ツインビーの雰囲気を味わうために、ベルがいっぱいあるテーマパークへ。そこは思っていた以上に、ツインビーの舞台、ドンブリ島っぽかった。私も昔ハマっていた、“ウインビー国民的アイドル化計画”の話も。
(初出:ITmedia Gamez 2006年3月23日 原題:合い言葉はBee!へ至る道のり『ツインビー』)

 

 

 

 

 

ベルがたくさんあって、ドンブリ島に似た風景の場所

 

ツインビー 1986 Konami プレイセレクト
▲ファミコン版「ツインビー」のタイトル画面

 

今回は、コナミの人気シューティングゲーム『ツインビー』を取り上げてみよう。

 

『ツインビー』の大きな特徴として、ベルの存在が挙げられる。
フィールド上に浮かぶ雲を撃つと、ベルが飛び出す。そのベルを撃つと色が変わる。ベルを取ると、取ったときの色によって、パワーアップの種類が決まるのだ。

 

ツインビーのゲーム画面、ベルと水中エリア
▲ファミコン版『ツインビー』の画面。ベルの色は、アーケード版と若干異なっている。第4面には風車も登場

 

やはりベルなくしてツインビーは語れない。ということで、ベルがいっぱい集まっている場所へ行って、ツインビーの世界を体験してみようと思った。

 

ベルがたくさんあるツインビーの展示
▲大小さまざまなベルが、所狭しと展示されている

 

さてここはどこかというと……。

 

ツインビー風コスプレとオランダ風のチューリップ畑

ハウステンボスである。

 

ハウステンボス場内には、ベルの博物館「カロヨンシンフォニカ」がある。
カロヨン(カリヨンとも)というのは、鐘をいくつか組み合わせてメロディーを演奏する仕組みのことで、教会の時計塔などに使われている。
ハウステンボスには高さ105メートルの塔「ドムトールン」をはじめ、数ヵ所にこのカロヨンがあり、毎正時になるとあちこちから鐘の音が聞こえてくる。
カロヨンシンフォニカの建物内にも、高さ9メートルのカロヨンタワーがあって、37個のベルがメロディーを奏でる。

 

※カロヨンシンフォニカは、私がこの記事を書いた後、閉鎖されたり、お化け屋敷に改装されたりして、カロヨンの演奏を聴くことができなくなっていたのですが、現在は光の演出と組み合わされた「カロヨンファンタジア」として復活しているそうです。

 



鉄道コム

 

ハウステンボスのチューリップ畑と風車
▲ハウステンボスでは毎年3月~4月上旬、「チューリップ祭」を開催。キンデルダイク地区は絶好の撮影スポット

 

チューリップ祭期間中は、キンデルダイクの風車の周りや、パレスハウステンボスの前庭などが、色とりどりのチューリップに包まれている。
今年(2006年)はハウスからの植え替えだけではなく、地面に直接球根を植えて育てた花が多いのが特長。私が訪れたときはまだ咲いていなかったが、運河沿いや、パレスへ向かう参道では、地植えのチューリップが今ちょうど見頃だろう。(※注:3月に書いた記事です)

 

 

ところで風車といえば、『ツインビー』にも風車は出てきた。
海が近いという共通点もあるし、『ツインビー』の舞台であるドンブリ島の風景は、ハウステンボスに似ていると思う。

 

ツインビーのゲーム画面:空飛ぶ船とベル
▲特に『もえろツインビー』の1面は、風車のほかにもレンガ造りと思われる建物が出てきて、よりハウステンボスっぽい。風車に地上弾を撃って壊せるけど

 

 

かわいいふりして意外と手ごわいゲーム

 

『ツインビー』は1985年、アーケードに登場した。ファミコンへの移植は翌1986年。
腕のついた戦闘機、ツインビー(2Pはウィンビー)を操作して、飛んでくる野菜や台所用品を撃つシューティングゲームだ。

 

ツインビーのゲーム画面、ベルと風車
▲地面から生えてるタケノコも敵キャラ。弾を撃ってくる

 

