「損得勘定」で運動部に入るべからず | アラフィフ親父の戯言

アラフィフ親父の戯言

文系学部出身ですが仕事は理系寄りです。アラフィフで中高年転職しました。妻と中高一貫校に在学中の娘の3人家族です。

中高時代は、運動部に入った方が文化部に入るよりも内申点が上がるとか、推薦入試で有利になるとか、大学卒業後に就職が有利になるなどという人がいます。

確かに、地域差はあるのでしょうが、公立高校を受験するのであれば、文化部よりも運動部に入った方が内申書の点数が上がるという話はあるようです。
特に男子の場合、文化部に入ると体育の成績が5段階評価で3以下しかつかないとか、もうそうならばどんなに勉強ができても地域トップ校には合格できないとかいう話は今でもあるようです。(地域によるのでしょうけど)
女子は文化部所属でも地域トップ校に合格できるのに男子はできないのだとしたら、それは明らかに男女逆差別です。が、そういうことを言うこと自体が男らしくない、などというジェンダー像を地域全体で押し付けている場合は、「正論」を言えば言うほど心象が悪くなってしまいます。


中高一貫校に入ればそのような話とは無縁なはずです。そういうことと距離を置きたいから中学受験をするご家庭もいらっしゃるはずです。

にもかかわらず、中高一貫校に入っても、特に男子は運動部に入らないとみっともないとか恥ずかしい、という刷り込みをされている場合が少なくないようです。

もちろん、運動が好きで運動部に入るのは何の問題もありません。特に入りたい文化部もなかったので、気が向いた運動部に何となく入る、というのもありだとは思います。

問題なのは、本当は運動なんて嫌いなのに、打算や義務感、あるいは体面を気にして「仕方なく」運動部に入るケースです。

かくいう私がそうでした。
が、これはやめた方がいいです。
部活は本来気晴らし的な要素が有って然るべきなものだと思いますけど、それが苦手かつ嫌いなものだとしたら、それが原因で学校に行くこと自体が苦痛になり、不登校等の原因になりかねないからです。私の場合、結局運動部を途中で辞めてしまいました。

厄介なのは、学校側が運動部への入部を「勉学のために」勧めるケース。

運動をしている子の方が、そうでない子よりも日々の生活にメリハリをつけられる、入試直前期にスパートをかけやすい、体力がつくから、との理由のようです。「素直で従順になる」とか「勉学だけしているよりも運動もした方が人として立派」とかいう、訳のわからない文武両道論や偏った倫理感が持ち出される場合もあります。


スポーツ、特に集団競技にはルールが必要で、チームを統括する監督も必要です。集団競技が得意ということは、集団生活への順応性が高いということ。学校への順応性が自由放任校よりも求められる「管理型の学校」の場合、集団生活への適応性が高い子の方が扱いやすいのです。(一方、気の向くままに絵や小説を書いたり、本を読んだり、学校カリキュラムとは別にピアノやバイオリンを習うことは、管理系の学校のカリキュラム遂行にはむしろ邪魔になる行為かもしれません。)

要は、黙って運動に打ち込んでくれる生徒の方が、理屈をこね回す文化系の生徒よりも管理がしやすいという教師側の都合を優先させているにすぎません。


スポーツが好きな子ならともかく、そうでない子に「運動部に入った方が成績が良くなる」という理屈は当てはまりません。

家でゲームをやってるよりは運動させた方が健康的、というのはその通りかもしれません。でも、そういうことをするお子さんはそもそも運動もしたくないでしょうから、そういう「正論」とは捻れの位置にあります。

中高時代に運動部に入っている子の方が、そうでない子よりも大学推薦入試や就職時に有利、などと言う人もいます。

が、インターハイとかに出場できるレベルでない限りは、単に運動部に入っていたというだけで大学の推薦入試に有利になるという話は聞きません。

確かに、一部のJTCの営業職などでは、メジャー私大枠の中に更に体育会系枠が用意されているという話は聞きます(真偽不明)が、中高時代に運動部に入っていた程度で就職が有利になるとは思えません。

もし会社側が、体育会系出身ならばどんな理不尽な命令も黙って聞いてくれるとか、どんなブラックな環境でも文句を言わずに働いてくれるとか、下ネタ芸を恥ずかしがらずにやってくれるとか、死ぬほど酒を飲ませても死なないということを期待しているのだとしたら、時代錯誤も甚だしいです。企業側からそういう要員とみなされたいがためにスポーツを打算で始める人なんていないと思います。

ちなみに、私は転職を何回かしていますが、中途採用の面接で学生時代にスポーツをやっていたかどうかなんて質問は、一度もしたこともされたこともありません。

私は運動神経は人並み以下ですが、体力の維持や増強に関する努力をしていないわけではありません。大学卒業以来、会社を長期療養で離脱したことは一度もないですし、数駅分の距離を歩いたり、気の向いた時にスポーツクラブやプールに行ったり、家で毎日エクササイズしたりしているので、体力がない等と言われる筋合いはありません。

運動神経と体力は別物です。学生時代に運動部に所属していたことと、社会人になってからの仕事のパフォーマンスには何の相関関係もありません。

スポーツとは、好きだからやるというのが正しい姿で、「損得勘定」で学校の運動部に入ったり入れたりしようとするのは間違いだと思います。