新十両・魁勝の15日間 | ジェントル高久の『ど真ん中日記』

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プロレスのレフェリーと柔道整復師、長州力さんのトレーナー、付き人業務。大相撲浅香山部屋でもトレーナーをさせていただいています✋築地に整体院を開業!高久メディカル整体院 東京都中央区築地6-24-2 Kビル2階 ☎︎09041219243

名古屋場所後の番付編成会議で新十両昇進を決めた魁勝。秋場所前には昇進祝賀会も行われ、化粧廻しや紋付きはかま、締め込みなどの贈呈があり、その挨拶回りなど嬉しい悲鳴と共に初めての経験や慣れない生活にバタバタとしておりましたが、浅香山親方の配慮で秋場所の数日前には相撲に集中できる環境を作ってもらっていました。

私は個室を得た魁勝に治療用のベッドをプレゼントしました🛏
色は白。1つでも多く白星が増えるように験担ぎ…
そして場所に入る3日くらい前から段々とナーバスになってきた魁勝に少しでもリラックスしてもらえるように…

中日ドラゴンズの元監督の落合博満さんは「自分、相手、数字と3つの敵と戦っている」とおっしゃっております。魁勝にも自分のコンディション、自分のモチベーション、そしてどんな時にも稽古をサボらないという強い気持ちなどの自分との戦いがまずあります。相手。十両に上がったので対戦相手は15日間毎日変わります。そして星勘定、勝敗という数字。私は彼の中での自分との戦いに関しては治療をする、コンディションを整える、そして話すことによりモチベーションを常に上げる、高く保つお手伝いは出来ると踏みました。相手に勝つこと。それは親方のご指導と魁勝自身の問題。これは私は彼を信じて15日間を乗り切ろうと思っていました。最後の数字…これは厄介なものだと…勝ち星が先行すれば良いですが、負けが先行しますと、数字を追ってしまい、自分の相撲や内容よりも数字を追うと悪循環に陥ると…不振だった2011年の森野将彦選手の原因を「数字と戦ったこと」だと分析。数字を追って打撃を小さくしてしまったと言う落合監督の言葉がよぎる…新関取には「数字を追わないで自分の相撲を取りきっていく」そのことに集中しようと言っていました。そして「勝つのはそっちの仕事。オレはいかに気分良く土俵に上げてあげられるか」私が浅香山部屋の力士たちにいつも思っていること。それはブレないでおこうと強く思っていました。

初日の前の日の朝稽古で初めて締め込み姿を見ました。
関取になっても一生懸命に真面目に体を動かすことは怠っていないので、安心しました!

触れ太鼓は浅香山親方の隣に座ることにまだ遠慮があったみたいです爆笑

付き人は魁勇大と魁佑馬。24歳の関取に20歳と19歳の付き人というフレッシュな『チーム魁勝』で場所に臨みました!

場所が始まると初日黒星⚫️2日目、3日目も負けて、まさかの3連敗スタート叫び「数字を追うな」と言っていた私もさすがに「この連敗はキツいなぁ」と…魁勝には連敗癖もあるので、何とか現状を打破しようと、無い知恵を絞り考えました。彼は早寝早起きが好きな力士。早く寝るのはわかっていたのですが、もう一度彼に「何時に寝るのか❓」尋ねました。そしたら10時30分前には布団に入る。早い時には10時過ぎたら寝ると…それを聞いて私は「9時半から治療をしたら10時過ぎには終わる。そしたら歯を磨いたらすぐに寝れるからどうだろうか❓」と提案しました。そしたら本人もそうしたいと。3日目の夜はたまたま9時半から始めましたが、4日目の夜からは意識してルーティンにしようと思いました。

そしたら4日目に初白星◯これはそうした方が良い!ゲン担ぎな部分もありましたが、彼の生活のリズムに合わせて動くことによって結果が伴うのでは❓とおぼろげながら感じてきました。

5日目も勝ち連勝。翌日の勢関には投げの打ち合いで惜しくも敗れましたが、身体は動いているし、何より前に出て相撲が取れている。この時点で2勝4敗という数字でしたが、数字以上に手ごたえを感じていました。

7日目。朝稽古を見に行きました。


弟弟子以上に身体を動かしており「少し飛ばし過ぎなんじゃないか⁉️」と思うくらいに熱心に稽古をする姿は頼もしく見えました。その日の琴ノ若関との一番。長い相撲の末、激勝!!その日の晩に私は知人から使わなくなったテレビをいただいたので、彼の個室に持って行きましたテレビ
こうしてこの日からテレビを見ながらリラックスしたり、治療が出来るようになりました^ ^
琴ノ若関に勝ってから…7日目から何と6連勝をしました!!その間には付き人についていた魁聖関に勝ったことは自信になったようです。私の方も身体を触っていて日に日に大きくなっていくような、筋肉が良い感じで張っていくような感覚がありました!昔、長州力さんがオフの時には身体的にはボロボロの状態でしたが、ご自身の出番の前、パワーホールが鳴る直前には素晴らしい筋肉になったとき。あの時のような感覚…ゾーンに入るような状態になったような気がしました。「このまま勝ち越せるかもしれない」そう思ったらまさかの6連勝で勝ち越したことには、嬉しい気持ちと共にビックリ‼️そして連敗スタート時に数字を追いそうになっていた自分に反省をしましたガーン

また、用事があって個室を訪ねたおかみさんが、私が9時半に個室に行くことを知り、おかみさんもゲンを担いで『9時半の勝利の女神』として毎日魁勝を激励に行っていました🗽ほっこりそしてなぜか⁉️小島も個室を訪ねて来るようになり…普通は一番下の新弟子と関取の距離感から、新弟子が関取の個室に自分から行くことはあまりないとは思うのですが、魁勝とは話しやすいのか❓そして魁勝も小島をかわいく思っているのか❓妙にウマが合う2人はジャレているように見えますが、魁勝が小島に相撲について教える場面も多々ありました!
おかげで小島も4勝3敗と勝ち越して、九州場所での三段目復帰が決まりましたニコニコ

勝ち越しが決まったらホッとしてしまったのか⁉️その後は連敗をしましたが、新十両の場所を8勝7敗と勝ち越した魁勝キラキラ

浅香山親方とおかみさんもホッとしたのが本音ではないですかね😊
ハラハラドキドキの15日間。勝ち越したこと、関取の地位を守ったことはもちろん嬉しいですが、館内の声援、土俵上の所作、ちゃんと深々と礼をする。そういうことを、浅香山親方の言いつけを守って15日間戦ったことも嬉しいですよね😊やっぱり彼は浅香山親方の弟子ですね!
15日間が終わり、魁勝から「ありがとうございました!」と言われましたが、私の方こそ15日間毎日充実した日々を過ごさせてもらい「ありがとう」と…6月で長州さんが引退をされ、燃え尽き症候群のようになりましたが、私自身も、もう一度前を向いて上を見て歩くことができる幸せを感じた日々でした!

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