勝利への讃歌〜死刑台のメロディー | geezenstacの森

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勝利への讃歌

死刑台のメロディー

 

 エンニオ・モリコーネが音楽を手がけた「死刑台のメロディ」4Kリマスター・英語版と、日本初公開となる「ラ・カリファ」が、「エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2」と題し、4月19日より新宿武蔵野館ほかで公開されています。残念ながら中部地方は遅れているようでこのリバイバル上映は行われていません。一番近いのは京都でしょうかねぇ。シネマコンプレックスもいいですが、こういう名画を上映するミニシアター文化は名古屋では根付かないものですなぁ。ヘラルドが今でもしっかりと残っていればなぁと思ってしまいます。

 

 

 

 2020年に逝去した映画音楽界の巨匠モリコーネは、91年の生涯で500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手掛けた。23年にはジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」が劇場公開され話題を集めました。3月22日からは、出世作である「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」の“ドル3部作”が4Kで劇場リバイバルされています。まあ、ちょっとしたモリコーネブームですな。

 

 「死刑台のメロディ」は、1920年代にアメリカで実際に起きた冤罪事件「サッコ=ヴァンゼッティ事件」の人種的、思想的差別と偏見に満ちた裁判を描いた作品です。リカルド・クッチョーラが、迫真の演技で71年度カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞しています。モリコーネが音楽を担当し、主題歌(「勝利への讃歌」)と挿入歌(「サッコとヴァンゼッティのバラード」)をジョーン・バエズが歌っています。1920年代にアメリカで実際に起きた冤罪事件「サッコ=ヴァンゼッティ事件」。その人種的、思想的差別と偏見に満ちた裁判の一部始終を、ジュリアーノ・モンタルド監督が冷徹に映画化。サッコ役のリカルド・クッチョーラが迫真の演技で、1971年度カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞しています。

 

 

 単純なメロディラインですが、オルガンの火キー引きと共にミニマル的に繰り返されることによって耳に残ります。公開当時はそれほど話題になりませんでしたが、この主題曲だけは大ヒットしました。ということで、時代はイージー・リスニングの全盛期です。色々なアーティストがこの曲をカバーしました。その中でも代表的なのがレイモン・ルフェーブルとポール・モーリアでしょう。ルフェーブルはピアノとオルガンを使って重厚なイントロで序奏部を作り、その後、お得意のストリングスでメロディラインをくっきりと描いています。特徴は金柑の扱いで、特にトランペットがバロックトランペットよろしくハイトーンで独特の旋律で響きます。日本では初出時はキングから、『マミー・ブルー』 KING GP-63として発売されています。ただ、曲目は同じながら曲順は変えられていました。

Side A
(1)マミー・ブルー (2)愛のために死す(炎の恋) (3)恋の悲しみ(おばかさん) (4)恋の乙女 (5)めざめの季節 (6)青春に乾杯
 
Side B
(1)勝利への讃歌 (2)華麗なる大泥棒 (3)月光のソナタ (4)大空に踊る(ウイ・シャル・ダンス) (5)ジョー (6)ベニスの別れ

 

 

オリジナルのフランス盤は下のデザインでした。

Face A ◆ (1) マミー・ブルー (2) 恋の悲しみ(おばかさん) (3) 愛のために死す(炎の恋) (4) 恋の乙女 (5) めざめの季節 (6) 青春に乾杯
Face B ◆ (1) 華麗なる大泥棒 (2) 勝利への讃歌 (3) 月光のソナタ (4) ベニスの別れ (5) 大空に踊る(ウイ・シャル・ダンス) (6) ジョー

 


 当時は「マミー・ブルー」が一番ヒットしていたんでしょうなぁ。

 

 さて、ポール・モーリアは冒頭にこの曲の歌詞を朗読させています。ティンパニの打ち込みによる厳粛な雰囲気の中ハミングコーラスでメロディラインを提示し、その後オーケストラが登場してきます。こちらはドラムスのリズムラインに乗っていますのでやや曲調は軽く感じます。ただ、中間部ではオルガンの響きも取り入れているので原曲の雰囲気も多少残しています。こちらも初出時はやはり、「マミー・ブルー」を全面に押し出していました。しかし、ポール・モーリアは「死刑台のメロディ」のタイトルを優先しています。そう、曲は「勝利への讃歌」なのですが、映画としては「死刑台のメロディ」だったんですな。

 

 

 

 そして、下は作曲者のエンニオ・モリコーネが晩年オーケストラを指揮して録音したライブの音源です。

 

 

 下は、マイナーですが「シネマサウンド・オーケストラ」の演奏です。ぼうとうはオルガンとピアノを重ねてルフェーブルの雰囲気を出していますが、その後は小編成による安っぽい演奏になっています。

 

 

 まあ、レイモン・ルフェーブルとポール・モーリアの演奏が日宇碧で、後はどんぐりの背比べみたいな演奏ですな。

 

 

 

 

 

 

 

The Wester Band

 

 この曲については、下の記事でも取り上げています。