KULTUR SPIEGELのヘルマン・シェルヘン | geezenstacの森

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KULTUR SPIEGELの

ヘルマン・シェルヘン

 

 最近の生理で掘り起こされたのがこの「KULTUR SPIEGEL」のシリーズです。最近はジョージ・セルを取り上げましたが以前にはクラウディオ・アバドとストコフスキーも取り上げています。

 

 

 

 アバドはソニーにも録音していますが、このセットに含まれているのはグラモフォンの音源の「田園」ですが、前週に採用された音源ではなく、ボツになった音源を拾っていました。ストコフスキーはRCAの音源とCBSの音源でまとめています。

 

 さて、このシリーズ、全体ではこうなっていました。

「偉大な指揮者たちの名演奏集」
ドイツの出版社が企画したレーベルを超えたスペシャルボックスです。20人の指揮者の演奏を2枚ずつにまとめています。またDG、EMI、SONY、RCA、WARNERなどの音源を使用しています。まあ、どちらかというとその息のかかった指揮者でドイツ系の指揮者でまとめられていると言っていいでしょう、

◎偉大な指揮者たち
クラウディオ・アバド
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
チャイコフスキー:「ロミオとジュリエット」
シカゴ交響楽団
ロッシーニ:セビリャの理髪師序曲
ヴェルディ:運命の力序曲
ロンドン交響楽団
ドヴォルザーク:交響曲第8番/メンデルスゾーン:真夏の夜の夢序曲/R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ダニエル・バレンボイム
シューベルト:交響曲第5番、ロザムンデよりバレエ音楽/ベルリオーズ:幻想交響曲
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
シューマン:交響曲第3番「ライン」
シュターツカペレ・ベルリン]
エルガー:「威風堂々」第1番、第2番、第4番
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

レナード・バーンスタイン
ブラームス:交響曲第2番/ガーシュウィン:パリのアメリカ人/バーンスタインウェストサイド物語よりシンフォニック・ダンス/マーラー:交響曲第9番
ニューヨーク・フィルハーモニック

ピエール・ブーレーズ
ドビュッシー:海、夜想曲、牧神の午後への前奏曲
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ニューヨーク・フィルハーモニック
シェーンベルク:浄夜
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
ニューヨーク・フィルハーモニック

セルジュ・チェリビダッケ
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」、第6番
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ベートーヴェン:交響曲第1番
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
ブルックナー:交響曲第7番
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ニコラウス・アーノンクール
ハイドン:交響曲第82番「熊」、第83番「めんどり」
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
スメタナ:モルダウ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
モーツァルト:交響曲第15番、第25番、メヌエットとトリオK.409
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
バルトーク:ディヴェルティメント
ヨーロッパ室内管弦楽団

ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」/ワーグナー:ローエングリンより第1幕への前奏曲/チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」/グノー:ファウストよりワルツ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ワーグナー:パルジファルより第1幕への前奏曲
J.シュトラウス:こうもり序曲
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
ビゼー:カルメンより第1幕への前奏曲
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

セルゲイ・クーセヴィツキー
ハイドン:交響曲第102番/モーツァルト:交響曲第34番/シューマン:交響曲第1番「春」/チャイコフスキー:交響曲第4番/ムソルグスキー:展覧会の絵
ボストン交響楽団

ラファエル・クーベリック
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」/シューマン:マンフレッド序曲/ワーグナー:ジークフリート牧歌/ブルックナー:交響曲第3番
バイエルン放送交響楽団

ジェイムズ・レヴァイン
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第2番
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
シカゴ交響楽団
シューマン:交響曲第2番
フィラデルフィア管弦楽団
モーツァルト:魔笛序曲
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴェルディ:アイーダより前奏曲
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
ベッリーニ:ノルマ序曲/マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
エルガー:エニグマ変奏曲
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ユージン・オーマンディ
チャイコフスキー:交響曲第5番/レスピーギ:ローマの松/バーバー:弦楽のためのアダージョ/プロコフィエフ:交響曲第1番、交響曲第5番/ガーシュウィン:ラプソディインブルー
フィリップ・アントルモン(pf)フィラデルフィア管弦楽団

サイモン・ラトル
ハイドン:交響曲第86番
マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
バーミンガム市交響楽団
ホルスト:組曲「惑星」
フィルハーモニア管弦楽団

フリッツ・ライナー
ハイドン:交響曲第88番/R.シュトラウス:ドン・ファン、ツァラトゥストラはかく語りき/グリンカ:ルスランとリュドミラ序曲/レスピーギ:ローマの松/マーラー:交響曲第4番
リーザ・デラ・カーザ(Sop)シカゴ交響楽団

ヘルマン・シェルヘン
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」/ブラームス:交響曲第1番/ラヴェル:ボレロ/ライネッケ:「ドンナ・ディアナ」序曲
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
モーツァルト:ピアノ協奏曲第15番
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(pf)スイス・イタリア語放送交響楽団
ベートーヴェン:交響曲第8番/ストラヴィンスキー:「火の鳥」組曲
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

レオポルド・ストコフスキー
J.S.バッハ(ストコフスキー編):トッカータとフーガ BWV.565
ロンドン交響楽団
ヘンデル:王宮の花火の音楽/スメタナ:売られた花嫁序曲
RCAビクター交響楽団
ビゼー:交響曲第1番、アルルの女第1組曲
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
ワーグナー:タンホイザーより序曲とバッカナール
シンフォニー・オブ・ジ・エア
リムスキー=コルサコフ:シェエラザード
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

