ブラバン!名電・イン・ウィーン | geezenstacの森

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ブラバン!

名電・イン・ウィーン

 

曲目/

1.ゴールデン・ジュビレーション    2:27

2.喜歌劇「こうもり」序曲    8:40

3.トリッチ・トラッチ・ポルカ    2:47

4.ポルカ「狩り」    2:32

5.交響詩「ローマの松」よりアッピア街道の松    6:07

6.サモン・ザ・ヒーロー    2:51

7.アメイジング・グレイス    3:53

8.イン・ザ・ムード    2:48

9.A列車で行こう    2:04

10.シング・シング・シング    3:18

11.花は咲く    5:27

12.ハッピー    2:31

13.富士山 ~北斎の版画に触発されて~    9:13

14.ディープ・パープル・メドレー    4:16

15.ラデツキ―行進曲    3:25

 

指揮/伊藤宏樹

演奏/愛知工業大学名古屋電気高等学校吹奏楽団

 

録音/2018/03/25 ムジーク・フェラインザール ウィーン

 

ソニー SICL30045

 

 

 ウイーンのムジークフェラインザールは1977年3月5日に一度だけ訪れてコンサートを聴いています。イルジー・セムコフ指揮のウィーン交響楽団の演奏会で、ヴァイオリンがレオニード・コーガンでベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏しました。この記事はこちらに書いていますが、素晴らしい演奏会でした。そこで、この愛工大名電が演奏会を開催したというから大したもんです。また、それをソニーがライブ録音したというので随分と話題になったCDです。そして、このCDソニーの新しいBSCD2という企画で製造されていることを大きく謳っています。まあ、個人的にはこういうハイスペックCDは世界的に見ても日本だけの現象ですから井の中の蛙的な技術なんでしょう。これが世界標準になればまた違うのでしょうが、そういうことにはならずいい音質を求める人はSACDに向かうのでしょう。まあ、小生のように高周波ノイズが聞こえなくなった耳ではあまり必要な技術とは思えませんなぁ。ただ、価格を上げるだけの方策なような気がします。

 

ムジークフェライン・ザール

 

 さて、このCD録音会場がムジークフェラインザールですよっていうのが売りなんでしょう。一応ライブということになっていますがライブ感が感じられるのは最後の2曲だけです。で、ソニーはこのCDのプロモビデオを作成しています。これはまさにライブの映像を使ってさも全曲がライブの印象を与えていますが、これはちょっと詐欺です。

 

 

 さて、下はインナーに収録されているスナップです。

 

当日のチケットまで写っているスナップ

 

 この写真から見てもわかるように収録はゲネプロの音源を使って制作されていることがわかります。それは演奏を聞いてもすぐわかることで画面左にティンパニが配置されていますが、通常の曲はこの響きがきっちりバランスが取れて収録されています。また、曲目中「アメイジング・グレース」と「花は咲く」は合唱も収録されています。その歌声はなかなかいいレベルで収録されていますが、楽器を演奏しながらのバランスではありません。写真では全員が歌っているように思われます。

 

 上のライブの映像で聴かれるティンパニの響きはどんどこという干支で鳴り響いています。しかし、その他の演奏で収録されている音源ではこのティンパニの音はちゃんとバランスよく響いています。まさにセッションでとられた音であることがわかります。下は凸トップに収録されている十八番の「ゴールデン・ジュビレーション」の演奏です。

 

 

 クラシックの曲はともかくポップス作品では通常ソロの奏者が立ち上がり吹き終わると拍手が入るものですが、それも全くありません。

 

 実際の演奏ではプログラムの後半にあたる第11曲目の「花は咲く」の演奏に先立ち指揮者の伊藤氏よりスピーチがされていたことが解説で書かれています。

 

[[[この曲の演奏に先立ち、伊藤先生はウィーンの聴衆に向けて、オーストリアの公用語であるドイツ語でスピーチをした。それは、「2011年に日本で東日本大震災が起こったとき、オーストリアのウィーン少年合唱団がチャリティーコンサートを行い、収益金を被災地に寄付してくれました。2013年に日本ツアーで歌ってくれた《花は咲く》は、災害に苦しむ日本人の心を温めました。そのときに受けた支援に対して感謝するとともに、日本人として世界平和を訴えていきたいです」といった内容だった。]]]

 

 CDではただ曲が並べられているだけですが、これも十八番の「ディープ・パープル・メロディ」はライブで演奏されています。ところが本来のコンサートで聞かれるノリはありません。まあ、ウィーンの聴衆がこういう演奏に慣れていないということもあるのでしょうが、本来「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が演奏される部分は手拍子が入るのですが、収録されている演奏にはその手拍子は聞かれません。下が実際のライブでの名電の圧倒的バフォーマンスです。このパフォーマンスがあるからライブは楽しいのです。

 

 

 ということで、のCDは個人的にはちょっと消化不良の演奏というイメージです。ブラバンの演奏は是非ともコンサートにお出かけください。