■背景
三重県津市において作られ、その昔、文政(1820年)の頃、津藩の家中にて公暇の余業に茄子形の団扇を作ったものが始まりです。「その形の優美にして雅趣ありて家中の人々に賞用せられ、藩候も亦、特に命じて之を作らせ、将軍家への献上品となし、又諸大名への進物として利用された」と伝えられており、余業の手工であるため多くはできませんでしたが、明治維新後に本業として製造を始め、茄子団扇の名を各地にひろめ、津の名産品となりました。昭和四十年代初めに最後の職人が亡くなってから途絶えた。製造工程を見ていた津市岩田の広告用品販売業「賀来商店」前社長の賀来信一さんが約20年前に復活させ、現在は信一さんの二男で現社長の隆さん(51)の妻、智子さん(47)が製作を引き継いでいる。
・津市で県の伝統工芸品に指定
■特徴
ふっくらとした形で、柄に近い部分にカシューナッツから作った黒い人工漆を塗り、ナスビの「へた」を表現。1月末から6月末まで製作するが、一つずつ手作業で仕上げるため、年間30~40本しか作れないという。価格は5000円程度から。