ツインビーが撃てる弾は、空中弾と地上弾の2種類ある。だが、地上弾は手で放り投げて落とすので、敵の弾に当たって手が壊れると、地上弾が撃てなくなってしまう。
そのときに登場する、お助けキャラが、箱型の救急車。まっすぐ下りてくる救急車と合体することで、腕が復活し、また地上弾が撃てるようになるのだ。

 

ツインビーのタイトル画面とゲーム画面
▲救急車は1機につき1回しか出現しない。救急車のお世話になった後でまた腕を失ってしまうと、その自機がやられるまで地上弾は撃てないのだ

 

前述のとおり、パワーアップはベルで行なう。
もともとの黄色い色で取ると得点が入る。逃さずに取ると点数はどんどん上がる。

 

ツインビーのベルと空飛ぶキャラクター
▲十分パワーアップした後は、連続して黄色ベルを取り、点数を稼ぐという方法も

 

ベルの色は、ベルに弾を撃つと変わっていく。5発で青(スピードアップ)、10発で白(ツイン砲)、15発で点滅(分身)、20発で赤(バリア)。

 

ファミコン版ツインビーのゲーム画面
▲ベルでパワーアップすると、BGMが変わる。この写真は、バリアとツイン砲をつけた状態

 

しかしこのパワーアップが曲者だった。いろんなサイトでいろんな方が書かれていることだが、とにかくベルを目当ての色に合わせるのが難しい。
5発当てると青くなるが、6発めを当ててしまうと、また黄色に戻ってしまうのだ。ベルに何発当たったかを数えながら弾を撃たないと、なかなかパワーアップできない。
序盤、ある程度敵を無視してでもベルを撃つのに専念して、バリアを取りにいくのがいいかもしれない。バリアを取れば、かなり余裕をもって、先の面まで進むことができる。

 

ツインビーのタイトル画面
▲ステージの最後は対ボス戦。1面のボスはオニオンヘッド将軍

 

遊びやすくなった、もえろツインビー&ツインビー3

 

アーケードからの移植だった『ツインビー』に対し、ファミコンのみでリリースされた続編は、かなり難易度が下げられている。

 

1986年、ツインビーの続編『もえろツインビー シナモン博士を救え!』が登場。ファミコンディスクシステム用のゲームだったが、後年ROMカートリッジでも発売された。
スパイス大王(『ツインビー』の敵ボス)の孫、ガトランティスが、シナモン博士の研究所を破壊し、博士を連れ去ってしまう。博士のひ孫3人は、ガトランティスを倒すため、3機のマシンに乗って出撃する。

 

ツインビー、ウィンビー、グインビーのゲーム画面
▲もえろツインビーに出てくる3人のパイロットは、シナモン博士のひ孫という設定。そのため、後の作品に出てくるパステルやライトより、下の世代ということになってしまった

 

『もえろツインビー』の売りは、外付けコントローラーをつなぐことによって、3人同時プレイが可能となったことだ。ツインビー、ウィンビーに加えて、3人めのキャラクター、グインビーが初登場した。

また、横スクロールの面が新たに登場。1、3、7面が横スクロールで、そのほかの面が『ツインビー』と同様の縦スクロール面になっている。

 

ツインビー、ピラミッド、スフィンクス
▲横スクロール面では、空中弾と地上弾を、同じボタンで撃てる

 

さらに『もえろツインビー』では、ゲームオーバーになっても、その面の最初からコンティニューできる。難易度もEASYとNORMALの2段階あり、EASYだと手軽に最終面まで進める。

(※難易度選択は、1993年発売のROMカートリッジ版で追加された仕様だそうです)

 

パワーアップアイテムはベルではなく、鈴になっている。パワーアップの内容は『ツインビー』のものにレーザーが加わっただけだが、分身とバリアは出にくくなった。特に横スクロール面では、鈴でのパワーアップがかなり困難だ。
そのかわり、地上物を撃ったとき、たまに出てくるアイテムが強力。前作にも出てきた3方向弾や、新たに加わった5方向弾が、ツイン砲やビームよりはるかに役立つ。おかげで鈴はパワーアップというより、得点を稼ぐためだけのアイテムになってしまっている。

 

ツインビーのベルと空飛ぶ戦闘機
▲月を取ると3方向に、星を取ると5方向に弾が撃てる。強力

 

