バーンスタイン/ベートーヴェン序曲集 | geezenstacの森

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バーンスタイン/ウィーンフィル

ベートーヴェン序曲集

 

曲目/ベートーヴェン

1.「プロメテウスの創造物」序曲 4:58
2.「エグモント」序曲 8:53
3.「コリオラン」序曲 8:54
4.「シュテファン王」序曲 6:50
5.「フィデリオ」序曲 7:12
6.「レオノーレ」序曲第3番 15:03

 

指揮/レナード・バーンスタイン
演奏/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ムジークフェラインザール、ウィーン

 

録音/1981/2-20-23 1

  1978/11/4-7 2

  1978/1/26、2/8   3

  1981/02/20-23 4

  1978/04/4-7 5

  1978/01/26、2/08、20、21   6

P:ハンノ・リンケ

E:ハンス・ウェッバー

 

DGG 2531347

 

 

 調べてみたのですが、どうもこの録音はLPでは発売されたようですが、CDでは発売された痕跡がありません。多分「ハーンスタイン・コレクション1」にしか含まれていないようです。そして、LPでは収録時間の関係があり曲の配列が全く違います。CDはA面B面の制約がないので上記のような配列に変えられています。ちなみにLPでは以下の曲順になっていました。

A面

1.ベートーヴェン:「エグモント」序曲
2.ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲
3.ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
B面

4.ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
5.ベートーヴェン:「シュテファン王」序曲
6.ベートーヴェン:「フィデリオ」序曲

 

 ニューヨークフィルとも序曲集は出していますが、これは1960-1970年の期間にまたがっていてまとめて録音したというイメージはないのですが、このウィーンフィルとは1978-81と集中的に録音しています。もともとはベートーヴェンの交響曲全集と並行して収録され、セットの中に含まれていました。時代はまだLPの時代でしたからレコードとしては単独での発売はありましたがCDとしては時期尚早ということで発売されなかったのでしょう。

 

 この全集1連のベートーベンの交響曲とベクトルは一緒です。中年以降のバーンスタインのニューヨーク、フィルとはまた違う度知るとしたアンティ感があります。ベートーベンの交響曲の6番に当たって、ヨーロッパの伝統のオーケストラと録音すると言うのはバーンスタインの夢だったのでしょう。それがウィーン・フィルで叶って1970年代後半からのバーンスタインは一皮向けたような活動を繰り広げました。ここに収録されているベートーベンの序曲は、その全集と並行して録音されていますから、切手は切れない関係なんでしょう。ただ1つだけオペラフィデリオの音楽として録音されたフィデリオ序曲だけはちょっといただけません。何しろ店舗が遅すぎます。音楽が流れると言うよりはちょいと停滞してしまっています。フィデリオ序曲に7分以上の演奏は必要ないでしょう。このブログで取り上げている中でも1番遅い演奏です。その次に遅いと感じたのは来ると、ザンデルリンクがフィルハーモニア登録音した演奏でした。これも6分台の後半の演奏でやや重たいと感じたものです。どちらかと言うとフィデリオ序曲はオペラの重たさを払拭するような演奏でないと生きてこないような気がします。そういうことでこのレコードの中でフィデリオ序曲だけがちょっと違和感を感じました。

 

 

 

 このCDでは、冒頭に「プロメテウスの創造物」が置かれています。もともとはバーンスタインはこの曲はバレエ音楽として付随音楽も録音しています。しかし、全集に収められたのは序曲だけです。まあ、この序曲集はそもそも序曲だけを収めるために制作されていますからそれでいいのでしょうが、「プロメテウスの創造物」の音楽としてはDGの全集の中には収録されていません。以前DVDの音源として発売されただけです。つまり、CD音源としては何か事故があったのでしょう。ちなみに、DVDの音源は不自然に序曲と付随音楽が切り離されています。手元にある音源はドイツプレスですから問題はないようですが、以前国内で発売されたものは音の欠落があつたようです。詳しくはこちらの記事を参照してください。

 

 

 レコードではA面最初に「エグモント序曲」が収録されていました。LPの配列はこのつかみは良いですね。重厚なベートーベンが展開されています。映像で確認すると渾身の力を込めてバーンスタインがウィーンフィルと一期一会の演奏を繰り広げています。

 

 

 音だけでもいいのですが、映像で聴くとその凄さがヒシヒシと伝わってきます。

 

 

 「コリオラン序曲」もバーンスタインには向いている曲でしょう。全集の最後を締めくくるように1981に録音されています。

 

 

 「シュテファン王女曲」もバーンスタインは録音しています。ベートーヴェンとしてはかなり後期の作品ですが、あまり知られていません。こういう作品までウィーンフィルだは拾って録音しています。バーンスタインには強かな考えがあったのでしょう。アメリカではニューヨークフィルとあらかたのレパートリーは録音していましたが、それはアメリカの枠の中だけでした。そして、CBSはオーマンディもセルも同じ枠組みでした。しかし、ニューヨークを離れたことによって契約は自由になります。それを機にフランスものはフランスのオーケストラを使い、ミュージカルはもう一つの本場イギリスで録音し、本流のドイツ・オーストリアものはこのウィーンフィルを使って思う存分録音をしています。CBSの枠の中ではできないことでした。レパートリーによって適宜オーケストラを使い分けています。

 

 

 CDの最後は「レオノーレ序曲第3番で締めています。いい構成です。スケールといい構成といい最後にふさわしい規模です。バーンスタインは1960年代まではセッション録音を中心にレコーディングしていましたが、それでは自身の本当の魅力は伝わっていないという事に気が付き、DGGと契約した1970年代からはライブ収録に切替えました。そして、その多くを映像でも残しています。ニューヨークフィルとの映像は「ヤングピープルズ・コンサート」に多く残されていますが、ほぼまともなコンサートの録音は残されていません。しかし、DGGに実足を映したウィーンフィルとの共演は膨大な量が映像で残されています。今回このレコードの序曲集は演奏とともに映像でも楽しむ事が出来ます。CDの音源はゲネプロも含めたもので、いまいち典が悪いところも散見されますが、映像で飲みされた一期一会の演奏はそれを補って余りある感動的なものとなっています。これらの演奏はCDだけでなく映像で楽しむ方がよりバーンスタインを理解できるでしょう。

 

 


 

 

 

下はレコードです。