音楽を楽しむ会
ウィーンフィル時代のブルーノ・ワルター
第二土曜日は恒例の音楽の楽しむ会に参加してきました。今回はブルーノワルターを取り上げていました。それもウィーン・フィル時代のブルーノワルターです。ワルターは1936年から38年までウィーン国立歌劇場の芸術監督を務め、オペラ上演やウィーン・フィルハーモニーとの演奏会をはじめ数々のレコーディングを行っていました。まぁナチスがオーストリアを併合するまでの期間です。ユダヤ人だったワルターはこの後迫害を受け、スイスに逃れさらに1939年には家族とともにアメリカに亡命しています。
最初はSPレコードで1936年の録音になるモーツァルトの「アイネクライネナハトムジーク」から第1楽章が取り上げられました。このウィーン時代のワルターはほとんど個人的には知りません。そういうこともあり、今回は興味深く聴くことができました。このアイネクライネは非常に早いテンポで演奏されています。まぁSP録音と言うこともあるのかもしれませんが、若い頃のワルターのテンポを感じることができます。非常に生き生きとした演奏で、その中で音楽のためや強弱を見事に作り上げていました。
今回は会場にそのワルターの珍しいレコードが色々と陳列されていました。今回初めて知ったのですが、有名なデッカの録音になるマーラーの「大地の歌」は、セッションとともにその翌日の演奏会のライブ録音のレコードも飾られていました。こういう録音があったとは全く知りませんでした。
展示されていた珍しい録音の数々
2曲目はモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲ですが、1937年のライブ録音にもかかわらず、これは全曲録音が存在します。この時用いられたのは映画用の35ミリの光学録音機を使って録音されました。確かに生々しい音で録音されています。SP時代の録音ですからバランスはそれほど良くありません。特にホルンなんか結構近接されて録音されています。しかし畳み掛けるような序曲の演奏に続いて第1幕の音楽がすぐに始まる様子は、さすがライブの録音というのを感じることができました。これはザルツブルグ音楽祭でのライブ録音で当時の雰囲気を生々しく感じることができます。こういう録音はドンジョヴァンニも残っていると言うことです。
続く。1937年のモーツァルトのレクイエムはなんと開催されたパリ万博でのシャンゼリゼ劇場での録音ということです。ただわれた本人はこの演奏を気に入らなかったと見えて、長らくお蔵入りしていました。1980年代にようやくこの音源が発見されリリースされたということです。
ウィーン・フィル最後の年となる1938の録音でワルターの得意とするマーラーの交響曲第9番の録音が残されています。やはりライブですが、この公演は既にナチスによって爆破予告があったと言う話も伝えられています。公演は2日間行われましたが、ここではそういう物騒な雰囲気が伺えないと言うことで騒動が起きなかった日の録音だったのでしょう。マイクは5本使われていたそうですが、結構良い音で残っています。
次に取り上げられたのが1947年イギリスはエジンバラ音楽祭でのウィーン・フィルの公演からヨハンシュトラウス2世のウィーンの森の物語がかけられました。これはウォルターが立っての要望でウィーン・フィルをイギリスに呼んだとのことで、この時は得意のシューベルトの未完成、ベートーベンの田園、そして、マーラーの第一の歌などが、演奏されたということです。これらは録音が残っていませんが、ここでかけられたウィンの森の物語は、一般には紹介されてない音源で、日本ワルター協会のみで頒布されたレコードによる演奏を聞くことができました。日本のワルターファンはこういう珍しい音源まで復刻しています。残念ながら音源がありませんでした。
ワルターは下にセッション録音のマーラーの「大地の歌」を録音していますが、ここでコントラルトを歌っているキャサリン・フェリアはこのワルターが見出した歌手でした。通常はムジークフェラインでのセッション録音が演奏されるところですが、今回は1952年5月17日に演奏されたライブがかけられました。このー大地の歌」漢詩をドイツ語訳したものが使われているそうですが、昔サントリーのコマーシャルで聞いた音楽で小生もこの曲に目覚めたのを思い出しました。
後半はステレオ版をかけるのでモノラルカートリッジからステレオ用に取替えです
後半の初めは1935年と言う古い SP録音でワーグナーの「ジークフリート牧歌」の最初の一面を蓄音機で聞くことができました。クラシックをレコードに残そうと思うと、わずか5, 6分の1面をこの曲だけで4面も使うと言うことで、そのつなぎのテクニックは技術者のテクニックがあっての賜物と言いえましょう。
続くブラームスとベートーヴェンは、この日の唯一のステレオ録音によるコロムビア交響楽団のレコードが掛けられました。ただ、使われたレコードは今のソニーから発売されたものでは無く、日本コロムビアが発売していた196年ごろに発売されたレコードでした。アメリカのオリジナル盤もあまり音のいいものはなかったようです。
最後は映像でワルターを楽しみました。
戦後、ベルリンフィルに登場したブルーノ・ワルター 1950
バンクーバー音楽祭管弦楽団とのリハーサル
来年はニューヨークフィル時代を取り上げるそうで、こちらも楽しみです。