観たよ♪「ロスト・キング 500年越しの運命」~事実を元にファンタジー色も加えた素敵な作品♪~ | 松丸元気のあ~ゆう事やそ~ゆう事

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※それなりにネタバレが含みます。

「ロスト・キング 500年越しの運命」

原題:The Lost King
製作年:2022年
製作国:イギリス
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
上映時間:108分

◆スタッフ
監督:スティーブン・フリアーズ
製作:スティーブ・クーガン、クリスティーン・ランガン、ダン・ウィンチ
製作総指揮:キャメロン・マクラッケン、ジェニー・ボーガーズ、ローズ・ガーネット、アンドレア・スカルソ
ジェフ・ポープ、フィリッパ・ラングレー
原作:フィリッパ・ラングレー、マイケル・ジョーンズ
脚本:スティーブ・クーガン、ジェフ・ポープ
撮影:ザック・ニコルソン
美術:アンディ・ハリス
衣装:ローナ・ラッセル
編集:ピア・ディ・キアウラ
音楽:アレクサンドル・デスプラ

◆キャスト
サリー・ホーキンス:フィリッパ・ラングレー
スティーブ・クーガン:ジョン・ラングレー
ハリー・ロイド:リチャード3世/ピート
マーク・アディ:リチャード・バックリー

フィリッパ・ラングレーは持病から職場で上司から理不尽な評価を受ける。別居中の夫との事もあり、仕事が辞められない中、ある日、息子の付き添いでシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞した彼女は、悪名高きリチャード3世も実際は自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと疑問を抱き、歴史研究にのめり込むようになる。
1485年に死亡したリチャード3世の遺骨は近くの川に投げ込まれたと長らく考えられてきた為、遺骨は不明であったがフィリッパは彼の汚名をそそぐべく、自身でリチャード3世のことを調べ始めるが、周囲でリチャード3世らしき人物を見かけるようになる…

映画館で予告編を観た時から、観たい!と思っていた作品を鑑賞しました。

で、感想はと言うと…面白い!
実話を元にしているが、そこにファンタジーテイストも加えていて、素敵な作品になっている。
それでいてクライマックスのリチャード3世の遺骨発見は事実に基づいた描写がされていて何処かオカルトチックでもあり、単にヒューマンドラマと言う括りでは言い切れない面白さがあります。

主演のサリー・ホーキンスは好きな女優さんで「シェイプ・オブ・ウォーター」が有名ですが、個人的には「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」の主人公モード・ルイス役が印象的。
ちょっと影があると言うか、何処か病に悩まされていて、報われない感じの役の印象が強く、今作でも筋痛性脳脊髄炎を患っていて不当な扱いを受けている人物を演じている。
でも、今作ではアグレッシブかつ割りと若々しく見えるんですよね。

リチャード3世は英国では遺骨が不明で発掘されるまでは醜悪な悪人と言うイメージをされていたが、それも歴史家の証言やシェイクスピアの戯曲のイメージが大きい。
そこに自身の重ね合わせ、不当を覆す為に真偽が定かではなかったリチャード3世の遺骨を発掘する。
それも駐車場のコンクリートを剥がしてもそんなに深い所では無かったのなんてなんかビックリですが、いろんな事が勉強になります♪

500年以上も遺骨が見つからず、ましてや様々な研究家がこうであったと結論付けたリチャード3世の歴史に真っ向から異論を唱える根性も凄いが、それを覆そうとする行動も凄い。もうこれは完全にリチャード3世愛としか言いようがないくらい。
日本で言えば、織田信長の遺骨を発見しようとしているようなもんでしょうかw
実際にリチャード3世の遺骨を発掘するのに辺り、直感と言うか何か感じる物があって発見したと言うが、それを説明するのって凄く難しい。
でも、駐車場の真下に遺骨があるなんて直感としか説明のしようがないと思うんですよね。
その辺りが「事実は小説よりも奇なり」でこんなことってあるんだ~と感心と言うかビックリ。
それをリチャード3世が自分の周りに現れてと言うアイデアはシンプルかつナイスアイデア。
なので、劇中でもフィリッパ以外は誰も見えないのが凄く面白い。周りからすると独り言を話す不気味さがあるがリチャード3世が見えているとコスプレにも見えるし、時折馬に乗って現れるw それがコミカルなんですよね。

周囲の理解がなかなか得られなかったフィリッパの行動が徐々に周囲に認められ、支援金も集まり、発掘作業に入り、遂にリチャード3世の遺骨を発掘するが多少の支援金を援助したレスター大学が我が物顔で自分達の手柄にするところはとても胸糞。
また仲間だと思っていた考古学者のリチャード教授も自身の大学復帰を絆されて、大学側の加担してしまう。
心情的にはフィリッパ側に付いているが完全にレスター大学側。
事実を元にしているので、劇中で大学側に天罰が下される件りは無いんだけど、正直“ここまで大学側を悪者にしても良いの?”と思ってしまう。
事実であったとしてもここまで悪者扱いされたら大学側の面目丸潰れ。実際に上映に当たっては訴訟寸前まで行ったらしいけど、レスター大学側も何処か後ろめたいと感じているところがある感じ。名誉は大学側で世の認識と真実はフィリッパ側と言った感じっぽい。
劇中でもラストで大英帝国勲章を授賞したとの事で報われた感はあるけど、レスター大学側は華々しくパーティーに参加して、フィリッパは講演呼ばれている対比はどっちが良いかと言えないけど、やっぱり切ないなぁ。

前半はいろんな事から屈折した感じで別居中の夫とも上手くいってなく、子供たちとも何処か距離がある。
そこからリチャード3世の名誉回復に遺骨発掘を試みるが、その行動に家族が振り回されていて正直ワガママにも見える。もうスティーブ・クーガン演じる夫のジョンの懐の深さを感じますがここまで善人だとちょっと出来すぎ感があり、ジョンの善イメージとレスター大学の悪イメージの振り幅が広すぎますねw

ラストでシェイクスピアのリチャード三世でリチャード3世を演じたピートとの出会いが良いんですよね♪

事実を元にしたヒューマンドラマでありながら、ファンタジー色もあり、何処かシニカル。少しオカルト的でもありますが勉強にもなる。
何よりも2時間内で収まる上映時間でテンポ良く進むのも良い♪
ミニシアター系の作品ではかなりお勧めの作品なので、ご興味があれば是非是非!