農協解体は国を滅ぼす | 『月刊日本』編集部ブログ

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日本の自立と再生をめざす言論誌

 前回に引き続き、弊誌5月号の内容紹介をしたいと思います。


 今月号では「農協解体は国を滅ぼす」と題し、安倍政権の農業政策を批判しました。安倍総理は「日本は瑞穂の国です。息を飲むほど美しい棚田の風景、伝統ある文化。若者たちが、こうした美しい故郷を守り、未来に『希望』を持てる『強い農業』を創ってまいります」と訴えていましたが、実際に行っているのは農家を窮地に追い込むような政策ばかりです。


 東京大学教授の鈴木宣弘氏は、安倍政権の進める農業政策は、大企業の大企業による大企業のためのものだと批判しています。鈴木氏は、安倍政権が「農家の所得を増やす」と言っているのは、既存の農家ではなく、農業に参入する企業のことを言っているに過ぎないと、その欺瞞性を指摘しています。つまり、農業改革の狙いは、「大企業が儲かる農業」を作るために、農協や農家を中心とする「大企業が儲からない農業」を壊すことなのです。


 確かに農協には問題もありました。批判は真摯に受け止め、必要な改革はすべきです。しかし、だからといって農協を解体してしまうというのはあまりにも筋違いです。


 自民党の山田俊男参議院議員は、「確かに農協にも問題はありますし、兼業化が進み規模拡大が求められるなど行き詰っている事実も否定できませんが、それでも美しい棚田をもつ瑞穂の国を守るためには、農協は絶対に必要な存在です」と述べています。山田議員は、特に心配なのはJAバンク(金融事業)とJA共済(共済事業)の分割・株式会社化だと指摘しています。これは在日米国商工会議所が毎年要求し、今回の農協改革案を作った政府の規制改革会議も主張していたものです。


 韓国では農協中央会の分割・株式会社化がなされた結果、農協窓口で他の保険会社の商品を売らされるなど、大混乱が生じています。このままでは日本も韓国の二の舞になってしまう恐れがあります。


 今月号では中国主導によるAIIB(アジアインフラ投資銀行)の問題も取り上げました。安倍政権は現時点で参加申請をしていませんが、一部では「バスに乗り遅れるな」といった議論も行われています。


 産経新聞の田村秀男氏は、「私に言わせれば、中国共産党が運転するバスに乗るのかということです。当然これは警戒してしかるべきものです」と述べています。AIIBはその組織構造からして中国共産党の一機関のような存在になり、中国が圧倒的な力を持つことになります。日本ではAIIBに参加することで注文を出していくべきだといった議論もありますが、AIIB総裁は習近平の代理に過ぎません。それ故、田村氏は「AIIB総裁に日本代表が物申せば影響力を行使できると信じているのであれば、北京で物笑いの種にされるでしょう」と指摘しています。


 また、AIIBは経済的な視点からだけでなく、軍事的な視点からも見る必要があります。というのも、中国はAIIBを利用して、ミャンマーやスリランカなど、彼らにとって死活問題であるシーレーンに港を作り、軍艦が寄港できるようにしようと考えているからです。田村氏は、日本は通貨金融政策が軍事や外交にも大きな影響を与えることについて、あまりにも緊張感が欠如していると批判しています。


 その他にも読み応えのある記事が満載です。ご一読いただければと思います。(YN)








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