町田市で役目を終えた2台の消防ポンプ車が、ついにブータン王国に向けて無事に出航しました!

 

長年、「町田市が出来うる国際貢献」として、町田市で役目を終えた消防ポンプ車を親日国であるブータン王国に寄贈しては?と議会で取り上げてきました。

応援・ご助言くださった皆様には大変お待たせしましたが、結果として、この度2台の消防ポンプ車がブータン王国に向けて無事に出航しました。

 

9月議会において、現在の進捗状況を確認しつつ、この町田市の特徴的な国際貢献を市民に周知することのみならず、国際理解の観点から市内の小中学校での学校教育に活用することを提言しました。

 

町田市からは、次のとおり回答が得られました。

 

①町田市内の小中学校に、町田市がブータン王国にポンプ車を寄贈したことをきっかけにした町田市とブータン王国のかかわりについて、紹介する。

②小学校第3・4学年の社会科副読本に掲載することを検討する。

 

以下、当日のやり取りの原稿です。

 

 

2021.9一般質問(国際貢献について(Part5))

 

壇上質問(厳太郎)

 

2016年12月議会から毎年1回「国際貢献について」一般質問させていただきまして、今回で5回目となります。

 

とかく行政運営は自分たちの自治体の事のみ考えがちになりますが、町田市の魅力を再発見する機会の創出のためには、国際貢献や国際交流の観点が必要だと議会で訴えてきました。

 

これまで、町田市における国際貢献や国際交流の「考え方」について議論させていただき、国際貢献を通じ海外の異なる文化や習慣等に触れることは、自らの生活や地域社会を見詰め直す機会になり、町田市の地域アイデンティティーや「誇り」の醸成といったものに繋がるとの点で意見の一致を見てきたものだと理解しています。

 

また、私から寄贈に向けた町田市の予算を使わない具体的な移送経費やルートについてもお示しした上で「消防団で活用し終わった消防ポンプ車を親日国であるブータン王国に寄贈してはどうか?」との提言に対し、この5年間、紆余曲折ありましたが、町田市は取り組む方向で進展してきたと理解しています。

 

 

過去には全国の自治体に先駆け1994年から年間1台、合計3台の消防ポンプ車と、当時の消防団幹部による技術指導が町田市からブータン王国に寄贈され、そのときから27年の歳月が過ぎました。

 

 

 

「町田市消防団」と書かれたままの消防自動車は、今も標高の高いブータン王国で大切に愛され、現役で活躍しています。

 

 

町田市内で約15年間、市民の生命、身体、財産を守った消防自動車はブータンに渡り、さらに27年間、合計40年間も活躍していて、今現在も現役でいるということは、当時の町田市の物的支援と現地で指導してきた人的支援の素晴らしさをあらわしていると思いますし、日本製品の格別の信頼感があったからこそだと思います。

 

 

この度、新たに町田市で役目を終えた消防ポンプ車2台と可搬ポンプ1台が、27年ぶりにブータン王国に向けて出港したとの話をお聞きしました。

 

 

そこで現在の進捗状況をお伺いいたします。

 

 

 

 

答弁(防災安全部長)

2018年7月に、ブータン王国から消防ポンプ車寄贈の要請文を収受。以降、ブータン王国と寄贈に向けた調整を開始。

2019年7月に、日本外交協会に寄贈の仲介を依頼、翌2020年1月に、日本外交協会へ消防ポンプ車2台の引き渡しが完了した。

2021年7月には、輸送船により、ブータン王国へ向け横浜港を出港した。

車両のブータン王国到着は、概ね2か月後と聞いている。

到着、寄贈手続き完了後、広報等を予定している。

ブータン王国からは操法指導や車両メンテナンス指導要員の渡航も要望されているが、外務省から感染症危険情報(渡航中止勧告)が発出されていること、またブータン王国は日本からの渡航者や日本人に対して入国制限を設けていることから、消防ポンプ車両の寄贈手続きが完了しても、当面の間、現地に赴くことは困難な状況にある。

そこで、人員渡航による指導等が困難な場合、動画等による指導を選択肢として検討している。

 

 

 

再質問①厳太郎

 

町田市からのポンプ車は、7月の末に横浜港を出港したとのことですので、きっと今頃は台湾とフィリピン、ルソン島の間を通過し終わり、南シナ海を航行し、マレーシアとシンガポールの間のマラッカ海峡に差しかかる洋上を航海中でしょうか。

 

「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて」有史以来初めて、日本、イギリス、アメリカ、オランダ、の共同訓練と、また一方でクアッドである日本、アメリカ、オーストラリア、インド、の共同訓練などが海上で立て続けに実施されている昨今に、町田市の消防ポンプ車2台がブータンに向けて悠々と洋上を運搬されていることを考えるとなかなか感慨深い気持ちになります。

 

 

これまで町田市消防団の消防ポンプ車は、市内での役目を終えると日本消防協会に預けられ、町田市の手を離れるか、約50万円のお金を出してスクラップにされるかのどちらかでした。

