我が国は国土の67%、3分の2が森林であり、先進国の中では世界第2位の森林国です。

 

日本は資源が無い国だと言われますが、森林資源については乏しいのではなく、使われていないだけと言えます。

 

また戦後、全国の山林面積の4割に植林された杉などが原因となり、現代病の「花粉症」が発生し、GDPの2.%にあたる13兆2500億円もの経済損失が生じています。

 

ロシアのウクライナ侵攻の影響等によって世界経済の均衡が崩れ、建築資材が高騰していますが、この世界的物価高は戻る兆しが無いため、むしろ国産材が見直される時期に来ているとも言えます。

 

戦後全国に植林された木材の「利活用」は、我が国喫緊の課題であり、近年の木造建築は技術革新により中高層化が可能となり、工期やコストの面でも優れてきました。

 

また、新たな財源である「森林環境譲与税」を活用すると共に、「町田市の木材利用方針」を策定し、市民の癒しや安らぎに貢献すべく、木のぬくもりや温かみを活用した、公共施設の木造・木質化に取り組むべきと議会で提言しましたので、その内容を投稿します。

 

林野庁の木造化の補助金は「町田市の木材利用促進に関する基本方針」が無ければ、補助対象外です。

 

学校や体育館、今後、集約や再編が求められている中心市街地の公共施設やバスターミナルなど、子どもの利用者の多い施設や市民が多く集う場所こそ、木のぬくもりや温かみを活用する木造・木質化によって、公共施設が新たな価値を持ち、町田市民の癒しや安らぎに貢献するのではないかと思っています。

 

 

 

以下、当日のやり取りです。

 

 

 

 

 

2022.2一般質問(森林環境譲与税について)

 

 

壇上質問(厳太郎)

 

項目番号2「森林環境譲与税の活用について」伺います。

 

「森林環境税」及び「森林環境譲与税」は、温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な財源を安定的に確保する観点から、国民一人一人が等しく負担を分かち合って森林を支える仕組みとして、国が創設しました。

 

「森林環境譲与税」は、市町村による森林整備の財源として、2019年度以降、国の交付税及び譲与税配付金特別会計から、私有林人工林面積、林業就業者数及び人口により按分して、市町村に対して譲与されています。

 

また、2024年度からは、東日本大震災復興税の終了に伴い、個人住民税均等割の枠組みで国税として年額で1,000円森林環境税が賦課される予定です。

 

これらを簡単に言うと、「森林環境税」は国民が賦課徴収される税金で、その税金を原資として森林整備等に活用するよう各自治体に譲与されるのが「森林環境譲与税」です。

 

そして、「森林環境税」は、国税ではあるものの賦課徴収は各市町村が行うことになります。

 

したがって、譲与税がどのように使われていくのか、もっと多くの市民に関心を持ってほしいと思います。

 

2020年の市議会第3回定例会では、先駆けて私が本件について質問していますが、

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議会質問原稿「木造・木質化による街の魅力向上について」 | 町田市議会議員 渡辺げんたろう オフィシャルブログ「危機を見過ごさない!」Powered by Ameba (ameblo.jp)

 

その後譲与税を基金に積み立て、活用していない自治体が多くあるとよく報道されているため、改めて取り上げました。

 

町田市は豊かな里山環境を整えていくことでさらにまちの魅力が高まっていくと考えているため、森林環境譲与税を活用していくべきとも思います。

 

そこで、「森林環境譲与税」の活用実績ついてお聞きしたく思います。

 

そして、市内の森林の現状と、保全や活用に向けた町田市の考えについてもあわせて教えてください。

 

また、国は今後譲与税を段階的に増額し、森林整備等を一層推進していく予定です。

 

この財源をより有効活用してもらいたいと考えているため、町田市の今後の活用の考え方について伺います。

 

 

 

<石阪市長>答弁

渡辺厳太郎議員のご質問に、お答えをいたします。

 

私からは、項目2の「森林環境譲与税の活用について」に、お答えいたします。

 

(1)の「森林環境譲与税の活用実績は。」についてでございますが、まず、町田市の森林の現状と保全や活用に向けた考え方について、お話しいたします。

 