1989年、ファミコンソフト『ツインビー3 ポコポコ大魔王』が発売された。
コンティニューがなくなっていて、ベルも相変わらず取りにくい。しかし、パワーアップがない状態のツインビーでも、クリアしやすい難易度になっている。
『もえろ』同様、難易度を2段階から選べるし、ツインビーの数も10機まで増やすことが可能なので、コンティニューなしでもクリアしやすい。
『もえろツインビー』『ツインビー3』とも、シューティングゲーム初心者におすすめだ。

 

ツインビー1面デモ画面
▲最初の4面は、好きな順番でプレイできる

 

ツインビーのキャラクターがショーを行う様子
▲ボスキャラの攻撃がかなりコミカルになった

 

1990年、ゲームボーイで『ツインビーだ!!』が発売された。難易度設定はなく、『もえろ』『3』に比べると、ちょっと難しい。

 

転機となった、“ウィンビー国民的アイドル化計画”

 

アーケードでは1991年、『出たな!!ツインビー』が登場。ため撃ちで強力なショットが撃てるようになったり、ベルの色が各ベルごとに違っていて、少し撃つだけでバリアや分身を獲得できるようになったりと、さまざまな改良が加えられている。

 

ツインビーの空中戦とベル
▲ため撃ちで、こんなに派手なショットが撃てる。ベルのパワーアップには、スピードアップしすぎたときのための「スピードダウン」が加わった

 

ただし、アーケードのシューティングゲームの宿命として、難易度は相当に高かった。コンティニューがステージの途中から可能なので、特にプレイステーション版などでは、エンディングを見るのは難しくないけれど。

 

この『出たな!!ツインビー』では、後に“アイドル化計画”でプロデュースされる、2代目ウィンビー(パステル)と、2代目ツインビー(ライト)が初登場する。

 

1993年、“ウィンビー国民的アイドル化計画”がスタートした。
ウィンビー(『ツインビーPARADISE』放送開始の頃から、表記が『ウインビー』となる)の女性パイロットを、主演ゲームやビデオ、イベントなどを通して、バーチャルアイドルとして売り出していこうという企画である。
当時のマイコンBASICマガジンを引っ張り出して調べてみたら、どうも最初はコナミのゲーム音楽をCD化している、コナミレーベルの企画として発表されたようだ。

 

ちなみにその3年前の1990年に、伊集院光氏がラジオ番組で、架空のアイドルを作る「芳賀ゆい」プロジェクトを実行していた。もしかしたらこれがヒントになって、アイドル化計画が企画されたのかもしれない。

 

ツインビーとウィンビーのゲーム画面
▲『出たな!!ツインビー』に登場するウィンビーのパイロット。当初はマシンと同じ名前だったが、『ツインビーPARADISE』以降、パステルという名前がついた

 

コナミでは「ウィンビーアイドル化計画実行委員会」が発足し、イベント企画委員、グッズ委員などの実行委員を募集した。一般のユーザーが中心となって、アイドル化計画を進めていこうという構想だった。実行委員向けに、『どんぶり島通信』という会報も発行されている。

 

このアイドル化計画の実行中に発売されたのが、スーパーファミコンの『Pop'nツインビー』だ。
『Pop'nツインビー』では、残機制からライフ制に変わり、ある程度弾を受けてもプレイが続けられるようになった。
かなり難しいゲームだったが、難易度が7段階に設定できるので、シューティングゲームに慣れてない人でもプレイできる。私はいちばん易しい難易度にして、やっと全面クリアできたけど。

 

ツインビー:ピンクの雲と敵キャラ
▲『Pop'nツインビー』では、『出たな!!ツインビー』のベルシステムが継承されているので、比較的パワーアップは行ないやすい

 

そして「合言葉はBee!」へ

 

アイドル化計画は、1993年10月、文化放送で『ツインビーPARADISE』がスタートしてから、また新しい展開を見せる。番組中でラジオドラマが放送され、ゲームのキャラクターたちが、ゲームとは違った魅力を発揮した。
「合言葉はBee!」というフレーズも、この番組から生まれている。
※ラジオドラマでパステル(ウインビーのパイロット)役を務めたのは、椎名へきるさんでした。

 

