またしても群馬に「陸封」されて「降海」できない琵琶湖の鮎みたいになっております(笑)。折角なので当地の釣具屋さんに何か面白いモンは無いかと覗きに行ってきました。

 



 沼田市には関西のマックスとかブンブンみたいな大きな釣具屋さんはありません。昔ながらの個人商店が2軒あり、こちらの記事でご紹介している「石田釣具店」は鑑札の販売ぐらいしかしておらず、禁漁期の今はほぼ閉まっているのでこちらの「アオキ釣具店」へ。ここも大概古い店です、だってこの看板…RYOBIとマミヤオーピーは釣具止めちゃったしNFTはシマノに吸収されて今は無いですもんね(^^;。



 利根沼田エリアはたくさんの川が流れており、私が昔住んでいた家から歩いて行けるこの薄根川にも鮎やヤマメがいます。また、こっちには管理釣り場も多いので、ここの店の主力商品はトラウトルアー、友釣り用品、ワカサギ用品です。余談ですが、この「鈴森の湯」って日帰り温泉なんか管理釣り場とBBQ場が併設されてて、イワナ釣って焼いて食べて源泉掛け流し温泉に入って帰れたりします、天国や~ん(笑)。



 ワカサギも関西みたいに岸や桟橋から釣るんじゃなくて氷上の穴釣りです。この赤城山のてっぺんに大沼という湖があって、今がまさに最盛期。憧れるんですけど行ったことないです、当然天気が荒れると釣りどころじゃないし、山頂は氷点下10度以下で相応の装備がないと無理だし関西じゃ穴釣り道具なんか使わないし(^^;。

 



 というわけで今回の狙いは毛鉤類。関西じゃあまり売ってないですし。まずはこちら、もりもと製のハエ毛鉤(流し仕掛け)。



 もりもとは鮎毛鉤メーカーでもあるので、当然ちゃんとした伝承ハエ毛鉤です。銘柄は仕掛けの上側(画面右)から「かげろう」「カラス」「清姫」「猩々」「菊水」「双葉」「青清姫」かな?先玉も金玉もこちらの記事の巻き方解説みたいに漆を盛って金箔を張ってある本式です。お値段も1,680円と結構します…迷いましたが資料用だと思って購入(^^;。



 ちょっとほどいてみましたが、飛ばしウキからエダス2㎝で枝間30㎝の7本鉤、最後にセル玉があって一番下が青清姫なのでウキから下だけで全長2.5mもあります。道糸5.4m付いているので全長は8m近く(流し毛鉤は遠投するため、ウキが竿の握りぐらいに来る)…うわ~、コレちょっと私には使いこなせないわ~、絶対絡ませちゃう(^^;。

 



 これは私の手持ちのハエ毛鉤仕掛けですが、こういうチャッチぃのんで鉤数も3本ぐらいで十分やと思います。

 



 本式の鮎の流し毛鉤仕掛けも持っています、これはがまかつ製。鉤は仕掛けの上側(画面左)から椿姫、清水、国華11号、二日月、八ッ橋荒巻かな。あまり知られていませんが、がまかつって元々播州の釣り針メーカーなので当然鮎毛鉤も自社製造しています。

 



 もうひとつ、関西では見かけない毛鉤仕掛けがありました、鮎のチンチン釣り仕掛け、お値段900円。こちらでご紹介している、私の毛鉤巻きの師匠Fさん開発の「鮎バケ」もチンチン釣りに使うものですが、これがその原型の仕掛けです。小さな玉ウキと1号のガン玉がついています。



 使っている毛鉤は仕掛けの上(画面右)から茶熊、新サキガケ、するすみ…ド定番ですね。

 



 師匠のバケ鉤仕掛けはエダス6㎝以上、枝間20~30㎝程度ですが、これはエダス2㎝で枝間12㎝、下鉤からガン玉まで20㎝とコンパクトです。チンチン釣りは元々鮎毛鉤でやるものなんですが、Fさんは高価な鮎毛鉤じゃなくもっと簡単な毛鉤で、エダスを長くして鉤がよく踊るようにした方が鮎の追いが良いことを実釣を重ねて発見し、独自のスタイルを確立してらっしゃるのです。

 バケが鮎毛鉤よりシンプルな理由は、エダスを長くすると鮎が暴れた時に縮れて鉤の動きが不自然になるため、ダメになったら使い捨てできる安価でシンプルな鉤にされたのです。師匠なんかハリスが撚れた仕掛けは投げるだけ時間の無駄だと惜しげもなく捨てて、1回の釣行で仕掛け20セットは使います。毛鉤を40本使い捨てにするわけで、単価500円以上する鮎毛鉤でそれをやったら1回の釣行で諭吉さんが2~3人飛んで行きますもんね(^^;。

