ブログには意識してこのようなことを書かないようにしていたんですが・・・・・
今月号(2010,6月号)のヤマケイに表妙義稜線の縦走路が取り上げられていました。縦走路の紹介といったような内容ではなく、このルートでの遭難急増に関することです。
今年になって、新聞の地元欄に、表妙義稜線の登山道から鎖を撤去する案が検討されているという記事が載りました。
しかし、今月号のヤマケイを読むと、全ての鎖を撤去するのではなく、鷹戻しの鎖とハシゴを撤去し、この区間を事実状閉鎖しようというものだったようです。
この縦走路の中でも最難関と言われている「鷹戻し」から鎖,ハシゴを撤去することにより、相応の技術を持った人でないと歩けないようにして、この稜線を歩くのに必要な技術や経験を持たずに入り込んでしまう、無謀な登山者を閉め出そうという意図のようです。
確かに、鷹戻しから鎖やハシゴが撤去されたら、このルートは一般登山道ではなく、アルパインクライミングのルートの範疇に入ると思いますので、クライミングの技術と装備を持たない人は入り込むことができなくなり、表妙義を歩く登山者は激減し、事故もかなり減らすことができると思います。
しかし、話し合いの結果、鎖撤去案は地元山岳会の猛反対により廃案となり、出された結論は、鎖の撤去とは正反対の、「危険箇所を整備し、より安全に通過できるようにする」というものだったようです。
主な整備の内容は
・鷹戻しにハシゴのルートを新設し、登りと降りのルートを別々にする。
・ルンゼ内2段25mの鎖場に、ステップ,鉄筋アンカーの設置
・コブ岩に鎖の設置
・ルンゼ内2段25mの鎖場に、ステップ,鉄筋アンカーの設置
・コブ岩に鎖の設置
だそうです。まだ予定の段階らしいですが、順次進めていくらしいです。
私はこの案に反対です。鎖の撤去も整備もせずに現状を維持してもらいたいです。最悪、鎖の撤去までは同意できますが、危険箇所の整備にはどうしても同意できません。
過剰な整備により、誰でも簡単に歩けるようになった表妙義縦走路なんてなんの魅力もありません。このルートには「一般登山道としては日本有数の難路」であり続けて欲しいと思っています。
「難路」であるからこそ、ここを歩いてみたくなるのであって、これを目標にして技術,経験を積み、初めて縦走を果たしたときの達成感は何とも言えませんでした。それなのに・・・・・
どうしても何らかの対策を取る必要があるのであれば、奥の院と中ノ岳の鎖を撤去したらいいのではないかと思います。

奥の院の鎖場

中ノ岳の鎖場
この2カ所は、いずれも稜線登山道への入口と出口にあたりますから、この出入り口を極端に狭くすることで、登山者を篩にかけられます。
それぞれには、反対側も鎖が撤去され、懸垂下降ができるだけの装備と技術を持たないと通過できないことを知らせる看板を設置します。
この2カ所を、鎖が無くとも登り降りできるだけの技術,装備を持っている登山者なら、他の難所も問題なく通過できるし、ここが無理なら入口から先に進めないことになりますから、嫌でも諦めざるを得ません。
また、地元の山岳会や登山者などに、フィックスロープが張られていたらこれを撤去するよう呼びかけを行えば無断で設置されたフィックスロープを使って技術不足の人が入り込むことも防げると思います。
タルワキ沢やホッキリなどのエスケープルートから入ろうとする人たちには、稜線に出たところに鎖の撤去を知らせる掲示板を設置すれば、その先へ進もうとは思わないでしょう。場合によっては、鷹戻しの1段目の鎖を撤去してもいいかもしれません。
それから、記事の中に気になる点がありました。
「週末の入山者は1000人を超えるものとみられ~」
私はベストシーズンの週末に何度も歩いています。5/9にも歩いてきましたが、途中で出会ったのは5人でした。
仮に1/10の100人だったとしても、途中で20~30人とは出会うんじゃないでしょうか?明らかにこの数字はおかしいです。
1000人とは、中間道を歩いている人を含めての人数と思われますが、中間道は小学生の遠足コースにもなっているレベルのピクニックコースですから、今回の問題とは全く無関係です。
「山の常識のある人は1割も来ていない~」
稜線で、「あれは非常識だろう」という人に出会うことは無いとはいいませんが、かなり希なことです。それとも私が「非常識な登山者」だから、非常識な人と出会っていても気がつかないんでしょうか?
「一般登山者でさえ手に余るコースに観光の延長でどっと人が入り込んできてしまった~」
文面から、登山を趣味とする人ではない観光客が稜線の登山道に多数入り込んだと私には読めますが、登山経験のほとんど無い人が果たしてあの奥の院の鎖場や、中ノ岳山頂への鎖場を登れるでしょうか? あの鎖場を見て「登ってみよう」と思うでしょうか?
中には登ってしまう人もいるでしょうけど、そんな人は極少数であり「どっと人が入り込んできてしまった」というような人数では無いはずですし、登ったその先へ進もうと思うでしょうか?
少なくとも、私はハイシーズンの尾瀬で目にするような、どう見てもピクニックというレベルの人を稜線の登山道で見たことはありません。
揚げ足取りはこのくらいにしますが、表妙義稜線の登山道が変わってしまうのは悲しいです。

2010年5月22日の事故現場 コブ岩(たぶんここのことだと思います)