総選挙 崩壊するアベノミクス | 『月刊日本』編集部ブログ

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 本誌12月号は22日より店頭販売を開始しております。


 今月号では「総選挙 崩壊するアベノミクス」という特集を組みました。安倍総理によると、今回の総選挙は「アベノミクス解散」であり、アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙だそうです。


 ひとまずそれを受け入れたとしても、アベノミクスは決して上手くいっているとは言えません。安倍政権は成立直後より異次元の金融緩和を行い、つい先日には追加緩和に踏み切りました。しかし、日本経済は未だにデフレから脱却できていません。


 日本大学の水野和夫氏は、量的緩和をしてもデフレから脱却することはできないと主張しています。それは、実物経済は既に飽和状態にあるため、いくら量的緩和を行っても、お金は実物経済ではなく金融市場に流れてしまうからです。それ故、株価は上がるけれども、実物経済は低迷したままなのです。


 また、安倍政権が推進する国家戦略特区にも問題があります。ジャーナリストの近藤将勝氏は、特区で行われる予定となっている政策を検討し、「公共インフラの民営化や外国人労働者の受け入れ緩和、社会保障費の切り下げ」がさらに加速するだろうと指摘しています。


 今回の選挙の最大の問題は、既に様々なメディアが批判しているように、大義らしい大義が見当たらないことでしょう。安倍総理は経済の好循環がようやく動き始めたと言っていますが、もしそうであれば、現在のように消費税増税や輸入インフレによるダメージが大きい時ではなく、アベノミクスの効果がしっかりと出た時に選挙をやった方が良いはずです。


 安倍総理がこの時期に総選挙に踏み切ったのは、一つには、安倍政権の閣僚から噴出した「政治とカネ」の問題によって、さらに支持率が下がってしまうことを懸念したからだと思います。もっとも、解散したからといって、この問題が解決するわけではありません。


 評論家の佐高信氏は、11月4日の参院予算委員会で、社民党の吉田忠智党首が2007年に出た『週刊現代』をもとに、安倍総理の「政治とカネ」の問題を問い詰めたことに触れつつ、次のように述べています。


……『週刊現代』(2007年9月29日号)は、「本誌が追い詰めた安倍晋三首相『相続税3億円脱税』疑惑」「このスクープで総理は職を投げ出した!」と凱歌をあげ、財務省主計局・相続税担当幹部の「この通りなら、これは脱税ですね」というコメントも載せています。

 吉田はこの疑惑を蒸し返したということですね。それで「もう時効だが……」と脱税を前提にした発言に安倍が噛みついて、「重大な名誉毀損だ。議員として恥ずかしくないのか。全くの捏造だ」「まるで犯罪者扱いではないか。失礼だ。答弁できない」とヒステリックに反論したわけです。

 しかし安倍は「捏造だ」と言い張るけれども、『週刊現代』の質問状には答えていないままです。第一次安倍内閣は質問状の回答期限に退陣し、今回も疑惑が再燃したタイミングで、まるでそのことをかき消すかのように、いきなり解散総選挙という話題が持ち上がった。果たして偶然でしょうか。

 もっとも脱税かどうかは私の知ったことではありません。私が言いたいのは、安倍が6億円以上もの莫大な財産を受け継いだボンボンだということです。一世議員のように頭を下げてカネを引っ張ってくる苦労も知らない。安倍はカネの重みを知らないから、「政治とカネ」にも鈍感なのです。


 やや長くなりましたので、今回はこれまでにします。次回も12月号の内容を紹介したいと思います。(YN)






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