観光客が増えることは地域経済にとって重要ですが、交通混雑やマナーの問題などによって、地域で暮らす方々の生活に負担が生じてはなりません。今回、「鎌倉に来たら、もう一か所」のように、人気の観光地から周辺地域への周遊を促すとともに、観光振興と住民生活を両立させる取組みを求めました。知事からも、住民の目線に立った観光地域づくりを次期観光振興計画に位置付けるとの答弁がありました。今後、その具体的な取組みを確認していきます。
石川】次に、オーバーツーリズム対策と持続可能な観光の推進についてです。
先般発表された「令和7年の県内入込観光客数」は2億1,736万人と過去最高となり、一部の観光地へのさらなる集中が心配されます。我が会派ではこれまで、こうした観光客の集中によって、交通渋滞や電車、バスの混雑、マナー違反など、地域住民の生活に影響を与えている問題を繰り返し取り上げてきました。
これに対し、知事からは、位置情報などのデータを活用して観光客の動きを分析し、モデルコースなどによって県内周遊を進めるほか、ナイトタイムエコノミーなどを充実させ、宿泊につなげていくとの答弁がありました。しかし、県の「令和7年度観光客実態調査」では、国内の宿泊客が県内で立ち寄る場所は平均2.4地点と前の年度よりわずかに増えたものの、日帰り客は平均1.5地点で令和5年度から変わっていません。さらに、国内観光客のうち宿泊する人の割合は16.7%で、前の年度の18.5%から低下しています。
県は分散や周遊、宿泊を促してきましたが、立ち寄る場所は大きく増えず、宿泊割合も低下しています。なぜ周遊や宿泊につながっていないのか、その原因を検証する必要があります。その上で、観光客にはそれぞれ目的地があることを踏まえ、鎌倉を訪れた人を無理に遠くへ誘導するのではなく、「鎌倉に来たら、もう一か所」「横浜に来たら、もう一か所」というように、人気の観光地から足を延ばしやすい場所へつなげる視点が必要と考えます。
そして、持続可能な観光を進めるためには、地域住民の生活を守る視点も欠かせません。鎌倉や箱根などでは、交通混雑をはじめ地域ごとに課題があります。周遊や宿泊を増やす一方で、これまでの対策によって住民生活への影響がどこまで改善したのかも検証する必要があります。現在、県では次期観光振興計画を策定中です。こうした検証結果を、次期計画の具体的な取組みにつなげることが大切です。
そこで知事に伺います。立ち寄る場所の数が大きく増えず、宿泊する人の割合も低下している現状を、どのように捉えているのか。また、「もう一か所」への周遊や宿泊につなげ、地域住民の生活と観光振興を両立するため、次期観光振興計画にどのように反映していくのか、所見を伺います。
黒岩知事】県は、これまで、市町村や観光事業者と連携し、デジタルラリー等により観光客の周遊・分散を図りながら、誘客に取り組み、令和7年の入込観光客数は過去最多を更新しましたが、来訪者が一部の地域に偏り、立ち寄る地点数の伸び悩みも見られます。
また、昨年度、県が実施した住民満足度調査によると、例えば、インバウンドが急増している鎌倉を含む湘南エリアでは、「外国人観光客が『減って欲しい』と思う割合が3割を超えるなど、住民生活に影響が生じています。今後、観光振興と住民生活への配慮を両立していくためには、観光客を受け入れる住民の目線に立った観光地域づくりの視点も重要です。
そこで、需要の平準化を図るため、これまで発掘した県内各地の観光資源の更なる魅力向上や、朝や夜も楽しめるコンテンツの充実などに取り組むことで、観光客の立ち寄り地点数の増加や宿泊につなげます。
また、観光客に対しては、引き続き、多言語でのマナー啓発に取り組むとともに、住民生活に配慮して、観光を楽しんでいただくよう「責任ある観光」を促す取組を検討していきます。
さらに、観光消費額に基づく経済波及効果を推計し、税収効果や雇用創出効果などのメリットを示すことで、住民に対して、観光振興への理解と協力を促していきます。こうした視点や取組を次期観光振興計画にしっかりと位置付け、市町村や観光事業者等と連携しながら、持続可能な観光の実現につなげてまいります。