 

 

消防ポンプ車は購入から耐用年数の約15年間、市内いずれかの地域の消防団によって火災出場などの災害時やその訓練、また地域のイベントの警戒活動など、地域防災の要として使用されますが、

 

その特性上自家用車に比べれば走行距離は短く、また、常日頃から団員の手によって点検、整備、洗車されていて、常時ピカピカに磨かれていますので、耐用年数の15年を過ぎても整備状況は相当良く、スクラップにされてしまうのは大変もったいないと感じていました。

 

また、日本消防協会に預けるにしても初年度登録が古すぎる車両は受け付けていただけなかったり、預けても看板である「町田市」の名前が消されてしまったり、寄贈先も独自に選定できず、情報が少ないことから、どこに寄贈されどのように活用されているのかすら皆様の心から離れてしまっていることは日々消防ポンプ車を一生懸命に管理してきた消防団員のことを思うと、とても残念でした。

 

しかし、この度地元の小倉代議士や外務省のご協力の元、日本外交協会の海外援助事業を活用し、町田市防災安全部の職員の皆様のご尽力により、町田市が独自に消防車両を寄贈することが実現できることは大変嬉しく思います。

 

これまでの27年間取り組んで無かった事業ですので、今日に至るまで、理事者の判断から、寄贈に向けた情報の集約や日本の外務省や対象国との調整、言語の壁や各種手続きなど様々なご苦労があったことと思います。

 

本当にありがとうございます。

 

随分とご苦労があったかとは思いますが、この事により活用し終わった消防ポンプ車を諸外国に寄贈する町田市独自のノウハウが蓄積されたことと思います。

 

この蓄積されたノウハウを町田市が出来得る国際貢献として今後とも消防ポンプ車の寄贈に活用していっていただきたいと思いますがいかがでしょうか?

 

 

 

答弁①防災安全部長

消防ポンプ車の寄贈につきましては、これまで主に日本消防協会を通じて寄贈してまいりました。

今回、新たに日本外交協会を通じての寄贈が実現し、新たに仲介先の実績が出来たことにつきましては、今後の国際貢献に活用することができるものと考えております。

 

 

 

再質問②厳太郎

大変前向きで自信に満ちたご答弁、ありがとうございます。

 

日本と国交樹立間もない27年前に町田市からブータンに消防ポンプ車3台が寄贈されて以降、日本の経済援助は幅広い分野にわたっており、ブータン王国の国王から一般国民に至るさまざまなレベルから、累次にわたり感謝の意が表されており、ブータンは日本の国連安全保障理事国入りを一貫して支持しています。

 

また、ブータンは東日本大震災の際には、ワンチュク国王みずから100万ドル寄附してくださり、この事はGDPなどの経済規模や国力を勘案すると、3,000億円以上と計算されます。

 

この度、新たに町田市から寄贈される消防ポンプ車は、益々両国間の協力関係を確固なものとする事でしょう。

 

今回の町田市のポンプ車寄贈について大変お世話になっている、ペマ・ギャルポ先生にご連絡したところ、 「ブータン国首相顧問として心から感謝申し上げます。大使閣下を通じブータン政府の担当省庁から感謝の意を町田市に表明するよう手配いたします。」とのことでした。

 

(2016年、ペマ・ギャルポ先生(左)と会談した際の写真)

 

このような町田市の素晴らしい取り組みは是非とも広く市民の皆様にも知っていただきたく思います。

 

市民の皆様が知る事により世界の中での町田市を意識し、町田市の国際貢献や自分が住む地域に対して我が事のように考える機会となるでしょうし、更には町田市への愛着や誇りといったシビックプライドの創造に寄与する事だと思います。

 

この質問の通告時には「広報」についてはまだ考えていないとの事でしたが、先程のご答弁ですと寄贈手続き完了後、広報を考えているとの事でした。

それでは、どのような広報をお考えですか?

 

 

答弁②防災安全部長

具体的な広報の方法につきましては、プレスリリース、広報まちだへの掲載、町田市ホームページへの掲載、消防関係機関紙への掲載依頼などを、現時点では想定しております。

 

 

再質問③厳太郎

是非とも現地での様子なども写真で送っていただき、市民の皆様に広報お願いいたします。

 

それでは、消防団で活用し終わったポンプ車をブータン王国に寄贈したことについて、国際理解の視点から、学校教育の中で扱うことはできないでしょうか?

 

町田市が行っているこの特徴的な国際貢献は、町田市の小中学生にとって世界や、その中での町田市を知れる良い学びの機会となると思いますがいかがでしょうか?

