ミシェル・デボストのヴィヴァルディ | geezenstacの森

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ミシェル・デボストの

ヴィヴァルディ

 

曲目/ヴィヴァルディ

協奏曲集Op,10

1.フルート協奏曲第1番 ヘ長調 「海の嵐」 
2.フルート協奏曲第2番 ト短調 「夜」 
3.フルート協奏曲第3番 ニ長調 「ごしきひわ」 
4.フルート協奏曲第4番 ト長調 
5.フルート協奏曲第5番 ヘ長調 
6.フルート協奏曲第6番 ト長調 

 

フルート/ミシェル・デボスト
指揮/ルイ・オーリアコンブ

演奏/トゥールーズ室内管弦楽団 

 

録音/1967/09

米SERAPHIM/S-60128

 

 

 今回のコンサートで自然をイメージした曲ということではこの作品10のヴィヴァルディのフルート協奏曲集も自分の中では候補に上げていました。ただ、今一つ残念だったのがジャケットのデザインで、全く海とか自然を連想させるものではなかったことです。手元にあるレコードは再発されたもので、EMIの廉価レーベルのセラフィムで発売されたものです。

 

 面白いもので、このヴィバルディの作品10のフルート協奏曲集はこれといった決定盤がありません。手元にあるのはランパルとガッゼローニそしてこのデボストの3枚ですが、どれも決定的名言と言われるものとは程遠いようです。そして面白いのは組み合わせがそれぞれ定番と言われるものではないような気がするのです。例えば、ランパルは通常ならパイヤールが演奏しそうなものですが、そういう録音は残っていなくて、バックはい・ソリスティ・ヴェネティですし、ガッゼローニはイ・ムジチ合奏団、そしてこのデボストはトゥールーズ室内管弦楽団と言う具合です。レコード芸術の「名曲名盤300選」などで、取り上げられているのは、フランス・ブルッヘンの演奏がいつでもトップです。ただ、この録音は、リコーダーとフラウト・トラベルソを使っての演奏ということで、どちらかと言うと、古楽演奏の模範のようなものです。

 

 ですから、華やかな本来のフルートの響きで、この曲を聞きたいと思えば、ランパルやニコレ、そして新しいところではゴールウェイと言うところになるのでしょうか。どれも小生の中では決定版と言うイメージはありません。ということで、無難なところで選ぶのが、このミシェル・デボストのフルートによるEMIの録音です。

 

 どちらかと言うと、デボストのフルートは、華やかさよりも優雅さ、気品のある演奏という意味で、1番よく効く機械のあるレコードになっています。それが実感できるのが第1局の海の嵐です。まぁ聴いてみてください。

 

 

 2曲目の「夜」もしっとりとした雰囲気で夜の帷が天空を覆い、夜のしじまが覆っている雰囲気がよく表現されています。その中を一台の馬車がランプの灯りを照らして、シックしている様が浮かびます。

 

 

このミシェル・デボスト(Michel Debost, 1934年1月20日 - )は、フランス出身のフルート奏者です。18歳でパリ音楽院に入学しガストン・クリュネルに師事、1954年(20歳)1等賞で卒業した。この年に勃発したアルジェリア戦争のため2年2か月間兵役につきましたが、その後演奏活動に復帰しました。1961年にパリ音楽院管弦楽団に第2奏者として入団し、翌年首席奏者となります。同楽団を解散して1967年に設立されたパリ管弦楽団でも首席奏者となりました。日本とも縁が深く1964年に初来日。以来、演奏活動や神戸国際フルートコンクールなどの審査員として何度も日本を訪れています。

 

 そして、指揮者のルイ・オーリアコンブはトゥールーズの放送局のオーケストラの団員となるとともに、1951年にイーゴリ・マルケヴィチに弟子入りし、1957年から1967年までマルケヴィチの助手を務めていました。そして、1953年にはトゥールーズ室内管弦楽団を創設して、自ら首席指揮者を務めましたた。ただ、これからという時に1971年脳卒中で倒れ、昏睡状態に陥り1982年12月そのまま亡くなっています。ですからこの60年代末期というのが活動の中心になっています。もちろん仏パテには「四季」も録音していますが、それは流石に幾多の演奏の中にうもれてしまっていますが、この一枚はデボストという独奏者を得て輝いています。

 

 この作品10は最初の3曲が表題付きとなっていてヴィヴァルディの数ある作品の中でも人気があります。その「ごしきひわ」は日本では知られていませんがヨーロッパでは雀並みに一般的な鳥のようです。英名は「European Goldfinch」で、姿かたちは確かに5色の彩りの奇麗な鳥です。

 

 

 

 後半の3曲も同様な演奏が続きます。第4番はこの曲集の中では一番新しい曲で出版に際して作曲されているようです。そして、5万は自作のオペラのアリアからの旋律を使用して書かれ、第6番も旧作を転用して使っている作品です。