町田市には、民有地を含めて779ヘクタールの森林があり、そのうち、約2割がスギ、ヒノキの人工林、8割近くがクヌギ、コナラなどの広葉樹が多い雑木林であります。

現状は、担い手不足から間伐や下草刈りといった管理が行き届かず、多くの森林が放置されている状況でございます。

 

これらの森林を都市近郊の里山として健全な状態に再生しつつ、将来に引き継いでいくことが必要であると考えております。

 

一方、森林の一部では、これまでも地元団体やNPOによる里山保全活動が行われており、こうした活動が継続され、さらに広がることを期待しております。

 

そこで、本年3月に「町田市都市づくりのマスタープラン」及び「町田市里山環境活用保全計画」を策定し、里山の保全と活用に向けた取り組みを推進しております。

 

この計画を策定していく中で、本年1月に「里山環境の活用と広葉樹材の活用を考える」と題したオンラインシンポジウムを開催し、学識者のほか、林業、里山保全の活動をされている方々と、各地の森林や里山の活用事例などを紹介いただきながら、様々な意見交換を行いました。

 

近年、都市の近郊にありながら、豊かなみどりを有する「まちだの里山」には多くの人が訪れており、農業や動植物など自然と触れ合うこと、人とつながり活動することなど、その価値が高まっております。

そして、里山が持つ資産は大きな可能性を秘めていると考えております。

 

この資産を保全・活用することで、さらに「まちだの里山」の価値を高め、将来に引き継いでいきたいという思いでございます。

 

議員お尋ねの「森林環境譲与税」についてでございますが、国は、国土保全と活用のため、森林環境譲与税の使い道を4つ示しております。

 

1つ目が「森林整備」、2つ目が「人材育成や人材確保」、3つ目が「木材利用や普及啓発」、最後4つ目が「自治体間連携」でございます。

 

町田市では、2019年度から2021年度までの3年間に約8,800万円の譲与税が国から配分され、今お示しした使い道の3つ目の「木材利用・普及啓発」の取り組みに活用しております。

 

具体的には、2019年度に里山環境の活用に向けた山林の現況調査や、鶴間公園の伐採樹木を南町田グランベリーパーク内にある「まちライブラリー」の本棚や机として利用する取り組みに、譲与税を充当しております。

 

次に、(2)の「今後の活用の考え方は。」についてでございますが、2024年度から森林環境税が新たな税金として賦課されますので、それがどのように活用されていくのかという事は、多くの市民から関心が寄せられるものと認識しております。

 

そこで、しっかりと市民の目に見える形で還元するためにも、「町田市都市づくりのマスタープラン」や「町田市里山環境活用保全計画」を踏まえ、まずは、「町田市5ヵ年計画22-26」に掲げる事業に活用していくことを考えております。

 

今後も引き続き、森林環境譲与税を市民生活の向上のために活用してまいります。

 

 

 

 

 

<再質問①(厳太郎)>

 

先ほど市長からは、森林環境譲与税を「しっかりと市民の目に見える形で還元していきたい」との答弁をいただきました。

 

それでは近隣自治体はどのようなことに活用しているのでしょうか?

 

町田市において、今後の里山再生・活用等に向けて本税の具体的な活用予定があれば教えてください。

 

 

 

再質問答弁①>政策経営部長

 

まず、近隣自治体での活用事例についてでございますが、森林環境譲与税の各市町村の使い道につきましては、毎年度国が公表しております。

 

その中から、近隣市における昨年、2021年度の取組事例を紹介しますと、隣の相模原市では、機械や安全装置を購入する際の費用助成に活用しています。

 

日野市では、公共施設への多摩産材の利用や、大和市では、保全緑地への木材看板設置と木道整備に活用しております。

 

また、あきる野市では、林業事業者による林業に関心のある人への作業現場の公開や体験談、助言・軽作業体験などといった就業を考えるきっかけづくりの提供のための委託費に活用しています。

 

次に、町田市における森林環境譲与税の活用予定につきましては、「木材利用や普及啓発」として公共施設の木質化や木材を使用した備品等の設置や「森林整備」として森林再生を目的とした間伐の実施への活用が考えられます。

