※多少のネタバレが含みます
「GODZILLA ゴジラ」
2014年公開のアメリカのSF怪獣映画
原作:東宝株式会社
原案:デヴィッド・キャラハム
監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:マックス・ボレンスタイン、フランク・ダラボン、デヴィッド・キャラハム、ドリュー・ピアース、デヴィッド・S・ゴイヤー
製作総指揮:坂野義光、奥平謙二、アレックス・ガルシア、パトリシア・ウィッチャー
出演者:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン、ブライアン・クランストン
1999年、フィリピンの炭鉱を調査していた生物化学者の芹沢博士と助手のグレアムらはそこで巨大な生物の化石を発見する。その化石には繭のようなものが寄生しておりそこから「何か」が誕生して海へと這い出た痕跡があった。同年、日本の雀路羅(じゃんじら)市にある原子力発電所に勤務するブロディ夫妻は近づきつつある謎の振動と電磁波を探知する。振動によって炉心が異常をきたしたため妻・サンドラは原子炉の調査へと向かうが直後、振動による事故で原発は暴走。夫・ジョーは妻の救出に向かうが間に合わずサンドラは死亡、その直後ジャンジラ原発が倒壊する。
それから15年後の2014年、ジョーとサンドラの息子・フォードは軍での任務を終えてサンフランシスコで待つ家族のもとに帰ってくるが、日本に暮らすジョーが警察に逮捕されたという知らせを受け、急遽日本に向かう。ジョーは事故の真相を探るべく、放射能汚染により立入禁止区域となったジャンジラ原発跡地に侵入したため、逮捕されてしまったのだった。ジョーはフォードと共にかつての実家に残されたデータを回収するべく放射能汚染エリアに再侵入するが、そこでは野良犬が元気に走り回っており、ガイガーカウンターにも放射線反応はない。実家にたどり着きデータを回収するも、現地パトロールに見つかり、原発跡地内に建造された研究施設に連行される。
研究施設で2人は、巨大な繭を目にする。それは、かつて原発事故が起きた際に観測された謎の電磁波と同じものを放っており、そこから何かが孵ろうとしている。研究機関「モナーク」の管理下にある研究所は、目覚めようとしている生物を食い止めるべく抹殺指令を下すも時すでに遅く、繭から昆虫のような細い足を持った巨大生物が現れて研究所を破壊し、背中から羽を伸ばして飛び去ってしまう。その際にジョーは重傷を負い、死亡してしまい、「ムートー」と名付けられた巨大生物は東へと向かう。
芹沢博士をはじめとする「モナーク」の研究者も米軍の管理下に収まり、フォードと行動を共にすることになった芹沢博士はフォードにモナークの活動目的と巨大生物の秘密について語り始める。
現在から約2億7000万年前の古生代ペルム紀、現在より高濃度の放射能に覆われていた地球では多くの巨大生物たちが生態系の上部で激しい生存競争を繰り広げていたが、ペルム紀末の大量絶滅とそれに伴う放射能濃度の低下により、彼らは地底深くへと追いやられていった。しかし、第二次世界大戦を皮切りに世界各地で核開発・実験が相次ぐようになったために地表の放射能濃度が上昇。そんな中、1954年に米軍の原子力潜水艦ノーチラスがとある怪獣を発見した。その後、米軍は実験を名目として怪獣への核攻撃を実行したが、逆に怪獣を強化する結果になってしまい、怪獣は攻撃後に行方不明となった。モナークは長年それを調査しており、芹沢博士はそれを「ゴジラ」と呼んだ。
フィリピンで発見された巨大な化石はゴジラの祖先にあたり、それに寄生していたものはムートーの祖先と考えられた。体内に原子炉を持つゴジラと、放射線をエネルギーとするムートーは闘いが宿命づけられた怪物だった。芹沢博士は、ムートーを排除するためゴジラも復活する、と推測した。
ジャンジラ市を去ったムートーはハワイに上陸。ロシア海軍のアクラ級原子力潜水艦を襲い、核燃料を捕食しながらホノルルの市街地に進行し、軍隊と戦闘を繰り広げる。ムートーの電磁波攻撃によってハワイは停電になり、暗闇に包まれる。そこへムートーを追跡してきたゴジラが上陸し、ホノルル国際空港にて対決する。
ここからは全世界を巻き込んだゴジラとムートー、そして人類の戦いが始まる・・・
国内版28作、1998年に公開されたハリウッド版ゴジラを含めると記念すべき30作目となる海外版ゴジラ2作目
とにかく16年前のハリウッド版ゴジラのイメージが多分に強くて、今回のも正直“どうなる事やら・・・”と不安になりながらも、気になっていた人も多いのでは
「ゴジラ」と付けなければ、あのハリウッド版ゴジラだって、そんなに悪い作品では無かったかな?と言うのが、時間が経ってから思った感想
ゴジラの定義はやっぱりあると思うから、あのゴジラに一番しっくりとしたタイトルを付けるのなら・・・「ジュラシックパーク:4」でしょうね~
そう考えると、あのジュラシックパーク:4は迫力があった(笑)
それでも、あの作品は当時は結構な失敗とされてるので、どうも海外でのゴジラの取り扱い方が日本とは違う様に感じる
それを分かっている筈なのに、それでもゴジラをまたやりたいと思う熱意はゴジラ愛が高いとしか言いようがない
そんなゴジラ愛が高い方々が作ったこのゴジラはアタリハズレは置いといたとしても、気になる作品だし、ハリウッドのもう常連と言っても過言ではない、渡辺謙さんも出演しているんだから、とりあえずは見ておかないと
で、感想はと言うと・・・
自分の予想と少し違った所はあるけど、まあまあかな
迫力もあったし、フォルムもゴジラの定義を踏まえてた。何よりも劇中のあのド迫力の叫び声とクライマックスでの放射能をムートーに向けて放つシーンは今作のゴジラの真骨頂と言えるんではないかな?
