不安はいいものっスか? | 劇団かに座ブログNeo

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横浜の「劇団かに座」オフィシャルブログです。稽古場日記、公演情報、劇団員募集、演劇に関することをポロポロと書いています。

こまちさんは、

頑張り屋さんだ。

 

いつもみんなが嫌がる仕事を引き受け、

「仕事? 

 キツイに決まってるじゃないですかー」

そう笑いながら言っている女性だ。

 

ある時、

私が書類を探していた。

こまちさんの目の前で。

 

「あれ~?

 誰かどっかやっちゃったのかな~」

 

パソコンに向かっていたこまちさんの

表情が少し硬くなる。

それにも気づかずに私は、

 

「だいたいさ~、

 みんないい加減なんだよね。

 ちゃんと置いとけばこういう無駄な時間が

 無くなってスムーズに仕事が出来るんだよね~」

 

そうブチブチ愚痴りながらデスクの上を探す。

 

「もともとさ、整理整頓する時間をくれれば、

 こんな事にならないんだよな~」

 

こまちさんはパソコンのキーを打つ手を止め、

「あーもう!!!」

と叫んだ。

穏やかなこまちさんが叫ぶのは初めてだ。

周囲の人たちの手がピタっと止まり、

たくさんの視線がこっちに集まった。

 

こまちさんはツカツカと

こっち側の机に回り、

デスクの書類ボックスのすみっこにあった

お目当ての書類の入ったクリアファイルを

取り出し、私の前に突き出した。

 

「ずっとここにあるの見えてました。

 ねこさん、ちゃんと見て探してますか?」

「あ・・・ありがと」

 

こまちさんがまた自分の席に戻ると、

後輩の男が近寄ってきて囁いた。

 

「あんなにこまちさん怒らすなんて、

 さすがねこさんっスね」

 

という感じの

ねこようです。

 

 

11月3日(金)

 

クリスマスツリー用の点滅ライトを

松井さんが持ってきたので、

試しに暗くして点滅させた。

 

そうです、

チラシデザインでもわかる通り、

今回の芝居はクリスマスツリーが出ます。

 

クリスマスだからと言って、

楽しい思い出ばかりじゃありませんよね?

(↑ここは太字で!!!)

 

並んでケンタッキー買ってきたのに、

子供たちは一口食べて「辛い」って

食べられなくて、

結局ポテトしか食べなかった。

 

誰かさんに一晩中お説教くらった事もある。

途中から、

クリスマスとか聖夜なんか

どうでもいいから寝たいわ!

と思いながらハイハイ言ってたけど。

 

皆さんも、

そういう思い出したくもないような

苦いクリスマスの出来事、

一つや二つや三つくらいありますよね?

 

あ、重すぎる?

すみませんネ

 

稽古に話を戻しましょうか。

 

誰かがセリフを喋っている時、

私はその対話から外れている役者の顔を見る。

セリフを言われた相手は

ちゃんと聞く姿勢を取っているよ。

でも、それを聞いている後ろのあなた、

あなたはちゃんと役柄で聞いているかな?

それとも、

‘‘このセリフの次の次が自分のセリフか~

 もうちょっとだな‘‘

なんて考えてる?

 

言っとくけど、

それ、バレバレだよ。

 

お客さんがどこを観ようが自由なのが

舞台だからね。

長台詞を喋っている役者じゃなくて、

舞台の端っこの役者を観ていても

いいわけであって、

そこはちゃんと意識してないと。

 

脇役

という言葉がある。

演出家はどうしても主役の長台詞を

中心に演出する。

それが一番芝居として伝えたい事だから。

脇役まで目が届かない事もある。

それじゃ脇役はそのままでいいのか?

 

そうじゃなくて、

自分で考えて、

自分なりに思ったように反応したり

表情を変えたりする。

ある意味、

主役よりも自由度は高い。

そして指示待ちでなくて、

自発的に考えないといけない。

 

テレビや映画で

名脇役

と呼ばれる人たちは、

そういう自発的発想力が高い人

なのだと思う。

 

そんな事を考えながら

稽古を観ていた。

 

そう言えばまだ通しての稽古を観ていない。

話を聞くと、

これまで一回だけ通したそうだ。

 

公演まで一か月を切り、

ちょっと不安になる。

役者も裏方もそんな時期でもある。

 

まぁ公演は

いつも安心よりも不安の方が先に来る。

不安とも戦わなければいけないのが、

公演をする者たちのさだめなのだ。

 

 

そう言えば、

照明プランほとんど考えてないな~。

不安だな~。

と、

口先だけで言ってみる。

 

あ~、

どうにかなるんじゃないっスか?

 

私の中のもう一人の人格のチャラ男が

答えてくれた。

 

ねこよう