 

具体的には、2023年度に開設する小山田子どもクラブは木造で建築することを予定しております。また、里山の再生と活用に向けた仕組みづくりのための第一歩として、作業機材や間伐材を運搬するための作業路整備に使っていくことを想定しております

 

 

 

<再質問②(厳太郎)>

 

私は、2020年の9月議会で戦後全国に植林された木材の利活用は我が国喫緊の課題であり、近年の木造建築は技術革新により中高層化が可能となり、工期やコストの面でも優れてきたことを、世界や日本全国の事例を踏まえて紹介しました。

 

また、新たな財源である「森林環境譲与税」を活用すると共に、町田市の木材利用方針を策定し、市民の癒しや安らぎに貢献すべく、木のぬくもりや温かみを活用した、公共施設の木造・木質化に取り組むべきと質問しました。

 

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議会質問原稿「木造・木質化による街の魅力向上について」 | 町田市議会議員 渡辺げんたろう オフィシャルブログ「危機を見過ごさない!」Powered by Ameba (ameblo.jp)

 

あれから2年が経過しましたが、まずは木材利用や森林環境譲与税の使途について社会的に注目していただけるようになったこと喜びたく思います。

 

先ほどの答弁では「森林再生を目的にした間伐の実施や、公共施設の木質化や木材を使用した備品の活用が考えられる。」との答弁でした。

 

大変ありがたく思いますが、もう一歩踏み込んで「公共施設の木質化」にとどまらず、「公共施設の木造化」をも今後の公共施設の設置に関しましては検討していただきたく思いますが、いかがでしょうか?

 

「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」、通称「都市の木造化推進法」は、建築物等における木材利用を促進し、森林の適正な整備と木材の自給率の向上に寄与するとともに、脱炭素社会の実現に資することを目的としています。

 

この法律の中で、地方公共団体は、国の施策に準じて木材の利用の促進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるとともに、その整備する公共建築物における木材の利用に努めなければならないとしています。

 

そして、内装や消耗品などの調達にあたっても、出来るだけ木材製品を利用することが求められています。

 

つまり、公共建築物を原則として全て木造にすることが求められています。

 

いかがでしょうか?

 

 

 

 

<再質問②答弁>政策経営部長

森林環境譲与税を公共建築物の木造化のために活用していくことは、「都市の木造化推進法」の趣旨に沿ったものであると理解しております。

 

先程申し上げましたとおり、小山田子どもクラブは木造建築であり、建築費の財源に森林環境譲与税を活用する予定であることから、まさに議員がおっしゃる建築物の木材利用に即した使い道でございます。

 

今後の公共建築物の木造化・木質化につきましては、コスト面や技術面で可能であれば、検討していきたいと考えております。

 

また、内装や消耗品などへの木材製品の活用にあたりましても、例えば椅子や机、棚などの備品や木製のおもちゃといった活用が考えられますが、そうした活用方法は市民の皆さんにとって目に見えやすく、木に触れられるといったメリットもございますので、あわせて検討してまいります。

 

 

<再質問③(厳太郎)>

給食センターのような用途が特殊な建物は別にして、学校や体育館、今後、集約や再編が求められている中心市街地の公共施設やバスターミナルなど、子どもの利用者の多い施設や市民が多く集う場所こそ、木のぬくもりや温かみを活用する木造・木質化によって、公共施設が新たな価値を持ち、町田市民の癒しや安らぎに貢献するのではないかと思っています。

 

2年前に一般質問した時も消防署や学校などの木造・木質化の全国の事例を紹介させていただきましたが、時間の経過とともに大変多くの全国の先行事例が注目されています。

 

庁舎、ホール・体育館、学校、保育園・幼稚園、博物館・図書館・交流施設、道の駅、医療施設・福祉施設、住宅・宿舎など、多くの施設が木造化されてきています。

 

山形県南陽市では世界最大の木造コンサートホールが完成しましたし、

 

静岡県静岡市では国内最大級の大型木造建築として静岡県草薙総合運動場体育館が誕生、

 

大分県大分市では日本最大級の無垢材トラス構造による武道スポーツセンターが誕生、

 

