「うちの子、トイレ、一人でいけないんです
         なんとかなりませんか?」

小児はりのはなしをしていたら

いつもの冷え性の治療をうけながら

Yさんがそういった

小学校3年生の息子さん

ショウタ君の相談だ

鍼灸治療にも小児科があって

いまよりも乳幼児死亡率が

うんと高かった時代の関西

我が子を思う母親と子供の行列で

床がぬけそうになった鍼灸院も

あったらしい

やいと、虫ハリ

「疳の虫」という言葉にピンとくる

ひとがいまはもうどれだけいるだろうか

虫を追い出す治療のルーツは古い


当たり前だが

子供の心身は大人とはまったく

ちがう

たとえば自律神経がまだ

未発達なのだ

むずがったり、おねしょしたり、

眠らなかったり

背中の皮膚を針や灸で刺激することで

ずいぶん落ち着いてくる


子供は子供的な理由で肩がこる

本人だってわけがわからないのだ


さてトイレが怖いショウタ君

ショウタ君本人だって

わけがわからない


ところで
「3枚のお札」という昔話がある

呪的逃走譚である

栗拾いに山へいった小僧さん

道に迷って宿をかりたお婆さんが

山姥だった

ああ恐ろしや

追いかける山姥と逃げる小僧さん

結末はいかに?!


このお話の中には

トイレがでてくる

便所、トイレというのは

もしかしたら異界へ

通じている特別な場所かもしれない


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「イニシエーション」という

言葉があるが

子供の「怖い」体験には

ものすごい深い意味があったりする

ショウタ君のお母さん

Yさんには

「トイレのお札があって
それを貼ったらよくなりますよー」
なんていいながら

母親の膝元から少しづつ離れて

育つ

ムクムクと伸びてくる

ショウタ君の成長の芽を

感じたりしている