 

 

 

答弁③学校教育部長

町田市の小・中学校では、オリンピック・パラリンピック教育の一環として、「世界ともだちプロジェクト」に2016年度から取り組んでおります。

この取り組みは、オリンピック・パラリンピック参加予定国や地域について幅広く学び、様々な人種や言語、文化、歴史など、世界の多様性を知るとともに、様々な価値観を尊重することの重要性を理解することを目的としています。

ブータン王国については、小学校2校、中学校2校の計4校が、学んでおります。

これらの学校に、町田市がブータン王国にポンプ車を寄贈したことをきっかけにした町田市とブータン王国のかかわりについて、紹介いたします。

 

また、小学校第3・4学年が社会科の副読本として使用している「わたしたちの町田」の中に関連情報として掲載することについて、今後検討してまいります。

 

 

 

再質問④厳太郎

小学校第3・4学年の副読本として使用している「わたしたちの町田」の中で掲載することを検討して下さるとのこと、誠に有難うございます。

 

また4校で学校教育の現場で取り組んで下さるとの事でした。

さらに全校に広がっていくことを期待しています。

 

 

 

第2次大戦後、イギリスは経済の様々な分野でイタリア、フランス、ドイツ、日本に大きく抜かれ、世界から「イギリスは過去の栄光以外に何もないと」揶揄されるほど衰退していく国家の見本のように語られた時代があります。

 

この事は世界から「イギリス病」「英国病」と呼ばれていました。

このイギリス病の原因の一つとされているのが当時イギリスで行われていた自虐史観教育です。

 

イギリスのアイデンティティーを罵るような歴史教育の影響で国民は誇りや自信を失い、経済的にも疲弊し、子供たちは勉強に後ろ向きになり、少年犯罪率が高まり、社会の崩壊まで危惧されていました。

 

自国の歴史と伝統を放棄し、地域や国家を誇りに思わないようにする教育は人を無気力にさせ、個人を不幸にし、社会の崩壊を招きます。

 

当時のイギリス、サッチャー首相は日本の教育を手本とし教育改革を行う事によりイギリスは自信を取り戻し、「イギリス病」を克服していきます。

 

町田市の小・中学校では、様々な人種や言語、文化、歴史など、世界の多様性を知るとともに、様々な価値観を尊重することの重要性を理解することを目的に教育がなされているとの事ですので、

 

この度の町田市の全国の自治体に誇れる取り組みと、ブータン王国のワンチュク国王が震災後初の国賓として来日され、日本の国民に向けて衆議院本会議場で演説をされた内容(※)なども含め、教育の場でご紹介いただければより世界の様々な価値観を知れるでしょうし、尊重することの重要性を理解できると思いますがいかがでしょうか?

 

 

 

答弁④学校教育部長

日本と世界の国々のつながりについては、小学校第6学年の社会科「日本とつながりの深い国々」の学習の中で、「我が国と関係の深い国の生活やグローバル化する国際社会における我が国の役割」について学習しております。

また、中学校社会科の公民的分野では、「国際社会に生きる私たち」の学習の中で、地域環境、資源・エネルギー、貧困などの課題の解決のために経済的、技術的な協力などが大切であることについて学習しております。

このような学習を通して、ブータン王国を含む世界の様々な価値観を理解し、グローバル化する国際社会の中で主体的に生きる力を育てていくことが、大切なことであると考えております。

 

 

 

まとめ(厳太郎)

「国際社会の中で主体的に生きる力を育てていくことが、大切なことであると考えている」とのご答弁でした。

 

東日本大震災の後、ブータン国王は来日し、衆議院本会議場で、 

 

「日本は以前、開発途上地域であったアジアに自信と進むべき道の自覚をもたらし、世界に希望を与えてきた。

世界は常に日本や日本人の強く逞しい国民性を大変な名誉と誇りを持って見ている」とお話しされました。

 

町田市の小中学生はタブレット端末で主体的に学んでいますので、町田市からブータン王国に寄贈されたことを機会に主体的に検索し、このブータン国王の演説全文(※)に出会い、世界や日本に思いを巡らせてくれることを期待します。

 

 

今回の質問は「町田市が出来得る国際貢献について(パート5)」とのタイトルで、実現しつつあるブータン王国への消防ポンプ車の寄贈について、広く市民に知っていただく広報や教育での活用の部分についてお聞かせ願いました。

 

本来ですと消防ポンプ車の寄贈と合わせて幹部団員による現地での操法指導もセットで考えられていましたが、新型コロナウイルスの影響で渡航を伴う人的貢献は中々難しい状況です。

 

しかし、物を送るだけではなく、これまで行ってきた町田市の伝統や技術を伝える国際貢献の核にもなる部分ですので、コロナ禍が明けるのを待ちたく思います。

 

また、今回の事業を通じて町田市が得たノウハウの今後の活用法もこれから期待していますので、引き続き宜しくお願い致します。

 

 

結びに、理事者のご英断と防災部の皆様のご努力、また町田市消防団長のご理解、関係者のご協力に心より感謝致しますと共に、

 

 

1994年のポンプ車寄贈への尽力から始まり、27年後の2021年の今回の寄贈に繋がるよう多大なるアドバイスをいただきました沖 元都市づくり部長に御礼申し上げて今回の一般質問を終わります。

 

本当にありがとうございます。