位置 青森県西津軽郡深浦町北金ケ沢榊原(40.7678 140.0513)

 

<ここで見られる地学素材>

◆波食棚,海食崖,地震でできた地形

〇何がすごいの?

◆津軽藩の記録が残っていて,海岸の隆起の場所・時間・規模などが記録されているのがすごい.

〇千畳敷海岸はどんな地形ですか?

◆波の浸食作用で浸食されてできた海食崖が見られます.ここで見られる海食崖は海岸段丘の段丘崖になっています.海食崖の基部(一番下)から海にまでの平坦面が波蝕棚にあたります.千畳敷の波蝕棚は地震で数m隆起したので,最下位の段丘面になっています.

〇地震はいつ起こったのですか?

◆弘前藩の記録によれば,寛政4年(1972年)に発生したとされています.

〇地震の結果何が起こりましたか?

◆それまで,波に浸食されてできた平坦面(波蝕棚)が,隆起によって海面から現れてかぶと岩や潮吹き岩などの奇岩がみられるようになりました.弘前藩主がここに千畳の畳を敷いて風景を楽しんだことが,千畳敷の由来になっているそうです.

 

写真1.千畳の畳を敷いて弘前藩主が景色を楽しんだといわれる千畳敷海岸.江戸時代は道路がほとんど整備されていなかったので,船できたのではないだろうか?.右端に見えるのが「恵比寿岩」

 

写真2.千畳敷海岸,夏は多くの観光客でにぎわっている.

 

写真3.「大黒岩」とよばれる奇岩.海食崖(段丘崖)をつくる塊状の凝灰角礫岩.その基部の平坦面(波蝕棚・段丘面)に鉄道(JR五能線)と国道101号線がある.

 

写真4.千畳の畳を敷いたといわれる「千畳敷」.

 

写真5.千畳の畳を敷いたといわれる「千畳敷」.

 

写真6.「鎧岩(よろいいわ)」.千畳敷の波蝕棚は層理のあまりみえない塊状の凝灰角礫岩からできいているが,この鎧岩は層理のはっきりした凝灰角礫岩からできている.手前の塊状の凝灰角礫岩とは,堆積環境の少し違いがあるのだと思われる.

 

写真7.「鎧岩(よろいいわ)」と,そこに続く波蝕棚.

 

写真8.深浦町教育委員会の看板.千畳敷の歴史がよくわかる.

 

写真9.「千畳敷の奇岩たち」を紹介する看板.右上の説明の「寛政の大地震(1972年」によって海底の地盤が隆起し,海蝕崖ができました」の説明に少し違和感がありますが,ちょっとしたことでしょう.

 

 

 青森の地学素材をたずねて ~地層・岩石・化石・地形~