【善通寺：4】＜脱出ゲーム　香川県からの脱出＞　藤原仲成・薬子か、蘆屋道満か

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善通寺

みやげ物屋にあった扁額を、もともとある扁額の上に重ねて掲げてみた。

i

安倍晴明「おお、扁額に筆の誤りがあれば、さすがに霊験も薄れるようだ」

式神「これで我々も、この寺に入ることができます。晴明様、参りましょう」

「そうしよう」

「何か御用ですかな？」

「これはこれは、弘法大師様。御みずから出迎えて下さるとは、たいへん恐れ入ります。
　こちらにうかがった理由は、ほかでもありません。今、ここ讃岐の国には邪気が満ち満ちております。
　邪気を打ち払い、讃岐の民が平穏に暮らせますよう、大師様のお力を貸して頂きたいのです」

ii

空海「私も、近年まれにしか見ぬほどに、邪気が強くなっているとは感じておりました。
　かつて私が退治した、藤原仲成と薬子の霊が、遥かなる時を越えて、大和からここまでさまよい出でたのかと危惧しております」

「私は初め、蘆屋道満による呪いかもしれないと思っておりました。しかし、どうやらそこまで力のある者の仕業ではないようです。
　むしろ、小人物どもが権力を握ってしまったため、彼らの汚い欲望が邪気となって、大師様が改修なされた満濃池の水のように、讃岐の地に溜まり、民衆の生活をおびやかしている様子」

「藤原仲成はまさにそのような小人物でした。つまり今の讃岐の中枢には、何十人もの仲成が暗躍しているということになりますな」

「今や、彼らのふりまく邪気があまりにも強くなりすぎたため、悪霊の如く、邪気が自ら意思を持って行動しつつあります。まさに危急存亡の秋（とき）」

「おっしゃる通りです。しかもこの悪霊は讃岐にとどまらず、既に日本のそこかしこに飛び出して、日本全土に邪気をふりまこうとしています。
　悪霊どもは自らの勢力を広げ、各地で無辜（むこ）の民を塗炭（とたん）の苦しみに陥れ、それと引き換えにさらなる欲望を満たそうとしています。
　ちょうど私も、何とかしなければと考えていたところです。喜んで悪霊退散に協力致しましょう。かつて薬子の変で、仲成と薬子を倒し、嵯峨天皇を勝利に導いた方法で、調伏を致します」

「これは心強い。よろしくお願い致します。では失礼します」

「……ん？　何だ、この声は？」

「……ウダ！」

「呪いの言霊（ことだま）です！」

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