日本の新聞は、寒い朝に布団にくるまっていても宅配してくれるけれど、タイでは新聞を宅配購入している家庭はそんなに多くはない。
経済産業紙は毎日は発行されていません。
なので、たいがい町の雑誌スタンドで一般紙を買ったり、交差点信号待ちの時間に少年少女が新聞を売りにくる。
社会常識や時事問題よりも娯楽性が求められるタイの一般紙は、センセーショナルな事件・事故の現場写真や、美人タレントのビキニ写真がトップを飾る日は売り上げが伸びる。
モノの本には「タイは三面記事がアツイ」的に紹介されていますが、現実には三面ではなく、一面トップに来ることが多い。
在タイ邦字紙の名物記者は専門分野のお堅いタイ文化・社会記事を扱うかたわら、そうした一般紙のエログロ記事もせっせせっせと日本語に直しては平日はネット上で配信
しています。
名物記者の思春期は「ウィークエンダー」が人気テレビ番組だったので、その影響もあるのかも知れない。
新聞が報じるタイ人同士の刃傷沙汰を知らなくても、 外国人がタイで生活するうえで大きく困ることはないけれど、なかには首をかしげざるをえない事件、というか「タイ人気質」らしきモノを伝える事件もある。
先日は、20歳の妻を殺害した35歳の夫が、その後の調べで、数年前に乗客の遺失物の現金30万バーツ(約120万円)を警察に届け出たタクシー運転手だったことが判明し、近所の住人たちは「あんなにイイ人なんだから、よっぽどのことがあったのだろう」と同情しているのだという。
仮に、殺害された夫人が近所でも評判の悪妻だったとしても、アパートの一室で死体を焼こうとした旦那さんを励ます隣人たち。
こういったあたりが、善くも悪くも、タイ人のやさしさなんでしょうかね。
ヘタしたら自分達も巻き添えにされる危険があったのに...
それとも、落とし主が現れずに120万円が自分のモノとなっていたら、一億円タクシーの大貫さんのように何かとイヤガラセを受けながらも、違った人生を歩んでいたのだろうか。
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■嫉妬心が高じて妻を絞殺し、遺体を燃やす(「バンコク週報」1月30日)
1月26日午前3時ごろ、バンコク都内バンスー区のアパートで20歳の女性が殺害され、遺体が焼かれるという事件が起きた。
被害者はレストランの人気歌手、ウィパーさん。
犯人は首を絞めて殺害した後、タオルケットで遺体を包み、火を付けた。
同じアパートに住む被害者の友人によれば、ウィパーさんはタクシー運転手のサマン(28)と同居していたが、ケンカが絶えなかった。
というのも、ウィパーさんはスタイルがよく、美人だったため、言い寄る男性が多く、最近は軍人が熱を上げていたという。
このため、サマンは嫉妬心が日増しに高じていったようだ。
事件当日も例によってケンカが始まったと思ったら、急に静かになり、しばらくして、モノの焼ける匂いがアパートに漂ってきた。
このため、住民らはドアをノックしたが、まったく応答なし。
その上、内鍵がかかっていたことから、協力してドアをこじ開けたところ、部屋の中では火が燃え盛っていた。
そこで、慌てて消火する一方で、警察に通報。
そして、消火後、部屋の中央でウィパーさんの焼死体が見つかった。
2人の間には4歳になる女の子がいるが、事件の数日前、サナンが実家に預けていることから、警察ではこの時点で殺害を決めていたものとみて、行方を追っている。
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■犯人は03年の最優秀タクシードライバー(「バンコク週報」2月2日)
1月26日、バンコク都内バンスー区のアパートで女性歌手、ウィパーさん(20歳)が殺され、殺害現場となった部屋から火災が発生した事件で、警察は被害者の夫、サマン(35)を容疑者として逮捕した。
サマンの自供によれば、ウィパーさんと共に暮らすようになり5年が経ち、娘(4)をひとりもうけたが、最近、ウィパーさんに恋人ができたことで、ケンカが絶えなかったという。
妻を心から愛していたサマンは、事件当日も別れるよう懇願したが、逆に甲斐性のなさをきつくなじられたことから、激怒。
気がついたら、タオルケットで首を絞めて殺害していたという。
しかし、その直後に深く後悔。妻の亡骸をタオルケットに包み、一晩添い寝をしたという。
さらに、翌朝、妻に詫びるため、線香と蝋燭に火をつけ、仕事に出かけたとのことだ。
そして、仕事の途中、部屋に立ち寄るため、アパートに戻ったところ、部屋から煙が出ているのを目撃。
そのため、怖くなり、そのまま東北地方の親戚の家に身を寄せていたという。
しかし、これ以上逃げられないと観念。
自ら警察に自首することにした。
サマンは03年にはロシア人観光客がタクシーに置き忘れた30万バーツを警察に届け、観光スポーツ省より最優秀タクシードライバーとして表彰されている。
また、勤務態度も極めて真面目だったという。
殺人事件の現場検証では、被害者の知り合いから罵声を浴びせられるのが常であるが、今回は、アパートの住人が皆、サマンに近寄り、励ましの言葉を投げかけたとのことだ。