私も一度、番組リスナーの集まりに行ったことがある。
詳しいことは覚えてないが、特にイベントというわけではなく、確かパーソナリティーの國府田マリ子さんが、リスナーに、それぞれ地元の待ち合わせ場所で集合するよう呼びかけたのがきっかけだったはず。
そのときに國府田さんが、「例えば渋谷ならハチ公」と例を挙げていたので、ハチ公前に行ってみると、そこはリスナーの人々で埋め尽くされていた。
かなりの人数だったので、ハチ公前からどこへ移動するのにも苦労した。あちこち動いた後、宮下公園に落ち着いて、最後は宮益坂のマクドナルドでおしゃべりした記憶がある。

 

その後の『ツインビー』シリーズは、1994年に横スクロールアクションゲーム『ツインビー~レインボーベルアドベンチャー~』(スーパーファミコン)や、アーケードのパズルゲームにツインビーのキャラクターを使った『ツインビー対戦ぱずるだま』(プレイステーション)が発売された。

 

そして1995年、『ツインビーヤッホー! ふしぎの国で大あばれ!!』がゲームセンターにお目見え。『ツインビー』シリーズのアーケードゲームは『出たな!!ツインビー』以来、シューティングゲームは『Pop'nツインビー』以来となったが、やっぱりムチャクチャ難しかった。
私はプレイステーション版(『出たなツインビーヤッホー!』)をプレイしたので、『出たな!!』同様にコンティニューしまくって、エンディングまで見た。

 

ツインビーのキャラクター画像
▲『ツインビーヤッホー!』のオープニングでは、國府田マリ子さんが歌う主題歌『僕らのステキ』が流れる

 

ツインビー ゲーム画面 ベルとキャラクター
▲ナンセンス大公の配下、エースとの戦い。彼は最後に大きな役割を果たすことになる

 

アイドル化計画のほうでは、1994年だったと思うが、イベント、グッズなどそれぞれの委員から、委員長を選出して、本格的にイベント開催やグッズ製作などの活動を始めようという話が持ち上がった。各委員長は、立候補した委員の中から、委員全員による郵便投票で選ばれた。

 

……で、確かそのとき私、「シナリオ委員長」に選ばれた記憶があるんだけど……。

ツインビーのベルとドンブリ島風の風景
※▲選ばれていました。当時のどんぶり島通信に掲載されていました。

 

委員長を選んでから間もなく、『どんぶり島通信』が休刊になってしまう。一応、雑誌(徳間書店の『Virtual IDOL』だったか)の1コーナーとして活動を続けるという話だったが、結局その後、『アイドル化計画実行委員会』としての活動はなくなった。ウィンビー主演のゲームすら、とうとう発売されなかった。

 

※1994年、PCエンジン(スーパーCDロムロム)向けに、恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』が発売され、翌年プレイステーションに移植されて大ヒットしました。キャラクターグッズや音楽CDも好セールスを記録し、アイドル化計画はこちらで成功した感があります。

※1998年にプレイステーションで『ツインビーRPG』が発売されていますが、私の知る限り、ウィンビーアイドル化計画実行委員会は関わっていません。

 

あー、この原稿書いてたら、ツインビーのキャラクターを使ったアドベンチャーゲームを作りたくなってきた。コナミさん、いかがでしょう? 一応シナリオ委員長なので……。

もっとも、私の考えるシナリオって、知り合いのゲームデザイナーさんが言うには、「マニアックすぎて売れなさそう」ということだが。

 

※シリーズ各作品がその後さまざまな機種に移植されました。現在Nintendo SwitchとPS4向けに、『ツインビー』と『出たな!!ツインビー』が配信されています(ハムスター「アーケードアーカイブス」シリーズ)。また『Pop’nツインビー』がNintendo Switch Onlineで配信されています。

 

 

 

 

 

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※「日本縦断ゲーセン紀行」など、いろいろ書いてます。

 

俳優・八名信夫氏の著書『悪役は口に苦し』(小学館)の中で、それぞれの時代背景について補足説明する文章を、少しだけ書いてます。(昭和中期のパ・リーグ、東映ヒーロー、オレたちひょうきん族など)

 

当ブログ内で、ゲームブック風アドベンチャーゲーム『香川県からの脱出』を公開しています。

 

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