額縁の向こうのフランス
ー心惹かれる芸術の地ー
もう間も無く終了しますが、メナード美術館で開催している「 額縁の向こうのフランス展」に出かけてきました。さすが、23日で終了ということで今まで見たことのない人出で賑わっていました。24日からは次の展示のために休館になるということもあるんでしょうなぁ。
この展覧会は、メナード美術館のコレクションからセザンヌやマティス、ブラックといったフランスの美術作品、さらに藤田嗣治や佐伯祐三らフランスに学んだ日本出身の作家たちの作品を、絵画を中心に約80点ご紹介するものです。時代を力強く生きる女性たちとその装い、街や農村・避暑地の風景、また20世紀に起こったフォーヴィスムとキュビスムという美術革命などをテーマに、フランスという国とそこで展開された芸術をお楽しみいただきます。この展覧会は次の四つのシーンで構成されていました。
現在、日本からフランスへ行くには飛行機で半日ほどですが、岡田三郎助が第一回文部省留学生としてこの国に渡った1897年には、船で1ヶ月以上もかかりました。フランスはまさに遠く離れた異国の地だったのです。しかし、この遠い地へと渡り、芸術の精神(エスプリ)を感じ、自身のものとしようとした日本人は多く、藤田嗣治によれば1920年頃のパリには500人もの日本人芸術家がいたといいます。少しオーバーに語られているとしても、洋画家たちの経歴をみれば、その多くがフランスへと留学したことがわかります。
「L’Étranger-異国の地で出会った美術」では、岡田や藤島武二、高村光太郎といった第一次世界大戦以前にフランスへと渡った作家たちから、最盛期1920年代の藤田や佐伯祐三、第二次世界大戦後の金山康喜、そして現在もフランスで制作を行う鈴木宗樹まで、フランスへと渡り美術を学んだ日本人の作家たちの作品が紹介されていました。この中で初公開されたのが鈴木宗樹の作品でした。
鈴木宗樹 (1955-)
《Le paradigme de la transparence. 23. T. T. -1》
制作年:2023年
形質:アクリル絵具、アクリル板
サイズ:径87.0cm
愛知県立芸術大学で油彩画を専攻した鈴木宗樹(名古屋市出身)は、1990年にフランスに渡り、現在はベルサイユに在住して制作を行なっています。フランス語で「透明性の在り方」
次の展覧会は10月5日からで、今年のテーマである「歳時記」の秋・冬片が公開されます。