コレギウム・アウレウムのナハト・ムジーク | geezenstacの森

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コレギウム・アウレウムのナハト・ムジーク

 

曲目/モーツァルト

1.セレナード 第12番ハ短調KV388「ナハト・ムジーク」 25:24

2.セレナード 第11番変ホ長調KV375   25:48

 

演奏/コレギウム・アウレウム合奏団員

Bassoon – Peter Mauruschat, Werner Mauruschat

Clarinet – Hans Deinzer, Hermut Gieser

Horn – Erich Penzel, Heinrich Alfing

Oboe – Hans-Georg Renner, Helmut Hucke

 

録音/1969年、キルヒハイム、フッガー城糸杉の間

 

テイチク ULS-3130-H(原盤ドイツハルモニア・ムンディ)

 

 

 コレギウム・アウレウムの第2弾です。これも「ウィーンの笛時計賞」を受賞した名盤です。で、当時なぜこれらのセレナードのレコードを購入したかと言えばこれも管楽のためのセレナードだったという理由があります。すなわち、セレナードの10番から12番はすべて管楽のための編成のセレナードで、モーツァルトはこの3曲以外管楽のためのセレナードを書いていません。

 

 オリジナル楽器による合奏団の草分け的存在だったコレギウム・アウレウム。作曲当時の演奏様式を忠実に再現しようとする今日の古楽器団体の演奏と比べると折衷的なのですが、そのふくよかでゆったりとした佇まいに心地良さを覚える人も少なくないはずです。第11、12番とともに、ピリオド楽器による自然で素朴な音色が、モーツァルト時代の祝典や社交の場を彷彿とさせてくれます。

 

 現在は古楽器による当時の演奏形態と様式を研究しての演奏が主流となっているようにも思われますが、そこではかなり速いテンポでの演奏が主流になっています。このコレギウム・アウレウム合奏団はその走りともいうべきものですが、ここで演奏されているテンポはまだ、優雅さが優先される時代の演奏様式で演奏されています。この演奏も管楽合奏ですから指揮者を置いていませんし、当時としては、モーツァルトの時代のスタイルに出来る限り戻した学究的なものとして提示されたとおもわれ、そういう点も評価され先の「ウィーンの笛時計賞」を受賞したのでしょう。

 

 当時の演奏者の顔ぶれは上記に記していますが死よ出自のレコードジャケットにはその顔ぶれの写真が掲載されていました。また、日本版のジャケットには録音は1970年となっていますが、ドイツでの初出は1969年ということなので修正してあります。

 

 

  演奏される機会は12番の方が多いということで、ここでは12番の「ナハト・ムジーク」がA面に来ています。ここで演奏される「ナハト・ムジーク」は異次元です。第1楽章のテンポ指定はアレグロですが、実際の店舗はアレグロ・モデラートで非常にゆったりとしたテンポで演奏されています。現代の小書きでの演奏は指示通りのアレグロで少々早歩き的テンポで小生には落ち着きが感じられません。多分今まで聴いてきた中では一番ゆったりとしたテンポでしょう。で、これで刷り込まれましたからこれがこの曲のディフェクトスタンダードです。この音源についてはYouTubeでも上がっていません。一番テンポの近い演奏は下記のイタリア・オクテットでしょうか。

 

Ottetto Italiano

 

 これを古楽器で演奏しているのですから気分はバロック時代にタイム・スリップです。録音もコレギウム・アウレウムの本命と言われるフッガー城の糸杉の間です。いい音がしています。1970年代の時代の風を感じる演奏です。この何ともノーブルな響きは後に続くホグウッドやピノックも遠く及びません。

 

 さて、下はロンドン管楽ソロイストの演奏する「ナハトムジーク」です。1963年の録音でこれも古き良き時代を感じさせてくれます。