今度こそ愛妻家 その2 | 劇団かに座ブログNeo

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横浜の「劇団かに座」オフィシャルブログです。稽古場日記、公演情報、劇団員募集、演劇に関することをポロポロと書いています。

またまた、

ねこようです。

 

いやもうまたかよ~。

みたいな顔しないでよ。

 

しょうがないでしょ。

私しかいないんだから。

 

そりゃあねぇ、

私じゃなくて

作家の川上未映子さんみたいな

凄い人が書いてくれたら、

オ!!

とか思うのかもしれないけどさぁ、

そんなの無理に決まっているんだから、

いるもんで何とかするしかないでしょ!

なんなのその不満そうな顔は?

 

全くもう、

SNSだか何だか知らないけど、

言いたい事や不満を

すぐに発せられるようになってから、

我慢って事知らないんだから。

 

いくら文句言ってもね、

川上未映子さんは書いてくれないの!!

 

もう、

そんなブチブチ言ってんなら、

アンタ置いて、

お母さん先に帰るよ!!

 

という感じで、

スタートです。

 

 

稽古場日記。

となっているけど、

 

〇月×日 初日。

ゲネプロではこんな事あって、

本番ではこんな事故があって、

 

ってのは、

もう何度も書いてるからいいかなぁ~。

 

役者はもちろん、

裏方でも、

失敗もあり、

うまくいったなって部分があったりした。

 

今回の脚本が初演されたのが

2002年。

もちろん、

スマホもGoogleもなかった時代だ。

 

それでも、内容は色あせていない。

不器用でちゃんと生きられない人たちの

悲しさと愛しさが、

普遍的なものが

しっかりと描かれているからだろうと思う。

 

そして、二〇年後の現代。

あの頃よりもさらに生き辛くなり、

もがいている人たちは増えてきた。

ように感じる。

 

だから、

時代がやっとこの戯曲に

フィットし始めてきたのかなぁ~。

 

 

今回の公演で嬉しかったのは、

観たお客さんから

「若い出演者が頑張っていた」

「若手のパワーを感じた」

という感想を結構もらった事だ。

中には

「どうしたの?

 かに座にこんなパワーあったっけ?」

と心配する?声も聞かれたほどだ。

 

 

やっぱり私もおっさんだからね。

‘‘キャスト、若いのばっかで大丈夫か?‘‘

って不安はあったよ。

 

でもゲネプロや本番を

観ていくうちに分かった。

そりゃコイツらは技術はない。

 

でも、

‘‘やる‘‘

となった時の、

思いっきりさ。

そして伸びるときは

こちらの予想以上の

成長曲線を描くことが

出来るものなんだ。

 

そう言えば、

幼き日のうちの娘も、

突然

ひらがなの

‘‘ぬ‘‘

が書けるようになったもん。

 

 

相変わらずの

打ち上げは欠席。

 

舞台監督のなるみさん一人に見送られ、

おつかれさんと劇場を後にした。

 

 

いらっしゃ~い。

あ、今日はそっちの日ね?

 

スナック十六夜のママはにこやかに

私が引っ張ってる旅行バッグを指さした。

 

いつものジントニックを頼んで

カウンターに座って、

いろいろと考えている。

 

やっぱり前回に

かに座の公演でやった

2006年バージョン。

それと今回のを比べる。

というのはどうなのだろうか?

 

例えば、

私が2000年生きるエルフだとして、

(↑娘に勧められた『葬送のフリーレン』の影響)

イギリスで

シェークスピアのハムレットの初演を観たとして、

今あちこちでやっているハムレットを、

‘‘初演とは違うな‘‘

と言うものだろうか?

 

その時代によって、

ハムレットも様々な解釈が出てきて、

新しく変わっていった。

今と2006年では

世界も人々の考え方も少しずつ変わっている。

 

だから、

比べる。

という事こそ愚問じゃないのか。

 

舞台は、その時一瞬のものだ。

もう一度観たいと思っても、

今回の「今度は愛妻家」は、

もう観れない。

 

百年後に、

今回の「今度は愛妻家」が、

伝説になっているかもしれない。

(↑フリーレンの影響だ!!)

断頭台のアウラと

再び戦わないといけないのかもしれない。

(↑完全にフリーレンのネタパクリだ!!)

 

とにかく、

私の心の中で、

何かがとても満足だった。

 

みんなで力を合わせて

イイものを作って、

その一部分に自分がなれた。

という事が

心を満たしていたのかもしれない。

 

目の前のカウンターの上に、

見慣れたマニキュアの手が伸びてきた。

顔を上げると、

ママがニヤニヤしながらこっちを見ている。

 

ねこさん、

今日はなんか嬉しそうね。

 

・・・ああ。

ちょっとね。

いいもん観せてもらったからさ。

 

あらやだ。

ねこさんがお客さんに観せる方じゃないの?

 

いやいや観てるんだよ。

お客さんの一番後ろの席で。

 

ふ~~~ん。

 

どうしたの?

 

いや、

イイ人でも出来たのかなぁ~と思ってさ。

 

出来たかもよ~~?

 

またまたぁ~、

もう男に騙されんのコリゴリ。

 

ママの言葉に笑いながら、

ジントニックのグラスを傾ける。

 

そっか。

ここにも、

生き辛い中で

頑張ってる人がいるんだな。

 

炭酸が、

喉にしみた。

 

 

ねこよう