ストコフスキー
シェエラザード
曲目/
リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」作品35
1. 海とシンドバッドの船 10:04
2. The Story Of The Kalendar Prince 11:42
3. The Young Prince And The Young Princess 11:53
4. Festival In Baghdad, The Sea, The Shipwreck, Conclusion 12:09
リムスキー=コルサコフ/「スペイン狂詩曲」作品34*
1. アルボラーダ(朝の歌) 1:20
2. Variazioni. Andante Con Moto 4:52
3. Alborada. Vivo E Strepitoso 1:24
4. Scena E Canto Gitano. Allegretto 5:13
5. Fandango Asturiano 2:58
ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より,ダッタン人の踊りと合唱** 11:17
ヴァイオリン/エリック・グリューエンバーグ
指揮/レオポルド・ストコフスキー
演奏/ロンドン交響楽団
ニュー・フィルハーモニー管弦楽団*
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、ウェールズ国立歌劇場合唱団、アンブロジアン合唱団**
録音/1964/09/22 キングスウェイ・ホール
1973/07*
1969/06/16,17**
P:トニー・ダマート
レイモンド・ヒュー * **
E:アーサー・リリー
DECCA 417753-2
ストコフスキーは好きな指揮者で「シェエラザード」もレコードで所有していましたが、CD時代になってほとど処分してしまいました。これもそんな一枚で、CD化されておまけもついていたので乗り換えました。1990年ごろに発売されたものですでに72分以上の収録時間を誇っていました。名盤として誉れ高い録音ですが今までこのブログでは取り上げていませんでした。手元には93歳で録音したロイヤルフィルとの1975年録音も所有していますが、そのスタイルの違いは一目瞭然です。まず冒頭のテンポが違います。そして、トロンボーンでサルタンの主題を高らかに歌い上げています。まるでストコフスキー編曲の「シェエラザード」といっても差し支えない演出で、千夜一夜の物語が始まります。これはデッカの「フェイズ4」に録音されたもので、通常のデッカの録音スタッフによるデッカツリー方式による録音ではなく、20本以上のマルチマイクを使った収録で各楽器が生々しく響きます。往々にしてフォルテでは音が玉砕し歪んでいるのもこの「フェイズ4」の特徴の一つです。それでも当時としては生々しい音の洪水はストコフスキーが望んだものでしょう。そして、ここでヴァイオリンのソロをとっているコンマスのエリック・グリューエンバーグもオーケストラをリードしながらも自らもシエエラザードの主題を楽しんでいて、その主題の最後の音をオクターブ上げるという遊びで答えています。
この「シェエラザード」は決してファーストチョイスではありませんが、「アラビアンナイト」の世界をどっぷりと楽しむのならこの演奏は外せません。
次の「スペイン奇想曲」はストコフスキー唯一の録音です。ただね映像としては、病気のフリッツ・ライナーの代役でストコフスキーがシカゴ交響楽団を指揮をしたテレビコンサートの映像が残っています。信じられないかもしれませんが、この演奏はストコフスキー80歳の誕生日の3か月半前に録画したものです。セッションという事でそのテンポよりはやや遅めですが、特徴的なのは「アクセント」をはっきり演奏していることです。
最後のボロディンの「ダッタン人の踊りと合唱」もセッションとしては唯一の録音です。ここでも、ストコフスキー水んらの編曲版で演奏されています。この編曲の絶妙なこと!個々のテンポの落とし方入念な節回し、テンポアップの対比もストコフスキーの真骨頂でしょう。ラスト熱狂的な声楽とオーケストラの掛け合いもお見事な一大絵巻物風編曲になっています。このCD初めてCD化されたもので、ストコフスキーのだいご味を満喫できるのもうれしいところです。
下はLPレコードです。
こちらはCDです。