いつも通りの自分語りがっつりの記事なので、苦手な方はそっ閉じお願い致します
また戦国ど素人で、詳しい方からしたら「わかってねーな」という感じかも知れませんが、お許しください
できるだけネタバレ無しで書きます。
夏休みに帰省した時に弟に「信長のシェフ」が完結し、お勧めされたので読んでみました。
「信長のシェフ」
全37巻あり、2011年から2024年まで週刊漫画TIMESで隔週連載されていた。
私のセンスの欠片もない文章も相まって、
「タイムスリップw いや、ちょっと遠慮しとこうかな…」
と思いそうな感じがぷんぷんしてしまうのですが、この漫画が大好きになりまして。
もうドイツ旅行の文章がやっつけ仕事になるほどに(おい)信長のシェフのことを誰かに聞いて欲しくて…!感想など書き殴らせていただきます。
10巻くらいまで実家にあって、過去に読んだことがあるのですが、
最初の頃はどちらかと言うと「料理」が前面に出ていて、料理の知識と技術で問題を解決!という側面が強い感じがします。
いや、それはそれでおもしろいんですけどね!
子どもの頃、家の近くの洋食屋さんに「美味しんぼ」が置いてあって読みまくっていたので、料理で解決系漫画は好きです。
(雄山のブチ切れも好きでした。)
食材の産地とおもてなしする方の出身地をかけて…とか、過去の和歌に因んで…とか、それで食べた人が和解…とかそんなの大好物。
ですが、この漫画が白眉である(と感じた)のは歴史上の丁寧な人物の描き方なんです。
これまで私は戦国時代ってそこまで惹かれなくて。
小学校で戦国時代の偉人伝記を読んで最初は「面白い!」と思って一通りは読んだのですが、何というか伝記スタイルだと誰が主人公かで全然描き方が違い過ぎて、かと言って全体を俯瞰した目線で描きつつ心沸き立つ本には出会えず、裏切りまくり戦いまくりの世界から何となく距離をおいてしまいました。
兄が歴史雑学好き&名作ゲーム「信長の野望」にハマったのをよく見ていたので、案外戦国メンバーはわかるし、小ネタは知っている(のかも、と今回信長のシェフを読んで気づいた)のですが、武将とかに心が浮き立つ感じはあまりないのです。
が
信長のシェフはそれぞれのキャラクターがすごくいきいきと魅力的に描かれていて、主人公ケンという現代人の価値観を介していることもあってか、ちょっと冷静に俯瞰しているところもあり。
私は自分の価値観で相手を哀れむ感じがして「かわいそう」という言葉が時としてあまり好きではないのですが、
ケン自身が誠実で胆力パネェ人物でもあり、無闇に相手をかわいそがらず相手の思いをすごく尊重していて、清々しいのです。
基本的なエピソードはおそらくほぼ史実に沿っていながら、「裏切りまくってほんと最悪。こいつ悪者!」とか、「最後裏切られまくって本当悲惨でかわいそうな人生でした」とかでなく、裏切ったり志半ばにして散った武将たちもそれぞれの人生を生き切った。そこへのリスペクトが滲み出ていて。
武田勝頼の最後の戦いや上杉謙信の上洛や佐久間信盛の追放、本能寺の変など、おこった出来事はそのままにその背景を独自(?)の解釈で埋めていて、「創作と現実の境界のボカし方」が秀逸で「本当にそうだったのではないか」「そうであったならいいな」と思わせる説得力と描写力がある。
裏切りまくりなことで有名な松永久秀とか、今まで好きではありませんでしたが、妙な魅力を感じたりもしました。
余談ですが…
こういうちょっと「えっ?本当かも?」と思わせるボカしでふと思い出したのが、魁!男塾。
(読んだことがない方が大多数であろうに、このブログに何度もしつこく出てくる。)
ほんと、荒唐無稽な硬派バトル漫画なんですけどね。その中で度々「民明書房」という架空の出版社の刊行物を参考文献とする解説文がしばしば挿入されるのです。
大好き過ぎて、貼り付けまくってすみません。
もちろん作中では架空とかそんなの言わないので、小学生の頃は本当にあるものだと兄弟全員で信じていました。