日本のゴジラよりも大きいと言う設定もあるけど、ゴジラのデカさが伝わってきた。だからゴジラの迫力は抜群
人間がどうあがいても太刀打ち出来ない、圧倒的な存在感のゴジラを見事に体現していると思う
及第点では十分にあると思うけど、ここからは個人的な感想
まず、敵怪獣のムートーが個人的にはちょっと頂けない
敵怪獣が出てくると言う予備知識が無い状態で観たので、先ずそれに驚いた
それこそ昭和29年公開の初代ゴジラの様に圧倒的な迫力で人間世界を滅ぼそうとするゴジラをイメージしてたから、これにはビックリ
また、このムートーがなんか「ガメラ」に出てくる敵怪獣のギャオスになんか似ている様に感じるんだけど・・・どう?
このムートーが出た事で、ゴジラの出現がもっと明確化したと言う事だけど、個人的には作品の質が結構チープになった感があるし、またそうした事によって、特殊部隊の存在が有象無象の存在にしか見えなかった
次回作も決定していて、他の怪獣のモスラとかキングギドラとかも出す予定らしいけど、そういう事なら確かにその後も怪獣が出現する伏線にはなるけど、他の怪獣じゃあ駄目だったのかな?
ムートーのビジュアルやゴジラが人間側の味方(一切興味を示さず、意に介していないので敵にすら思われていない)である事を考えると、なんかストーリーは平成ガメラに似てるとも思えるんだよな~
でも、ハリウッド版のキングギドラは個人的にはかなり観たいなあ~♪
また、二大怪獣の激突が主になった事で、細やかな設定が余計な味付けにも感じる
“人間がどうあがこうが、怪獣には敵わないんだから”ともう少しシンプルな設定でも良かったのでは?
特にムートーの出現設定が東日本大震災の原子力問題に乗っかった感が見えるし、日本人なら結構な数の人がそう感じるんではないかな?
例えば、9・11のアメリカ同時多発テロで破壊された世界貿易センタービルが実は怪獣の出現でああなったと設定されたとしたら、アメリカの人はどう思うかな?
もちろん、東日本大震災の原子力発電所の問題とアメリカ同時多発テロの世界貿易センタービルの破壊を同一線上に並べる事はナンセンスだと思うけど、何が言いたいかと言うと、どちらもその国の人にとったら、ナイーブな出来事ですよと言いたい訳
そう言った問題に乗っかるのなら、それこそ初代ゴジラの「人間が生み出した恐怖の象徴」と言うテーマにもっと基づいた方が良かったかなと思います
そうする事で、もっとシンプルな設定の方がより怪獣映画として際立ったと思うし、渡辺謙さんの芹沢博士の存在ももっと際立ったと思う
芹沢博士がただ単に解説しているだけの人になってたら、ちょっと勿体ないでしょう
人間界に突如出現した、絶対的な存在のゴジラは人間の事を衣にも介してしない。またゴジラが動く事で様々な超ド級の天災と同様の被害が出てしまう。それによって、人間や世界はどう関わっていくのか?と言うストーリーの方が良かったかな?と思う
まあ、芹沢博士なんて名前が出たら、初代ゴジラの設定を踏まえての制作と思ってしまうでしょう
ちょっと観る前から、ハードルを上げてたので、そうなっただけで、普通に面白いと言えば面白いです
でも、こうして欲しかったと言う要望も多数(笑)
やっぱりムートーはちょっとやり過ぎと思うし、渡辺謙さんだけが“ガズィーラ”ではなく、普通に“ゴジラ”と呼んでいるのは、日本のオリジナルゴジラのリスペクトからなのだと思いたいけど、それならば名前の由来が初代と同様、大戸島の伝説の怪獣「呉爾羅」に倣って呼ぶようになったとされる件は入れて欲しかったなあ~と思います
あと、伊福部昭さんのあの「ゴジラのテーマ」をアレンジバージョンで良いから、使ってみたら、もっとリスペクト愛が深まったと思うんですが、どうすか?