 



 父が所蔵していた50年ぐらい前の清流・渓流釣りの教本に毛鉤流し釣りとチンチン釣りの仕掛け図が載っていましたのでご紹介しておきます。これによるとチンチン釣り仕掛けはエダス2.5cm、枝間4㎝でガン玉まで6㎝とありますが、多分このチンチン釣り仕掛けはオモリを底から浮かして流すのだと思います。F師匠のチンチン釣りは必ずオモリが底を叩くように流すことで鉤を躍らせるのが特徴で、そのためガン玉は石に引っ掛かっても軽く引っ張れば抜けるよう、強くカシメないで指でギュッと押し潰すだけです。

 



 上の流し仕掛けの方には、裏に釣り方心得が書いてありました。流し仕掛けは基本自分の釣り座から対岸方向へ投げて、ラインを張って時々アクションを入れながら扇状に流し、最後はしばらく流れの中で止めてアタリが無ければ引き揚げ、流す筋を変えて投入するという釣り方。関西では「シバキ釣り」と言って、主に夕暮れ直前に虫がハッチ(羽化)する時間を狙って釣ります。日中は表層を狙う流し毛鉤にはあまり反応しないので餌釣り有利ですけど、チンチン釣りなら日中も釣れます。



 琵琶湖河川での小鮎釣りは「ラセン」にマキエを握りつけたものを胴突仕掛けの一番下に付けるスタイルですが、これは鮎の餌釣りとして逆に非常に珍しい釣り方で、多くの地方ではこういうシンプルなウキ釣りです。

 



 琵琶湖の釣りしか知らない人は「マキエはどないして撒くん?」と思うでしょうけど、こないして撒くそうです(^^;。ところ変われば釣り方変わりますねぇ。

 ああ、毛鉤見てたら陽光煌めく犬上川や知内川が恋しくなってきました…。上の薄根川も、今は河原に雪が積もっています。もうすぐヤマメが解禁になりますけど、もちろん琵琶湖河川みたいに勝手に釣っちゃダメです、利根川水系は支流に至るまで全ての川に包括的な漁業権が設定されているので鑑札が必要です。鮎が踏むほどウジャウジャいる川で、タダでなんぼでも釣ってエエなんて、余所の地方の人が聞いたら羨まし過ぎるでしょう…琵琶湖の恵みってホンマにありがたいですね。

 そうそう、2年連続で起きなかった「琵琶湖の深呼吸」こと全層循環が今年はついに確認されました(^^)。湖北の湖盆の底で元気に泳ぐ魚の姿も確認されているそうです、今年も例年のように楽しい小鮎釣りが出来ることを願って、もう少し待つとしましょう、春よ来い♪早く来い♪ 今年は久しぶりにシバキ釣りやってみようかなぁ(^^)。
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オマケ

 

 沼田市は古い城下町(上州真田つまり徳川方に付いた方の真田家で、かの真田幸村の兄ちゃん・信幸の居城だった)で、色々レトロですけど昭和レトロも多いです。こんな「ちびまる子ちゃん」でハマジが通ってそうなオモチャ屋さんが現役で営業してます。

 



 市役所の裏にある「あけぼの食堂」、見かけも昭和レトロですが…

 



 出てくる料理もっとレトロです(^^;。こちらラーメン&ミニカレーセット650円、安い(^^)。ラーメン単品は450円です、今時。右上のお冷に注目、コップの水にカレースプーンを漬けて出すのって私が子供の頃はよくあったんですけど、今はほぼ絶滅してますよね(^^;。ここのラーメンも昭和味です、濃厚魚介とんこつとかカラメアブラマシマシとかトリプルスープとか麻辣味とか大回転旋風湯切りとか一切言わない、鳥ガラスープにチャーシューを煮た時の煮汁で味を付けたクラシックな醤油ラーメン、懐かしの「双喜に龍の模様の赤い縁の丼」にナルトとメンマとほうれん草とちっちゃいチャーシュー!

 ぶっちゃけ東京のニューウェーブ系に比べたらコクもパンチもない古臭い味で、都内でこれ出したらラオタ(ラーメンおたく)から「進化を諦めた終わってる店」認定でしょうねぇ(^^;。カレーも市販ルーじゃなくて豚コマと玉ねぎを炒めて小麦粉でとろみ付けてS&Bの赤缶カレー粉で仕上げた昭和のお母さんカレー。今、これ食べられる店って都会じゃ殆ど無いかも…私は好きです、こういう店。