日本にいようが、外国にいようが、病気になれば誰だって不安になると思いますが、バンコクの大型私立病院のほとんどには、日本人通訳がいます。
海外保険の冊子には自分の症状を伝えるための外国語が列記されてはいるものの、食あたりや鼻かぜならともかく、口などきけたもんじゃない健康状態に陥った時には主語、述語、目的語うんぬんを組み立ててる余裕はないので、日本語をネイティブに理解してくれる方々の存在ほど、心づよいものはない。
僕が世話になっている病院の美人通訳二名は日本でも医療機関に勤務していただけあって、キメこまかなところまでいろいろ聞いてくるので、安心してベッドの上にいることができました。
なのに、その美女二人が揃って退職することになってしまい、先日から見習いの通訳がつくことになった。
まるで日本人のように日本語を解するタイ人はたくさんいますが、見習い通訳サンの日本語レベルはネオン街の世界にも及ばない、Jヲタ・ビギナー級のどこかのお嬢さん。
先日の入院回診時に「このへんがまだちょっとヘンなカンジなんですけど、痛みはありません。食欲もあります」という僕の日本語が、
「コン・ニィ・ボック・ワー・ヤン・マイ・サバイ・ユー」
(このヒトは、まだ元気がありません、と言ってます)
というタイ語にバグ変換された時は僕もビックリしたし、日本語はぜんぜんわからなくとも、その文量のあからさまな違いにスーパーヒーローな先生 もビックリしているし、さらには、モンスター通訳の口から、
「今日の午後には家に帰るんだぞ」
という日本語が飛び出し、いつのまにか僕は家出少年になっていた。
先生が英語ペラペラというのが、今後のせめてもの救いかなァ。
人材不足解消、人件費削減のための若年タイ人採用がミエミエなのだけれど、ダメな会社にかぎって、現場とウエの現状認識の乖離はどこの世界もいっしょなんですかね。
※この頁では、個人の体験をもとに特殊通訳の重要性について書いています。
タイ人の外国語能力を嘲笑しているものでもなければ、職業通訳の一部の不勉強ぶりを「日本人にだって日本語は難しいんだから、しかたがない」と擁護しているものでもありません。