音楽を楽しむ会-ゆく年を送る音楽 | geezenstacの森

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音楽を楽しむ会

ゆく年を送る音楽

 

 

 

 先月は参加できませんでしたが今月はまた休みが取れましたので豊明まで出かけました。まあ、年末ということで「ゆく年を送る」というのが今月のテーマでした。12月は年末ですが、その前にクリスマスがあるということで、今月の前半はプッチーナのオペラ「ラ・ボエーム」から第2幕のクリスマスのシーンが選ばれていました。

 

 この曲のタイトルの「ラ・ボエーム」というのは,「La(定冠詞)+Boheme(ボヘミアン的生活)」です。ボヘミアンというのは,元々はボヘミア地方(現在のチェコの北西部)出身のジプシーを指していましたが,1830年頃パリに集まったその日暮らしの貧乏な芸術家を総称して呼ぶ言葉になりました。日本語のタイトルでは「ボエーム」と表記されることもあります。

 

 このオペラは,貧乏な若者たちが主人公です。いわゆる「青春群像モノ」で,現代の聴衆が見ても違和感なくストーリーの中に入っていくことができます。プッチーニ自身,若い時代に貧乏なボヘミアン的な生活をしていたことがあります。その時は,「カヴァレリア・ルスティカーナ」などで有名なマスカーニと下宿を共にして苦学していました。その時の経験がこの曲の中にも反映しているようです。

 

 第2幕はクリスマスイブの夜。カルチェラタンの通りは芸人や物売りなどで大混雑しています。ルドルフォはミミに薔薇色のボンネット(クフィエット)を買ってやり、マルチェッロらとカフェ・モミュスで合流します。

 

そこにパトロン、アルチンドロをお供に連れたマルチェッロの元恋人、ムゼッタがやってきます。マルチェッロに未練のある彼女は「私が街を歩けば」を歌って彼を挑発し、結局マルチェッロとムゼッタはよりを戻します。ムゼッタはアルチンドロを体良く追い払い、彼らの勘定書をアルチンドロに押し付けてその場から逃げ出す。

 

 とまあ、こういうシーンです。このオペラ、実は1896年に当時29歳だったアルトゥーロ・トスカニーニの指揮でトリノで行われています。ということでこの日はトスカニーニの特集にもなっていました。下は上演時のものとは違いウクライナ・ドネツクオペラの映像ですがカルチェラタンの喧騒と賑やかさを感じ取ることができます。

 

 

 第1ぷの蓄音機の時間では最初にビーチャム/ロイヤルフィルの演奏で1947年録音のオラトリオ・メサイヤからハレルヤコーラスが演奏されました。まあ、ビーチャムのメサイヤは3度ほど録音を残していますから、この曲の紹介にはもってこいの指揮者でしょう。

 

 

 プログラムにはありませんが、蓄音機ではもう一曲、ロッテ・レーマンの歌う「アヴェ・マリア」が掛かりました。こちらは1929年の録音でマンフレッド・グルリット指揮のオーケストラのバックがついています。

 

 

 後半はトスカニーニ指揮NBC皇居ぅ楽団の演奏によるベートーヴェンの第九の全曲が演奏されました。この会で大工が全曲演奏されるのは初めてのことだそうです。それも、1947年の映像で残る第九の初めての映像ということです。バックにNBC放送がついていたから実現した快挙のようです。当時は、トスカニーの演奏はテレビとラジオで同時生放送されていたようです。ただ、テレビの音声は貧弱だったそうで、ラジオ放送の音源を映像とシンクロさせてこの映像が公開されたさうです。会ではオリジナルのもの録音で上映されましたが、ネットで探すとそのステレオ録音ものがアップされていましたのでそちらを貼り付けてあります。いわゆる擬似ステレオというものですが、個人のレベルでもこれだけのことができるんだなぁと感心しきりです。収録されたNBCの8Hスタジオはデットな音で評判ですが、ステレオプレゼンスが追加されるとなかなかの音質です。

 

 ところでこの8Hスタジオステージは横幅の割に奥行きがありませんでしたが、観客席は2階席もあり1,200名を超える聴衆も着席できたそうです。ただホールとしての奥行きは23.5メートルしかありませんでした。元々がラジオの収録スタジオでしたからコンサートを開催するにはちょっと無理があったんでしょうなぁ。

 

 

2階席からの眺め

 

調整卓の位置

 

 さて、そのステージに合唱団まで乗るのですからいささかオーケストラの配置は変則的になります。映像で確認すると第1ヴァイオリンは左、その横にチェロ、後ろにコントラバス右側にヴィオラと第2ヴァイオリンです。正面は木管群で右手に金管とティンパニが配置されているのがわかります。それを踏まえてこの擬似ステによる演奏を聴くとなかなかの音質であるということがわかるのではないでしょうか。

 

 また、現代はピリオド楽器全盛の演奏のせいでアップテンポの演奏が主流になっていますが、時代はトスカニーニを待っていたかのような気がしないでもありません。

 

 

さて、この音楽を楽しむ会、自然のスケジュールが発表されていました。来年も極力参加したいと考えています。

 

 豊明図書館の1階では絵画展が開かれていました。コンサート後ここでいい絵だなぁと感心して見ていると、会に参加していた人から、これは解説していた高山さんの奥さんの絵ですよ、と教えてくれました。下がその作品です。色使いとタイトルがマッチングしています。