‘‘創る‘‘為の失敗 | 劇団かに座ブログNeo

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横浜の「劇団かに座」オフィシャルブログです。稽古場日記、公演情報、劇団員募集、演劇に関することをポロポロと書いています。

まだ残暑の厳しい中、

皆様お仕事お疲れ様です。

 

先日、

うちの職場で、

「こう暑いと集中力続きませんね」

と上司に言ったら、

「ねこさんは

 春先とあまり変わりませんよ」

 

嫌味か?

誉め言葉か?

 

もちろん、

「あ。それ嫌味っぽいですね」

そう冗談のようにくるんで

答えたら、

「そう取ってもらっても大丈夫です」

って返されました。

 

どう大丈夫なんだ?

 

ねこよう

でございまする。

 

 

8月30日(火)

 

稽古は18;30スタート

だが、

発声練習を終えて

19:00になっても

演出がまだ来ていない。

 

これは社会人劇団だから

仕方がない。

役者も演出も、

残業

があるのだから。

 

「じゃあ、

 ねこさんにト書きを読んでもらいましょう」

 

佐藤君が言い出した。

 

もちろん

「いやだよ」

 

「でも、10月の劇団グラハムヘルツの

 公演、俺、仕込みを手伝ってって

 頼まれてるから」

 

そうだ。

10月の劇団グラハムヘルツの公演、

「部屋としゅーちゃくと私」

私は舞台監督なのだが、

人出が足りないので

佐藤君に

仕込みの手伝いをお願いしたのだった。

 

「くそー、

 10月終わったら覚えてろよ!」

 

アニメの悪役みたいな捨て台詞を吐き、

脚本をめくる。

 

それで、

ト書きを読んだかって?

読みましたよ。

もう発声もクソもないよ。

かろうじて聞こえるくらいの

ボソボソなト書き読みだったよ。

 

そんな感じで進んでいると、

演出が来た。

もちろん稽古にも‘‘流れ‘‘があるので、

演出はその流れのまま

役者のセリフ読みを聞いている。

 

 

役者は、未来が分かっているのだ。

 

今回の作品「今度は愛妻家」

のストーリーが

どうなっていくのかを知っている。

相手がどう返答するかも知っている。

 

本読みだと、下を向けば机の上に

自分のセリフも相手のセリフも

書いてあるのだから、

もう

タイムスリップしてきた人?

いやいや、

予知能力持ちエスパー?

 

それなのに、

かに座が椅子に座っての

本読み稽古を

結構長い期間とるのは、

言葉のキャッチボールを

基本としてほしいからだ。

 

想像してみましょう。

職場で世間話をしていた

若い女の子が、

いきなり泣き出したら、

どう?

(若い男の子でも可)

 

びっくりするよね?

 

でも事前に

‘‘あ、コイツ、

 こっちが

「最近どう? カレシとは」

 って言ったら泣き出すな‘‘

と分かってたら、


(心の声)

ハイ泣いた~。

来たね~、泣いてるね~。

ティッシュでも渡すか。

はいティッシュ取りまくり〰。

拭いてる拭いてる。

涙ぽろぽろ~。

はい、しゃっくりしゃっくり。

実は・・・こないだ・・・

別れまひた。

ほら鉄板来た~。

‘‘し‘‘が言えないよね~。

どうしよう、

とりあえず別れた理由でも聞く?

まー、

私の人生にとっては

どーでもいいんだけどさ。

 

いや、

誰でもこんな冷たいわけじゃないですよ。

中には親身に聞く人もいますよ。

 

だから何が言いたいのかと言うと、

泣いてカワイイのは

若いうちだ。

ってこと。

 

いや違うよ!

 

相手の言葉を聞いて、

反応して喋る。

そんなキャッチボールを

出来るだけ感じてほしい。

という事です。

 

あまり早く立ち稽古で動くと、

役者は

どこかで見たような表情と動きで

反応した。

ように見せかけてしまって、

言葉がおろそかになるから。

 

基本的に、

キャッチボールなのである。

 

アクションの格闘シーン。

相手がコアラなら、

ハイキックは出来ない。

銃撃戦シーン。

相手がハムスターの集団なら、

銃を撃つだろうか?

刑事ものドラマ。

犯人がワオキツネザルなら、

走り回って聞き込みはしない。

保健所や動物園に連絡だ。

もう

犯罪を犯した人。

でもなくなるけど。

 

だから、

この時期は、

稽古場に行って

いろいろな反応を試す時なのだ。

 

失敗?

今日の稽古はうまくいかなかった?

 

だから、

稽古場は失敗する場所なの。

 

「いや~、君は直す所無いよ。

 天才だ。百年に一人の」

 

なんて演出家に言われ続けて、

自己肯定感あがったまま

芝居作りたいの?

言っちゃ悪いけど、

あなたの自己肯定感アップの為の

稽古でなくて、

当日に観に来てくれる

お客さんの為の稽古だからね。

 

今はまだ

芝居の基礎部分を

作っているようなものなので、

どんなものが出来るのかが

見えない。

 

まー、コンクリ流し込んだくらいか

 

これからその基礎の上に、

‘‘芝居‘‘というビルを建てていくのである。

 

おー、

なんかきれいにまとまったぞ。

 

あれ?

あんた・・・

まだ泣いてたの?

 

 

ねこよう