レコード芸術
1970年7月号 6
この時来日していたパリ管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団の3つのオーケストラを聴いてと言う対談が載っていました。まぁ総まとめみたいなものですが、この中で2人が語っていたのは、ベルリンフィルは本調子ではない。パリ管はプログラミングがどうもいまいちということでクリーヴランド管弦楽団を一番押しています。まぁ内容はじっくり読んでみてください。
東芝EMIの広告です。トップページはバレンボイムとイギリス室内管弦楽団が進めていたモーツァルトのピアノ協奏曲シリーズを取り上げています。当時は非常に気になった演奏で、後に全集になった時、イギリスから個人輸入したのを覚えています。いつもはグリーンの広告でしたがここではピンクを採用して目立つ広告にしています。
一応、最新録音盤ということでボドの指揮するフォーレのアルバムが取り上げられていますが、メインはカラヤンワイセンベルグのチャイコフスキーのピアノ協奏曲です。どう考えても売れる指揮者をパリ管弦楽団に据えたかった戦略が見え隠れしています。
EMIも、この時は、ベートーベンの生誕200年ということで全集を発売していました。ただメインとなる管弦楽作品は、クレンペラーとクリュイタンスやフルトヴェングラーの演奏した過去の録音を引っ張り出して全集に組み上げています。触手が動きません。このときの最新盤はセルとギレリスのピアノ協奏曲全集であったような気がします。弦楽四重奏曲がハンガリー弦楽四重奏団だったなんて今回初めて知りました。
当時は東芝の広告ページの最後には話題盤を取り上げる対談の記事が掲載されていました。ここではその目玉となるカラヤン/ワイセンベルク/バリ管弦楽団のチャイコフスキーのピアノ協奏曲が取り上げられています。対談が黒田恭一氏と中川原理氏ということで、グラモフォン押しの評論家が、エンジェルのレコードをどう評価しているのかが見ものです。
前の記事でこの月のグラモフォンは特約店の一覧表を掲載していると書きましたが、それとリンクする形で、グラモフォンのベートーベン全集をここでアピールしています。もちろん目玉はカラヤンの新録音によるベートーベンの交響曲そして、ベームが指揮するオペラ「フィデリオ」の全曲がメインでした。
この時コロンビアは日本人指揮者としては初となる岩城宏之/NHK交響楽団の演奏によるベートーベンの交響曲全集をぶつけてきました。これは非常に興味深かったセットで、高校時代の先輩がこのセットを買い聴かせててもらった記憶があります。日本人指揮者によるリハーサル風景付きといったものが非常に珍しかったと思います。後にCD化された時にこの全集を買っていますが、最初に発売された時は、残念ながらこのリハーサル風景はついていませんでした。残念!!
もう一つ、この記事を見ていて、思い出したのはPRがバッハのチェンバロ協奏曲全集のレコード出していたことです。ただし、国内盤は高くて手が出なかったので、輸入盤で買い求めることにしました。当時ノンサッチから同じ内容の全集がカール・リステンパルト/ザール室内管弦楽団で出ていたので、それを買い求めました。値段は3分の1位で手にすることができました。
万博に合わせて、こういう現代音楽のシリーズを、この時告知していたとは知りませんでした。売れたとは思えませんが、気骨のある企画でした。
さて、最後は、伝説のオーディオ評論家長岡鉄男氏が、個人宅を訪問しオーディオ装置の診断をすると言う企画です。アンプ1つ、カートリッジ1つで音が変わるオーディオの世界。それでも長岡哲氏は安価な素材を最高の音で鳴らすことで有名でした。ということでなかなか興味深い企画になっています。こういうのがオーディオの本来の楽しみなんでしょうなぁ。
まだまだ続きます。