「私が悪いんです」

肩や首の凝りを訴えながら本当は

ずっと取り組んでいる

不妊が大きなテーマの

Sさん

音楽でいえばマイナーの調性

トーンを帯びながら

かすかに、

向こうのほうに

微かに

メジャーキーへの転調の希望が

チラッとだけ垣間見えるような

そんな

僕には難しい患者さんだ


自分を責めることは

苦しい

・・・

自分を責めるわたしは

社会の押し付けを生きる

わたしかもしれないですよ

なんて

いったって

彼女のため息を増やすだけかもしれない


ただ、触診から伝わる情報は

今日、MRIや検査機器の持つ圧倒的な

情報を前に

化石化してゆく道をたどるかもしれないが

少なくともナラティブなアプローチ

にとっては

大きな情報と

なる 

うまくいえないが

音楽のように

手からその人の痛みや哀しみが

振動のように

響いてくることだって

ある

だけど

その振動に共鳴するには

セッションがうまくいくための

訓練がいるかもしれない


「共感」ってひとことでいってしまうと

なにかが抜け落ちてしまう

もしかしたら

他者のことなんて

絶対にわかりっこないって

絶望から

はじめていかなければ

ならないかもしれないから