深圳交響楽団特別演奏会 | geezenstacの森

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深圳交響楽団特別演奏会

 

 

曲目とソリスト

 

 

 

深圳交響楽団は1982年に創立され、現在は。創設当初から「未来の中国シリコンバレー」と呼ばれるこの都市の文化的夢を担ってきたんですなぁ。今は香港フィルと肩を並べるまでになっています。今回の来日公演でも披露しているレスピーギの「ローマの松」の抜粋の演奏です。指揮は常任を務める林大葉(リン・ダーイエ)です。

 

 

 さて、名古屋では特別演奏会ということで名古屋音楽大学の成徳館12階のホールで行われました。この演奏会は「めいおん音楽祭」の最後を飾るイベントでもありました。名古屋音楽大学とのコラボということで、めいおんの学生をソリストにしたコンサートでした。そんなこともあり、ここで指揮をしたのは常任を務める林大葉ではなく、日本生まれながら上海在住の遠藤綾音さんがあたりました。ホール自体が狭いので、室内楽規模の編成での演奏会となりました。でも、プログラムからするとちょうど良い規模でした。

 

 

 

 最初は過激「ドン・ジョヴァンニ」序曲で、きびきびとした指揮で指揮者の遠藤綾音さんは一応楽譜は譜面台においてはいましたが、すべてのプログラムを暗譜で指揮していました。

 

 最初の協奏曲はベートーヴェンと同時代に活躍したウェーバーのファゴット協奏曲です。すでに地元のオーケストラとの共演経験も豊富な上田隼斗氏でした。この曲を生で聴くのは初めてでしたが、なかなかの佳曲で、ちょっと聴いた感じでは第1楽章などはティンパニとの掛け合いがベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の編曲版のピアノ協奏曲のような雰囲気を持っています。主部では、ファゴットの持つ幅広いキャラクターと表現能力を生かして、輝かしい気分、穏やかで内省的な気分などを多彩に表現します。同時にソリストのテクニック披露のために、低い音域から高い音域までを切り替え早く音が飛び回ります。 

 第2楽章はアダージョで、オペラ作曲家でもあったウェーバーらしいゆっくりとしテンポでソプラノアリアを想わせて、歌うようなメロディーが非常に美しく魅力的です。 第3楽章は軽快なロンドで、主題が何度も登場しますが、その都度気分を変えて楽しませてくれます。聴いていて本当に胸がわくわくしてしまいます。 なかなか堂にいった演奏で、ブラボーの声も飛んでいました。ちょうど下のような演奏でした。

 

 

 ウェーバーは、1811年にヨーロッパの都市を巡るコンサートツアーに出ましたが、最初の都市のミュンヘンで、宮廷楽団のファゴット奏者ゲオルク・フリードリヒ・ブラントから頼まれてこの協奏曲の作曲をしました。楽団の他の音楽家達も、ウェーバーに協奏曲を書くよう頼みましたが、ウェーバーが納得して引き受けたのはブラントだけでした。 ファゴット独奏のための協奏曲は余り多くは無くて、モーツァルト、ウェーバー以外ではフンメルの作品が知られますが、近年ではロッシーニの作品が復元され注目されています。 

 

ピアノのセッティング

 後半はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番でした。独奏は名古屋音楽大学大学院器楽専攻科の2年生ということであまり、コンサート慣れしていない初々しい学生の村木舞香さんでした。ステージなれはしていないようでしたが演奏はしっかりとしたテクニックに裏打ちされた演奏で、曲が始まると没入するタイプなのでしょう。特に第3が気象は多分リハーサルではもう少しゆっくりとしたテンポで演奏したのではと思われますが、本番は興に乗っていたのかやや早めの店舗で演奏していました。そのため、指揮者が何度もピアニストを振り返りながら必死にサポートしていたような印象でした。個人的にはこの協奏曲を生で聴くのは初めてだったのですが、後期の20番以降の作品の中ではティンパニが使われていない唯一のピアノ協奏曲だと知りました。また、この作品では第1楽章のカデンツァはモーツァルト自身がしっかりと描いていて演奏者の遊びの部分がないほどに充実した作品になっています。

 

 

 

アンコールに応える村木舞香さん

 

 演奏者からの距離が5メートルほどの距離でステージとの段差もなく写真の近さでの生の演奏はビシビシと音楽がダイレクトに体に響いてきてなんとも言えない音楽の楽しさに酔いしれた演奏会となりました。