層が地層になると生痕化石になる可能性があります.巣穴を掘った時の砂団子や餌を食べた時の砂団子も化石になると生痕化石になる可能性があります.

 

写真1.スナガニ.大きさは左右で10cmくらいです.まわりの砂団子は食餌をした痕跡だと思われます.

 

写真2.スナガニ.近寄るとすぐに逃げ出します.

 

写真3.写真中央やや上にスナガニがいます.砂浜でじっとしていると見つけにくい体色をしています.

 

写真4.スナガニの巣穴と思われるものが3つ見えます.写真下の2つには,巣穴を掘った時に穴から放出した砂団子が見えます.上の1つには砂団子が見えないのは,スナガニ以外の生物の巣穴の可能性があります.

 

写真5.スナガニの食餌でできた砂団子.団子のまわりに砂を集めた足跡が見える.

 

写真6.スナガニの食餌でできた砂団子.砂団子をたどっていくと巣穴につながることがある.

 

写真7.スナガニの食餌でできた砂団子.砂を集めた足跡がはっきり見える.

 

写真8.スナガニの食餌でできた砂団子.まっすぐ少しずつ移動しながら食べているようだ.

 

 

 青森のジオサイトをたずねて ~地層・岩石・化石・地形~

 

 

位置 青森県つがる市木造越水(40.8009,140.2505)

 

<ここで見られる地学素材>

◆化石,生痕化石,巣穴.泥岩

〇何がすごいの?

◆生物の巣穴の痕跡も化石だなのか!.昔,ここにはどんな生物がいたのだろうと思うと,すごい.

〇生痕化石とは何ですか?

◆化石というと,恐竜の骨やアンモナイトのような体の硬い部分が残ったものをイメージすることが多いのではないでしょうか.しかし,化石の中には生物の体そのものではなく,足跡や巣穴などの生物が残した痕跡も化石と扱われていて,それを生痕化石といいます.

〇どんな生物が棲んでいたのですか?

◆ここで見られる巣穴の痕跡だけでは,どんな生物の巣穴なのかはわからないようです.巣穴の化石から棲んでいた生物がわかるものもありますが,ここの生痕化石はどんな生物なのかはわからないようです.

 

写真1.ペンの上に見える暗灰色の二重の円形の部分は,巣穴の断面だと思われる.そのまわりに見える,暗灰色の部分も生痕化石の可能性がある.

 

写真2.写真中央の円形の構造が生痕化石.明灰色のパイプ状構造の中央が暗灰色の構造をしている.暗灰色の部分は砂で,明灰色の部分は泥でできている.

 

写真3.生痕化石は,写真中央に見える縦方向のパイプの断面のような構造.数本の生痕化石がみられる.明褐色のパイプの中央に暗灰色の砂が見える.生物が棲んでいたときは,砂の部分は空洞であったのだろう.

 

写真4.暗灰色の円形構造やパイプ状構造の生痕化石が多数みられる.

 

写真5.写真4は暗灰色の構造が生痕化石だが,写真5は明灰色の構造が生痕化石.

 

写真6.写真5の拡大,明灰色の構造が生痕化石.泥岩全体に生痕化石があるので,多数の生物が泥の中に棲んでいたと思われる.

 

 

 青森のジオサイトをたずねて ~地層・岩石・化石・地形~

 

 

位置 青森県西津軽郡深浦町松神 字松神山1−3(40.5595 139.9466)

     十二湖エコ・ミュージアムセンター内

 

<ここで見られる地学素材>

◆ツキノワグマ(剥製標本)

〇何がすごいの?

◆ツキノワグマの剥製標本が見れるのがすごい

〇この辺にツキノワグマがいるのですか?

◆いっぱいいるそうです.センターの職員によると,最近(2024年7月7日)も出没しているそうです.クマが人を襲う事件が多発しているので,注意が必要です.

 

写真1.全身

 

写真2.正面から

 

写真3.ちょっと横顔

 

 

 青森のジオサイトをたずねて ~地層・岩石・化石・地形~

 

 

位置 青森県西津軽郡深浦町北金ケ沢榊原(40.7678 140.0513)

 

<ここで見られる地学素材>

◆角礫凝灰岩.凝灰角礫岩.炭化木

〇何がすごいの?

◆高温で焼かれたと思われる,千数百万年前の炭化した木片が多数見つかるのがすごい

〇ここで見られる地層は,どうなっているの?

