2023年10月17日(火) 蜘蛛の糸 | 雪解けの先に広がる足跡

雪解けの先に広がる足跡

ADHDの夫とHSPの私。
2022年冬に北海道へ移住。
日々のできごとを綴っています。

昨日書いた、蜘蛛の話。

私が住んでいるのは住宅街で、皆さん結構大きなお庭をお持ちなので、夕方に散歩をすると5センチくらいのオニグモが至る所に降りてきて、自分にくっつきそうになるので怖かった。
私の実家の庭にも、何度も何度もやってくる、たくさんのオニグモ。
父は庭に作られた立派な巣を見る度に、それを壊して主を石で潰すという、亀をいじめる子どもA役みたいなことをやっていた夏。

私も虫はどうしても好きになれないので、オニグモが出た場合にはどうにかしてもらっていたのだが、母の場合は
「蜘蛛に生まれ変わったら潰されたくない」という理由で一応殺さずに逃がすというやり方だった。

1か月前あたりから、私たちのしごと部屋の窓の外に大きな蜘蛛が現れた。
庭に出てくる蜘蛛よりも小ぶりで、窓の内側から写真を撮ってGoogleで検索してみたところ、『ニワオニグモ』という種類と判明。
3センチくらいの蜘蛛だった。

夕方、涼しくなると巣の真ん中に降りてきて、ずっとこちらを見ている。
朝になると屋根のサンの部分に隠れて日陰で寝ている。
雨で巣が壊れると、次の日に大急ぎで作っている姿が見られる。
そして夕方から夜はずっと動かず、逆さまになってこちらを見ている。
目が丸く、カニのような感じだ。

寒くなってきたのでご飯になる虫があまり飛んでいないのか、巣にかかっているところはあまり見なかった。
それでも小さな虫がついていると、それを取って一生懸命口へ運んで食べる。
その姿もよく見えた。

私はどんなに小さくても虫は嫌いだ。
それなのに、「かわいい」という感情が芽生え、毎日毎日、何度も何度も見て、元気かどうか確認するほどになっていた。

あまりにも毎日くるし、逃げないので、もしかして愛兎の魂を持った蜘蛛なのではないかと感じはじめた。

また兎に生まれ変わったら一緒に暮らすと約束したのに、最近は家の事情もあって喧嘩が増えて、心配してきたのではないか。
私たちが辛い状況に置かれていることを気にしてきたのではないか。

ご飯を一生懸命食べる姿も愛兎にそっくりだったし、弱っても弱っている姿を隠そうと頑張る姿も似ていた。

結局最後に立派な巣を作り直してみたけれど、ご飯もかからないまま冷たい雨が降り、壁際に非難していたニワオニグモは私たちが寝ている間に巣ごといなくなっていた。
雨と風で壊れた巣だけが残されていて、3本くらいまっすぐな蜘蛛の糸が張られているだけだった。

きれいな巣はなくなっていた。

いつも昼間に寝ていた場所にも見当たらない。
最後に巣を作り直した日は、いつも昼間は日陰で寝ているのにずっと巣の真ん中で寝ていたし、動きも鈍くて弱っていそうな感じはしていた。

私たちの実家メンタルも限界に達し、車のローンが終わったら賃貸でも引っ越すことに決めたので、愛兎の魂に会えるのはそう遠くないかもしれない。
でも、絶対に兎になって帰ってきてほしい。
蜘蛛になっても飼ってあげられないから、そこはよろしく。