ジョージ・セル
モーツァルト:交響曲第40番、アイネ・クライネ・ナハトムジーク/シューマン:交響曲第4番/ベートーヴェン:交響曲第4番/メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」/チャイコフスキー:イタリア奇想曲
クリーヴランド管弦楽団

アルトゥーロ・トスカニーニ
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」、第5番「運命」/ロッシーニ:ウィリアム・テル序曲/ヴェーバー:オイリアンテ序曲、オベロン序曲/ワーグナー:ローエングリンより第3幕への前奏曲、トリスタンとイゾルデより前奏曲と愛の死
NBC交響楽団

ブルーノ・ワルター
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」/ブルックナー:交響曲第9番
コロンビア交響楽団
マーラー:交響曲第2番「復活」
ニューヨーク・フィルハーモニック

ギュンター・ヴァント
ブラームス:交響曲第3番
北ドイツ放送交響楽団
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
ブルックナー:交響曲第5番
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ボーナスDVD (PAL)
こちらのDVDはPAL方式です。通常のNTSC方式のDVDプレーヤーでは再生することができません。


ベートーヴェン:交響曲第5番より第1楽章
トスカニーニ指揮、NBC交響楽団
シューベルト:交響曲第8番「未完成」より第1楽章
フルトヴェングラー指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ホルスト:惑星より木星
オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団
ベルリオーズ:幻想交響曲より第1楽章
バーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック
ブルックナー:交響曲第8番より第1楽章
チェリビダッケ指揮、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
ドビュッシー:夜想曲より祭り
ブーレーズ指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ブラームス:交響曲第2番より第1楽章
ヴァント指揮、北ドイツ放送交響楽団
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」より終楽章
アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 今回取り上げるヘルマン・シェルヘンはどうかというとこんな曲目が収録されています。今回はこの中から1枚めのCDを取り上げます。

 

曲目/

ハイドン:交響曲第100番「軍隊」

1. Adagio. Allegro     6:19    
2. Allegretto     7:36   
3. Menuetto (Moderato)     5:14 
4. Finale (Presto)     4:05

演奏/ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1958/07

モーツァルト:ピアノ協奏曲第15番

5. Allegro     10:09
6. Andante     5:15  
7. Allegro     7:57   

ピアノ/アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェロ

演奏スイス・イタリア語放送管弦楽団 1956/06/21 ルガーノ
ベートーヴェン:交響曲第8番

8.アレグロ・ヴィヴァーチェ    8:26

9.アレグレット・スケルツァンド 3:54

10.メヌエット  4:36

11.アレグロ・ヴィヴァーチェ 6:31 

演奏/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1954/09/23-30

12.ライネッケ:「ドンナ・ディアナ」序曲   5:36

演奏/ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1957/06

 

指揮/ヘルマン・シェルヘン

録音/クルト・リスト

 

SONY 88697 375782

 

 

 このセットでは唯一色々な音源からソースをかき集めています。まず、最初のハイドンは米ウェストミンスターに録音したものです。ただし、これはれっきとしたステレオ録音です。シェル編は50年代にロンドンセットを中心に19曲の録音を残しています。このロンドンセットの12曲は世界初の全曲録音となったものです。ここではウィーン国立歌劇場管弦楽団と表記されていますが、実態はフォルクスオパー管弦楽団主体の臨時編成のオーケストラだったようです。ここではハイドンということでそれほど大きな編成では演奏されていません。ただ、それが却ってハイドンにはふさわしいとも言えます。ボックスセットには100番はウィーン響との録音(1950)と記載がありますが、このセットでは明らかにステレオ録音ですから別録音と思われます。

 

 第1楽章からかなりメリハリのはっきりとした演奏で現代楽器による演奏としてはキリッと引き締まっていて好感が持てます。聴きやすいステレオ録音で、中央やや奥にティンパニが定位し、金管は右に、木管は左にまとめられています。典型的なステレオ死予期の配置ですが、この方が弦楽の響きが左チャンネルでまとまって聴くことができるので主旋律がわかりやすいと言えます。

 

 

 次のモーツァルトは録音時期から行ってもモノラルでの収録です。演奏会でのライブの音源です。この時の演奏会ではミケランジェロはもう一曲シューマンのピアノ協奏曲も演奏しています。ミケランジェロは1920年生まれですから、当時はまだ36歳の新進気鋭のピアニストです。そのミケランジェロが2曲の協奏曲を弾くのですからいかに注目されていたかがわかります。まあ、いろいろと話題の尽きないピアニストで、クライバーと同じくキャンセル魔だったようですが、この彼のモーツァルトは珍しいものです。奇しくも、彼はこのルガーノの地で亡くなっています。

 

 

 

 

 レズニックの「ドンナ・ディアナ」序曲もウエストミンスターのステレオ録音です。もともとは「ロマン派序曲集」に収録されていた曲目で、他にはエロルドの「ザンパ」序曲やロッシーニの「ウィリアム・テル」などが収録されていました。中でも一番短い曲がこの「ドンナ・ディアナ」なのでここに採用されたのでしょう。とにかく、シェルヘンはウエストミンスターの看板指揮者として大量の録音を残しています。