フィクション?…いや実在するかも?という感じは、もはやサンタクロースレベルでしたね(サンタごめん)
で、特に後半に向けてこの史実と絡めた描写が素晴らしいのですが、元々この漫画は10巻までは原作の方と作画の方が違っていたのですが、11巻で原作→料理監修となり、12巻からは作画の方のみでそのまま37巻まで完結させています。
理由は喧嘩別れ、というか方向性の違い(調べると色々出てくるのですが、原作者の方の提案は読者には確かに受け入れ難そうな展開…かも…?)だったようですが、原作者の中にあった世界を1人引き継いで丁寧に描ききったのは色んな意見があるかも知れませんが、本当にすごいなと思いました。ちなみに私はむしろ10巻代半ばくらいからが好みなので、梶川卓郎さんの描く世界の方に惹かれたのだと思います。
どんどん話が逸れますが…
原作者なしで歴史物とか推理物を描かれている漫画家さん、あまりに凄過ぎて、本当に頭の中どうなっているんだろう…と思ってしまいます。
名探偵コナンの作者の青山剛昌さんとか。
元々サンデーのYAIBAとかマジック快斗とかのイメージで、ちょうど金田一少年の事件簿が流行っていたので、「えーYAIBAの作者さん、探偵物やるなんて!」と当時びっくりしたものでした。
何かのインタビューで
「コナンに出てくる犯人は『同情の余地なく悪者』という設定にしています。子どもたちへのメッセージとしね、殺す側にも言い分があるという風にはしたくない。」
「トリックも子どもたちが真似しようとならないような無理と現実の真ん中くらいで考えています」
(うろ覚えですが…)みたいなことをおっしゃっていたのを読んで、なるほどと感じたのを覚えています。
歴史物だと、ママはテンパリストやかくかくしかじかの作者の東村アキコさんの雪花の虎。
上杉謙信女性説を元に描かれた歴史漫画ですが、従来の謙信のイメージとがらりと違う描き方で東村先生ご自身も登場したり、真面目とギャグのバランス感覚がやっぱりものすごい。歴史物としてはもちろん、東村アキコ節で執筆の裏話的なことも出てくるので色々な意味でとても面白かったです。
戦国時代を題材にした物語を読むと、偉人がたくさん出てきて、そして戦い、殺し合う。改めて今の日本の平和や自分の凡庸さを実感し、その他大勢の一員としてしっかり社会を支えたいなと思ったりもします。
そんなこんなで、信長のシェフを読み終わって、俄かに戦国づいた私はYuYuAsobiが観に行かれた「もしも徳川家康が総理大臣だったら」を観に行きました。
もちろん戦国の話ではありませんが、信長たちに会いたくて
確かに小ネタ大ネタ満載のおもしろさの中に、なるほどと思うところもあり良い映画でした
タイミングが合わず1人鑑賞だったのですが、また子どもたちとも観てみたいなと思いました。
また、大阪城を一望できる歴史博物館へ行きました。
写り込みまくって見づらいですが、大阪城とお堀がきれいに見えます。
(信長脳で行ったので、むしろ「石山本願寺…!」と心の中で呟く人)
歴史博物館自体は戦国はあまり出てきませんでしたが、大阪の発展の歴史を知ることができてとてもおもしろかったです。ジオラマがたくさんあって、だいぶ大阪の地名にも馴染んで来たところだったので息子も大阪の歴史を楽しんでいました。
ちなみにこの建物の隣にはNHK大阪放送局があり、「光る君へ」の等身大パネルがありました。
(私は光る君は見ていなくて、ちっぷさんの感想のみでストーリーを推測しているので、改めてビジュアルを見てちょっと感動しました。)
今は司馬遼太郎の国盗り物語を読み始めました。また違った描かれかたの信長たちに出会えるのが楽しみです。
堺に友人がいるので、堺の方に時々行くのですが、友人の友だちが刃物屋さんだったり、納屋衆の系譜の方だったりして、はわわーとなったりしています。
関西圏に引っ越して半年。
歴史的文化遺産が身近にあることに感激しつつ、自分の中に芽生えた新しい興味を楽しみたいと思います。