小田玄紀です
8月1日のビットコイン分岐について、多くの問合せ・ご質問を頂いています。もともとビットコインのフォークについては昨年から話題にはなっていたのですが、7月中旬頃からこれが「問題」とか「危機」という表現で取り上げられるようになり、一部の間でミスリードされているようです。
ここ最近になって、他の仮想通貨交換所の方やアナリストの方が適切な解説をして頂いたこともあり、混乱は収束傾向にあり、また、ビットコインの価格自体も戻っているところからも実際の仮想通貨ホルダーは冷静な対応をしているというのが実態ではないでしょうか。
さて、とはいっても今回のビットコイン分岐が「問題」なのか。そして、これからどうなるのかという点については簡単に説明をしておいた方がいいと思い、久しぶりのブログ更新です。なお、専門用語での解説は他の方もしているために一切の専門用語を使わないで解説を試みます。
まず、今回のビットコイン分岐は「問題」というよりも「課題を解決するための方法」です。
ビットコインの取引量が増え、ブロックチェーン認証に時間がかかるようになりました。この課題を解決するために大きく2つの考え方があります。1つが処理容量を上げる取組です(携帯でいうと16GBから32GBに容量をアップグレードすること)。もう1つが処理速度を上げる取組です(回線を3Gから4Gに変えること)。
両陣営共に『ビットコインの承認速度を上げること』を目的にしています。ただ、その方法が異なる。ただそれだけです。
今回、7月23日に行われたソフトフォークは後者の4G化が行われました。そして今後は前者の32GB化も行われるようになります。
・・・それだと何が「問題」かということです。冒頭に書いた通り、今回の分岐は「問題」ではなく「課題を解決するための方法」であり、その方法が異なっている。それだけの話です。
ただ、今回の解決方法の1つとして新しい選択肢が出てきました。それは「ビットコインキャッシュ(BCC)」という新しい仮想通貨が創出されます。
これはビットコインのブロックチェーンを継承した、新たな仮想通貨です。8月1日に、ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCC)という2つの通貨が出来てきます。
多くの仮想通貨取引所が8月1日にサービスを停止するのは、一度BTCとBCC2つのブロックチェーン情報をインストールするためです。これをしないと利用者がBTCを送ったと思ってもBCCのブロックチェーンに書き込まれる可能性があるためです。
イメージでいうとWindowsをアップグレードしたら従来使っていたソフトが使えなくなる可能性があるため、ソフトを最新版に更新する。そういうことです。
このインストールには大体2~3時間程度かかります。両方のブロックチェーン情報をインストールして、システムがきちんと稼働するかの検証を行うための期間として1日間程度取引を停止する。これが8月1日のサービス停止の内容です。
銀行などでもシステムメンテナンスは週末などによく行われます。仮想通貨取引は24時間365日なので、大きなメンテナンスを行うことはあまりありません。今回はビットコインに関するメンテナンスを行う話であり、決してビットコインが消失するとか危機という話ではありません。
そして、何よりの特徴はビットコインキャッシュ(BCC)という新しい通貨がビットコイン(BTC)保有者には同数付与されるという点です。
つまり8月1日のフォーク時に10BTCを持っている人は10BCCを新たに付与されることになります。これもイメージでいうと3月31日時点で上場会社の株式を持っている人には株主優待がもらえる・・・というようなものと理解頂いた大丈夫です。
BCCも従来のBTCからブロックチェーン情報を引き継ぐため、自動的に同数の権利を持つことになります。
この話をすると、多くの人は「それなら8月1日までにビットコインをもっておいた方がいいのではないか」と考えるのではないかと思います。これは正解ともいえるし、そうでないともいえます。
というのも8月1日の分岐については本当に行われるか、また、行われたとしてその後のビットコイン(BTC)およびビットコインキャッシュ(BCC)の価格がどうなるかということは誰も分かりません。
これから主要マイナーがBTCではなくBCCに移行するためにBTCの価格は下がるという考えもありますし、逆にBTCの承認速度が改善されてBTCの価格は上がるという考えもあります。
参考までに現在BCCの価格は400USドル程度
https://coinmarketcap.com/currencies/bitcoin-cash
がついていますが、この価格もあくまで先物価格であり、上がるかもしれないし、下がるかもしれません。
常々言っているのですが、投資に絶対はありません。そうした意味ではどちらに振れてもいいように、許容可能リスクの中で投資はするべきです。
なお、分岐前にBTCを保有している人にはBCCが付与されるという説明をしましたが、これはどうやったら受け取ることができるのかというのを多くの方が疑問に思うと思います。これはウォレットによって変わってきます。日本人で仮想通貨を保有している人の多くは仮想通貨交換所で口座を開設し、その中でウォレットを有していると思います。
そういう方であれば仮想通貨交換所の方でBCCの付与について対応をしてくれます(なお、交換所によって方針は変わります。一部はBCC付与をしないというところもあります。参考までにBITPointはBTC保有者には同数のBCCを付与します)。
また、BCCについては今後の動向をみて仮想通貨交換所でも売買取扱いについて決めていくと思います。BITPointではBCCの付与や送付については8月2日以降に早々に対応を予定していますが、BCCの売買については一定期間様子をみてから実施をしていきます。
これはBCCの売買取引価格については適正価格がまだ判定できないためです。つまり、現状では400USドルの価格が暫定でついていますが、この価格で売買可能としてしまうと問題が生じることも予見されます。
それは、まだBCCについては流動性がない中で多くの人が換金目的で売りをした場合にはBCCの価格は急落します。仮に分岐後に価格が急落したら、多くの方が「BCCは使えない通貨だ」というミスリードをしてしまう可能性があります。
他方でBCCの価格が1~2週間程度で高騰した場合、分岐直後に売った人からすると「情報がない中で売ってしまい損をした(逸失利益ではあるのですが)」となってしまうためです。
仮想通貨の価格特徴は「需要と供給」によって価格が形成される点です。そのため、まずはBCCの流動性などを適切に判断した上で売買は行えるようにした方がいいという考えからこうした措置をとることにしました。
以上、長くなりましたが一連のビットコイン分岐についての解説を、なるべく専門用語を使わないでしてみました。新しい商品やサービスははじめから完璧なものはありません。シンプルに「これから仮想通貨がより利用されるために、現在生じていた課題を解決する手法」として今回の分岐があると理解いただければ幸いです。
2017年7月28日 小田玄紀