その言葉の真意はオレもよく分かる。
「箱」で働くって事はどうしてもそれが常に付いて回るんだよね。
箱に出演するみんなと同じようにライブに出演したり、打ち上げで話たりしても、「おんしょくの人」なんだ。
その事についてはオレもライブハウスで働くことを決意した時に覚悟した。
「もうみんなと同じには戻れない」ってね。
それよりもこの街にライブハウスを作って地元音楽シーンの火を絶やさぬ事がオレの使命だと勝手に思い込んで、やると決めた。
若手が育つ環境作りとか、市外からも色々なバンドに出演してもらうとか、箱のため、地元音楽シーンのために色々取り組んでいる中で、6月のライブハウス音楽色堂の2周年祭、そして先週から始まった音楽食堂ZEROの3周年祭にいつものミュージシャン達が集まってくれる光景を見るたびに思う。
いつもの顔ぶれ、いつものオレが好きなあの曲、笑い声や歓声、野次も含めて。
「そうだよな、この光景を絶やしたくないんだよな」と。
他の箱の人がどういう気持ちで仕事をしているかとか、そりゃ人それぞれだけど。
オレはやっぱり自分が育った「音楽食堂」時代から現在まで観たり、聴いたりして好きになったミュージシャン達の「ひとりのファン」として、そのミュージシャン達をまだ見た事の無い人達に広めていきたいと思う。
そう、「ひとりのファン」で在りたいし、きっとそれがオレの原動力なんだなと思う。
良いミュージシャン達からノルマなんて本当は取りたくないし、逆に店がお客さんを集めてそのミュージシャン達を後押ししてあげれたらどれだけ良いか。
ウチのしゃちょが長年抱えるジレンマや苦悩がすごく理解出来る。
それは「ライブハウス側の人間」に立った者しかわからないのかも知れない。
ただ、オレは「バンドファースト」「ミュージシャンファースト」の精神をもった昔からの「音楽食堂」をこれからも貫きたい。
それもまた「らしさ」だと思うから。