◆地層名は大戸瀬層という中期中新世の地層です.日本列島が大陸の一部で日本海がなかった時代の地層になります.岩石名としては火砕岩の分類で凝灰角礫岩になります.角礫が少ない部分は角礫凝灰岩になります.堆積した環境は非常に推定するのが難しいことが多いのですが,海中の堆積ではなく,陸上に堆積したと思われますが,陸上でも湖沼や河川などの水の影響をうける環境だはないかと思われます.

〇炭化木片からは何がわかりますか?

◆千畳敷の地層からは,ほとんど化石が見つかっていないのですが,この炭化した木片は化石といえるのだと思いますが,樹種などはほとんどわかっていませんが,次のようなストーリーが妄想できます.

①当時の大陸の東のどこかでカルデラ噴火があって火砕流発生.

②火砕流は陸上の樹木を高温で焼きはらって流れた.

③火砕流堆積物中には焼けた木片がたくさん含まれていた.

④火砕流堆積物が降雨などで浸食され,河川に流れ出し陸上のいたるところに堆積した.

⑤その後,その地域は大陸から引き離されて,日本海となり,その後隆起して日本列島の一部になり,現在の千畳敷海岸となった.

⑥千畳敷海岸も少しずつ浸食されているので,炭化した木片が少しずつ地表にあらわれている.

〇炭化した木片は,燃えるでしょうか?

◆ここで見られる炭化した木片は,炭素が残っているので黒いのですが,長い年月で珪化も進んでいるようです.ですから,おそらく木炭のようには燃えないと思います.炭化してすぐだと燃えたのかもしれません.

 

写真1.千畳敷海岸の炭化木片

 

写真2.千畳敷海岸の炭化木片

 

写真3.千畳敷海岸の炭化木片

 

写真4.千畳敷海岸の炭化木片

 

写真5.千畳敷海岸の炭化木片

 

写真6.千畳敷海岸の炭化木片

 

 

 青森のジオサイトをたずねて ~地層・岩石・化石・地形~

 

 

位置 青森県西津軽郡深浦町北金ケ沢榊原(40.7678 140.0513)

 

<ここで見られる地学素材>

◆波食棚,海食崖,地震でできた地形

〇何がすごいの?

◆津軽藩の記録が残っていて,海岸の隆起の場所・時間・規模などが記録されているのがすごい.

〇千畳敷海岸はどんな地形ですか?

◆波の浸食作用で浸食されてできた海食崖が見られます.ここで見られる海食崖は海岸段丘の段丘崖になっています.海食崖の基部(一番下)から海にまでの平坦面が波蝕棚にあたります.千畳敷の波蝕棚は地震で数m隆起したので,最下位の段丘面になっています.

〇地震はいつ起こったのですか?

◆弘前藩の記録によれば,寛政4年(1972年)に発生したとされています.

〇地震の結果何が起こりましたか?

◆それまで,波に浸食されてできた平坦面(波蝕棚)が,隆起によって海面から現れてかぶと岩や潮吹き岩などの奇岩がみられるようになりました.弘前藩主がここに千畳の畳を敷いて風景を楽しんだことが,千畳敷の由来になっているそうです.

 

写真1.千畳の畳を敷いて弘前藩主が景色を楽しんだといわれる千畳敷海岸.江戸時代は道路がほとんど整備されていなかったので,船できたのではないだろうか?.右端に見えるのが「恵比寿岩」

 

写真2.千畳敷海岸,夏は多くの観光客でにぎわっている.

 

写真3.「大黒岩」とよばれる奇岩.海食崖(段丘崖)をつくる塊状の凝灰角礫岩.その基部の平坦面(波蝕棚・段丘面)に鉄道(JR五能線)と国道101号線がある.

 

写真4.千畳の畳を敷いたといわれる「千畳敷」.

 

写真5.千畳の畳を敷いたといわれる「千畳敷」.

 

写真6.「鎧岩(よろいいわ)」.千畳敷の波蝕棚は層理のあまりみえない塊状の凝灰角礫岩からできいているが,この鎧岩は層理のはっきりした凝灰角礫岩からできている.手前の塊状の凝灰角礫岩とは,堆積環境の少し違いがあるのだと思われる.

 

写真7.「鎧岩(よろいいわ)」と,そこに続く波蝕棚.

 

写真8.深浦町教育委員会の看板.千畳敷の歴史がよくわかる.

 

写真9.「千畳敷の奇岩たち」を紹介する看板.右上の説明の「寛政の大地震(1972年」によって海底の地盤が隆起し,海蝕崖ができました」の説明に少し違和感がありますが,ちょっとしたことでしょう.

 

 

 青森の地学素材をたずねて ~地層・岩石・化石・地形~