はたまた、静岡県牧之原市では、延床面積 約18,200㎡の富士山静岡空港旅客ターミナルビルが登場し、多くの方々に歓迎されています。

 

建物の木造化は森林豊かな地方だけではなく都市部でも進んでおり、東京都江東区では旧有明体操競技場を新たに有明展示場とするにあたり、複合式木質構造によって木質大空間を実現したり、

 

江東区立有明西学園では都市部における大規模な学校の木造化・木質化に成功したりしています。

 

これらは全てを木造化するのではなく、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と木造を合わせ、それぞれの良さを活用して建築されている施設も多くありますので、市民に愛される未来の公共施設像を考えるにあたり大変参考になると思います。

 

今後、公共施設の「木造化」についても森林環境譲与税を活用するよう考えていただきたく思いますがいかがでしょうか?

 

新たに賦課される森林環境税が多くの市民から関心が寄せられているとご認識されており、森林環境譲与税の活用方法は、しっかり市民の目に見える形での還元を考えているとのことですので、公共施設を「木造化」していくことが最も目に見える形での市民への還元となると思いますが、いかがでしょうか?

 

 

<再質問③答弁>政策経営部長

先程申し上げましたとおり、木造化につきましては、小山田子どもクラブの整備にあたり森林環境譲与税を充当する予定でございます。

 

2022年度に譲与された譲与税は約4,500万円であり、2023年度もほぼ同額の見通しでございます。

 

この譲与額の中で公共施設を木造化するとなりますと、議員がおっしゃるとおり、建築物の一部を木造化することや、内装及び外壁等に木材を用いて木質化することが現実的でございます。

 

市民の癒しや安らぎに貢献するとのお話もありましたが、構造にこだわるのではなく市民の皆さんが木のぬくもりや温かみを感じられるような木材の活用方法が大切であると考えております。

 

今後の譲与税使い道につきましては、そうした観点を踏まえて活用してまいります。

 

 

 

<再質問④(厳太郎)>

それでは、町田市の「木材利用促進に関する基本方針」の策定についてはいかがでしょうか?

 

この「木材利用促進に関する基本方針」の策定は、それぞれの都市が様々異なる地域特性を持っていることから、それぞれの地域が自ら考え、自分たちの地域特性に合った方針を策定し、地域課題を解決していくことが求められており、「これからの地域づくりは自ら考え取り組む」という地方創生の観点でも重要視されています。

 

2年前もお話いたしましたが、林野庁の木造化の補助金は子供園、幼稚園、老人福祉施設、社会福祉施設、病院、公民館、社会教育施設などの木造化に活用できますが、「町田市の木材利用促進に関する基本方針」が無ければ、補助対象外です。

 

これらの補助金は木材を活用した先進的な取り組みに対して交付されるものが多いです。

 

ぜひとも「木材利用促進に関する基本方針」の策定についてもお考えいただきたく思いますがいかがでしょうか?

 

 

 

<再質問④答弁>政策経営部長

木材の利用を促進することで、CO2削減による地球温暖化防止や森林の循環による森林環境の活性化など、経済的・社会的効果に加え、身体への負担軽減や精神面での効果があると言われており、様々な効果があると考えております。

 

方針の策定にあたりましては、そうした様々な観点を踏まえた、全庁横断的な調整が必要であり、引き続き検討しているところでございます。

 

 

 

【<まとめ 厳太郎>】

 

我が国の森林面積は2510万㏊あり、国土の67%、3分の2が森林であり、先進国の中では世界第2位の森林国です。

 

日本は資源が無い国だと言われますが、森林資源については乏しいのではなく、使われていないと言えます。

 

また戦後、全国の山林面積の4割に植林された杉などが原因となり、現代病の花粉症が発生し、GDPの2.%にあたる13兆2500億円もの経済損失が生じています。

 

ロシアのウクライナ侵攻の影響等によって世界経済の均衡が崩れ、建築資材が高騰していますが、この世界的物価高は戻る兆しが無いため、むしろ国産材が見直される時期に来ているとも言えます。

 

日本の森林資源活用の観点からも引き続きよろしくお願いいたします。

 

ありがとうございました。