Music From the Film Of
Tom Cruise
曲目/
これはイギリスの「Silva Screen」というレーベルから発売された俳優にスポットを当てて制作されたアルバムです。1994年に発売されたもので、ここでは「トム・クルーズ」がセレクトされています。この「Silva Screen」というレーベルは映画音楽に特化したレーベルで現在も存在します。
この1994年時点での発売と言う事は、彼の後の代表作となる「ミッション・インポッシブル」は含まれていません。そういう意味では、この時点の最新作は最後に収録されている「遥かなる大地へ」が最新作といえます。
このアルバムで1番最初に収録されているのは「7月4日に生まれて」という作品です。7月4日というのはアメリカの独立記念日です。まぁ最大のお祭りといってもいいでしょう。この作品でトム・クルーズはゴールデングローブ賞の主演男優賞、またアカデミー主演男優賞のノミネートにもなっていましたから代表作の一つといってもいいでしょう。
個人的にこの曲目リストを見て驚いたのは、1983年に公開された「ザ・アウトサイダーズ」と言う作品です。この作品以前にもトム・クルーズは映画に出演していますが、この作品は本のちょい役でしか出ていなかったからです。当時発売されたサントラのジャケットでも、上のほうに小さな写真でしか示されていません。当時は、若者の映画ブラッドパックと呼ばれる人たちが人気集めていました。例えば、エミリオ・エステベスとかロイ・ブロイとかそういう俳優の方が有名だったわけで 、一部にはトム・クルーズもその「ブラット・パック」の1人だと言うことが紹介されていますが、ほとんど目立たない存在でした。本来ならここで取り上げるのは、彼が注目を浴びた「卒業白書」という作品ではないでしょうか。それが選ばれていないのはちょっと残念なところです。
我々のイメージで、この当時のトム・クルーズの代表作は「トップガン」だったのではないでしょうか。このアルバムでは2曲が収録されています。最初は「トップガン・アンセム」というハロルド・ファルターマイヤーの曲です。一般ですとケニー・ロギンスの歌った「トップガン」という曲がチョイスされるところでしょうが、小生もこっちの曲の方が印象に残っているのが確かです。またもう1曲の「愛は吐息のように」です。トップガンの愛のテーマという側面があった曲ですが、小生はあまりお気に入りではありませんでした。
レインマンは、意表をついた作品ですが、トム・クルーズ自身、幼い頃から学習障害や失読症などの障害を持っていたこともあり、この映画に参加しています。ただ個人的には素晴らしい内容の映画でしたが、音楽だけはいただけませんでした。これはジョン・ウィリアムズが作曲していればもっと素晴らしい作品になっただろうなぁと言う気持ちはあります。ここではハンス・ジマーがエレクトリック・サウンドを取り入れた響きで、どうも映画の内容とマッチしていないなぁと言う印象を持ちました。こんな曲です。
14曲目は曲名は「遥かなる大地へ」からエンヤの歌う「ブック・オブ・デイズ」という作品です。エンヤ自体がアイルランド出身と言うこともあり、この映画のルーツと根本的に関わっているということで採用されたのでしょう。もともと言葉に意味を持たないエンヤの曲ですから、この楽曲の挿入は映画の価値を高めていたのではないでしょうか。
最後の曲は同じく「遥かなる大地へ」のエンドタイトルです。ここでもジョン・ウィリアムスがアイリッシュのメロディーを用いながら素晴らしいスコアを書いています。アイルランドの民族楽器を使った楽しい舞曲を含んだこのエンドクレジットは映画を見たものを爽やかな感動で包んだことでしょう。
ところで、このアルバム。選曲が良くなかったのかDISCOGSのページでもこのアルバムだけ、登録されていません。ということでは逆に今となっては貴重品です。