「ハア、ヒュー、大丈夫、大丈夫」
来院した
Sさんがいう
全然
大丈夫じゃない
持病の喘息がひどく悪化している
ふだんは肩凝りや腰痛、あと
女性特有の更年期の
不定愁訴(のぼせや冷え)などが
メインだが
ときどき
持病が悪化する
「今日は横じゃなく座って
鍼しますよー」
息が吸えることが
どれだけありがたいことか
僕はSさんから学んだ
呼吸というのは
不思議だ
意識的にもできるし
無意識にもしている
(腕を動かしてくださいといっても
動かせるが
心臓を動かしてくださいといっても
動かせない)
だから上手に
呼吸を意識的に
コントロールすることで
からだを変化させるすべは
たくさんある
(ダイエット法もリラックス法も
呼吸をつかう)
だけど
喘息は
暴れ馬のように
いったん発作がはじまると
やっかいなのだ
アニメーションの「思い出のマーニー」
では
喘息の持病をもつ
主人公の過去の生い立ちや
思春期、思い通りにならない
こころとからだの感じが
うまく表現されている
アニメでは主人公が
環境のよいところへ移るところから
物語が展開してゆくのだか
季節や住環境はもちろんのこと
Sさんは職場のストレスとも
関連することが
おおいようだ
「けっこう残業がつづいてて
フーハー、ちょっと花粉も
ヒュー飛んでるし」
「あんまり喋らなくていいですよ」
気管をひろげる薬も飲みつつ、
お灸や鍼でも
なるべく楽な呼吸へ
誘導する
「ふぅー先生、
ちょっと呼吸がまし、楽かも
でも喋ったらやっぱり苦しい」
いろいろやってみる
臨床は教科書通りにはいかない
技術もハートも知識も
総動員だ
「先生 ありがとう」
こちらこそ
こんな僕を頼ってくれて
ありがとう
なんとか今日の夜
発作がやわらいで
(発作は夜間に頻発する)
Sさんが
ゆっくり眠れることを
祈った
僕は
思い出のマーニー
