再び言う、プーチン来日を実現せよ | 『月刊日本』編集部ブログ

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 弊誌5月号は本日22日より店頭販売を開始しております。


 今月号では「再び言う、プーチン来日を実現せよ」という特集を組み、ウクライナ・クリミア問題を取り上げました。日本のメディアではこの問題について、ロシアが一方的に悪であり、ウクライナとそれを支援するアメリカが善であるといった議論ばかり行われています。


 特にロシアで野党勢力の政治家であるネムツォフが暗殺され、さらにプーチン大統領がクリミアをめぐって「核戦力に臨戦態勢をとらせることも検討していた」と述べたことで、この傾向が強くなったように思います。メディアの中には、ネムツォフを暗殺したのはプーチンだという議論まで見られます。


 しかし、元駐ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は、その議論は的外れだと指摘しています。ネムツォフの支持率はわずか1%に過ぎず、もはや何の影響力もない過去の人でした。86%もの支持率のあるプーチンが、危険を冒してまでネムツォフを暗殺する理由はありません。


 それでは、なぜプーチンは核にまで言及したのでしょうか。馬渕氏は、それはアメリカの理不尽な振る舞いに対抗するためだと述べています。既に明らかになっているように、アメリカは当初よりウクライナ危機に介入していました。アメリカの介入なくしてウクライナ危機はあり得なかったでしょう。アメリカはさらに西側諸国と共にロシアに経済制裁を課し、軍事的にもウクライナを支援しています。


 それ故、プーチンは、アメリカがこれ以上手を出すならば、こちらにも覚悟があるぞという意思を示したというわけです。もちろん核に言及したことを肯定することはできませんが、先に手を出したのはどちらであるかはしっかりと認識しておく必要があるでしょう。


 また、今月号ではクリミアを訪問した鳩山友紀夫元総理にもインタビューしました。日本政府は鳩山氏のクリミア訪問を強く批判し、メディアでも鳩山バッシングが吹き荒れました。


 日本政府が鳩山氏を批判した理由は単純です。安倍政権はウクライナ危機後も、アメリカとの関係を維持しつつ、ロシアとも関係を維持しようとしてきました。安倍政権は米ロ双方に良い顔をしながら、ウクライナ危機が収まるのを待つという戦略をとっていました。


 ところが鳩山氏がクリミアを訪問したことで、どっちつかずの態度をとることが難しくなりました。鳩山氏を批判すればロシアとの関係が悪化し、鳩山氏を批判しなければアメリカとの関係が悪化するからです。鳩山氏のクリミア訪問は、安倍政権にアメリカにつくのかロシアにつくのかを迫る、いわば「踏み絵」としての役割を果たしたのです。


 鳩山氏のクリミア訪問について、それが結果として北方領土の現状を追認することになりかねないという批判もあります。これに対して、鳩山氏はクリミアと北方領土は歴史的経緯が全く違うと指摘し、「北方領土は日本固有の領土であり、日本は四島返還を求めてしかるべきです。また、北方領土からは本来住んでいるはずの日本人が追い払われてしまっているので、そこで領土の帰属先をめぐって住民投票が行われたとしても、その結果に意味があるとは思いません」と述べています。そして、北方領土返還を実現するためにこそ、日本国民はクリミアの現状をしっかり見るべきではないかと問題提起を行っています。


 長くなりましたので今回はここまでにします。次回も今月号の内容紹介をしたいと思います。(YN)






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