横溝正史の大正10年のデビュー作「恐ろしき四月馬鹿」などをまとめた単行本が、しばらく前に、バンコクの古本屋に並んでいた。
最近のベストセラーやバンコクの紀伊国屋書店が取り扱っているモノならともかく、一体全体、こういう1976年刊行の本がどうしてバンコクにあるのか、不思議さと流通ルートの推理は残る。
と、そういう話はさておき、単行本、二巻分冊文庫版はともに現在は絶版ながらも、角川書店のホームページ上でネット書籍として購入できるようです。
この本には、「恐ろしき四月馬鹿」をはじめ、大正時代、昭和ヒトケタ年時代の横溝作品28編が所収されている。
表紙絵が想起させるようなグロい小説はほとんど、ない。
横溝正史というと、やはり、オドロオドロシイ怪奇風探偵作家のイメージが強すぎるけど、初期の横溝正史は雑誌編集者、編集長をつとめる傍ら、担当雑誌のページ埋め的に短編小説を書いたり、時には江戸川乱歩など高名作家のゴースト執筆もしていたようだ。
表題作の「恐ろしき」にいたってはデビュー作といっても懸賞に応募したモノなので、読み手が頭をひねらせようとする前に終わってしまう。
「本陣殺人事件」からはじまる一連の金田一シリーズももちろん面白いけれど、大正、昭和初期の横溝作品はユーモア世相小説とでもいうんでしょうかね、戦前・戦中時代の庶民の暮らしをオモシロおかしくホノボノと描写しているところが僕は好きなので、時たま読み返しています。
↓3冊はタイトルほど悲惨な探偵小説というわけではありません。
横溝 正史
深夜の魔術師
横溝 正史
赤い水泳着
聖女の首