コレギウム・アウレウム 「グラン・パルティータ」 | geezenstacの森

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コレギウム・アウレウム

「グラン・パルティータ」

 

曲目/モーツァルト

セレナード第10番変ロ長調KV.361「グラン・パルティータ」

第1楽章 ラルゴ - モルト・アレグロ 変ロ長調 11:16

第2楽章 メヌエット 変ロ長調 10:14

第3楽章 アダージョ 変ホ長調 5:58

第4楽章 メヌエット アレグレット 変ロ長調 6:12

第5楽章 ロマンツェ アダージョ 変ホ長調 7:18

第6楽章 主題と変奏 アンダンテ 変ロ長調 11:03

第7楽章 フィナーレ モルト・アレグロ 変ロ長調 

 

演奏/コレギウム・アウレウム合奏団員

 

録音1972/06  シュヴェツィンゲン城、狩の間

 

テイチク  ULS−3131-H  (原盤 BASF deutsche harmonia Mundi)

 

 

 ドイツ・ハルモニア・ムンディレコード時代にはバロック音楽を大衆に広めるのに非常に貢献したレーベルでした。エラーとも功績面ではややきいのですが、オリジナル楽器を使った、要するにピリオド楽器による演奏ということが大きな味噌でした。そのレーベルが1970年代前半テイチクから発売された時は狂喜しました。当初はドイツの化学メーカー「BASF」が関与していたのもおおきかったとおもいます。日本でもちょうど風っとが普及し始めていた頃で、カセットテープのメーカーとしては最古参でした。日本ではまだ、TDKやマクセルもようやくカセットを発売し始めた頃で、小生も最初期はこの「BASF」のカセットを利用していました。そういう信頼があったのもこのレーベルを支持した背景にあります。今ではハルモニア・ムンディといえばフランス・ハルモニア・ムンディのことを指しますが、当時はこのドイツ・ハルモニア・ムンディしか知りませんでした。そのハルモニア・ムンディには以下の歴史があります。

 

 

 1950年代、フランス人のベルナール・クータとドイツ人のルドルフ・ルビーという2人の音楽起業家が列車の旅で偶然出会い、音楽への興味に基づいた友情を築き始めました。彼らはビジネス関係を築き、どちらもHarmonia Mundiという名前の2つのクラシック音楽のレコードレーベルを設立しました。 1958年、フランスのサン=ミシェル=ド=プロヴァンスに、クータのハルモニア・ムンディ(フランス)が設立され、同時期にルドルフ・ルビーがドイツ・ハルモニア・ムンディを設立しました。 2 つのレーベルは同様の目的を共有し、学術的かつ歴史的知識に基づいた演奏と高品質のサウンドおよび制作価値を重視して、アーリー音楽とバロック音楽の録音を専門としていました。彼らは商業的な理由からハルモニア・ムンディの名を共有し、長年にわたり協力し、アーティスト、素材、配給を共有し、デッカのオワゾリールやドイツ・グラモフォンのアルヒーフ・プロダクションなどのクラシックレーベルと競争して成功を収めていきます。そのドイツのハルモニア・ムンディのバックに「BASF」が資本参加したのです。ただ、ほどなくして、「BASF」はてをひき、その後EMIが世界配給に乗り出しますが、これも軌道に乗らず、やがて、ベルステマングループのBMGの翼下に入っていきます。ただ、フランス・ハルモニアムンディは早くからアメリカにも支店を持っていたことからアメリカでは独自のレーベルとして展開できず、RCAレーベルから

廉価版のVICTROLAレーベルを通して音盤が供給されていました。で、その流れの中で当然現在はソニー・グループの一員になっているということになります。日本では定地区が発売権を持っていましたが、契約が切れると東芝EMIから一時発売されていました。それも世界的流れの中でやがたBMGから発売されるようになっていきました。

 

 さて、そんな紆余曲折したレーベルですが、このレーベルの看板だった「コレギウム・アウレウム」を世に送り出したのはテイチクの功績でした。キャッチフレーズとしては、コレギウム・アウレウム合奏団は、作曲当時の楽器を使い、指揮者なしで演奏するということで有名になりましたが、時代と共に楽器の奏法や楽譜の読みなど、さらに踏み込んだピリオド演奏が多く出現したので、今となっては中途半端な存在になってしまいました。ただ、当時としてはこの演奏から聴こえてくる古楽器の典雅な響きと、あまり神経質にならない伸びやかさが耳を楽しませてくれます。まあ、そんなことで個人的にはミッドプライスで発売されたハルモニア・ムンディは当時かなり収集しました。このレコードもその中の一枚です。

 

 ところで、この曲のレコードを最初に購入したのはヨッフムの指揮するバイエルン放送交響楽団団員による演奏でした。その当時は「グラン・パルティータ」というよりも「13管楽器によるセレナード」でした。このレコードには「グラン・パルティータ」ではなく「SERENADE FOR  13 WINDS」とタイトルされていて、まさに13管楽器の演奏でした。これはこれで素晴らしい演奏で愛聴盤です。でも、廃盤になって久しいですなぁ。

 

その楽器編成は次のとおりです。

 

オーボエ×2

クラリネット×2

バセットホルン×2

ホルン×4

ファゴット×2

コントラバス(※)

 

ということで、ここでもコントラバスによって演奏されています。「13管楽器」ではないんですなぁ。上のヨッフムの演奏は正真正銘コントラファゴットで演奏されていますから、その場合は13管楽器になるのだそうです。まあ、そういうことで、この演奏も13管楽器はカッコが記され、「グラン・パルティータ」となっているわけです。

 

 この演奏時々引っ張り出して聴いていますが、1970年台の古き良き時代を偲ぶまったりとした演奏で気に入っています。何しろ響きが優雅でテンポも遅めの設定になっているのでまったりとした気分で音楽に浸ることができます。特に5゛口称などはこの店舗でないとこの曲を聴いた気がしないと思うほどです。

 

 アルバムデザイン変わっていませんが、下の音源では左上に「BASF」のロゴが入っていて、初期のアルバムだということがわかります。