今年最後の演奏会 | geezenstacの森

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今年最後の演奏会

椙山フィルハーモニーオーケストラ

第56回定期演奏会

 

アンコール

1.ハチャトゥリアン/仮面舞踏会「ワルツ」

2.エルガー/「威風堂々」第1番

 

 

 

 今年も最後は杉山フィルハーモニーの演奏会となりました。そしてここでも鳳は出社コビッチの交響曲第5番でした。しかし今回のプログラムで1番興味深かったのは2曲目に演奏された伊福部昭の「SF交響ファンタジー第1番」でした。

 

 最初はこのコンサート仕事の都合で行くことができなかったのですが、都合よく仕事の当番の変更の依頼が来たので、何とか行くことができました。会場はいつもになく熱気があり、プロのオーケストラ顔負けのほぼ満員の盛況した。

 

 写真を見てもわかるようにステージ上はフルメンバーの120人の編成です。これで冒頭もシベリウスのフィンランディアはちょっと異様な雰囲気でした。リハーサルは多分入念に行われたとは思うのですが、管のピッチに比べて弦のピッチは揃っていません。そんなことでチューニングの響きは良かったのですが、アンサンブルになると立ちどころにピッチが乱れ弦が濁ってしまっていました。こういう点を考えると、あまり編成が大きいと言うのも考え物でしょうか。

 

 編成は第一バイオリン6プルト、ビオラまで6プルトと言う凄まじい編成でコントラバスは8本もありました。シベリウスもここまで編成が大きいと音のバランスが非常に難しいようで、通常聴くフィンランディアの演奏とはかなり違った印象になりました。

 

 反対に2曲目のSF交響ファンタジーは、ゴジラの咆哮から始まるようにどちらかと言うと不協和音の連続です。そのため、アンサンブルの乱れとかピッチの乱れはほとんど気になることがなく、凄じい大音量のゴジラが吠えまくりました。これは選曲の勝利でしょう。金管もここまで分厚いといっしゅの爽快感が先に出ます。こういう曲はやはり大編成の方が聴き応えがあるようです。

 

 後半のプログラムこの大編成で演奏されましたが、ショスコーヴィチはここまでの編成を考慮していなかったのでしょうか、やはり全体のバランスがいつも効くこの曲のハーモニーとは違って聞こえました。ソロバイオリンとかは非常に美しい響きなのですが、これが合奏になると、やっぱりピッチの乱れが気になってしまいます。こういうところがプロとの差なんでしょうか?ホールもお客さんがたくさん入りすぎて、温度が上昇し、そのせいもあってかピッチが乱れたのこともあるのでしょう。一応チューニングはするのですが、基本の音だけでチューニングをしますので、その他の音については、どうにもバランスが崩れていたように思います。チェリビダッケはこのチューニングだけで何時間もかけると言う話がありましたけども、それほどチューニングはやはり大事なのでしょう

 

 さて、この曲の聴きどころは第4楽章のテンポです。最近は冒頭はゆっくりとそしてだんだん早くなると言うのが常道のようで、今回もそういうメソッドに乗っ取った演奏が展開されました。1990年代のショスタコーヴィッチの証言以降は、こういう解釈が定番になってきています。第4楽章は比較的アンサンブルもまとまり、コーダに向かっての盛り上がりもかなり高揚感がありました。

 

アンコールは、このオーケストラの定番のようなハチャトリアンの仮面舞踏会と、エルガーの威風堂々第1番でした。こういう演奏は手慣れたものなのでしょうか、今日聴いた中では、1番まとまりのある演奏で音楽が大きくうねりを持って会場を包んでいました。

 

 

 

 1年に1回の定期演奏会で、毎年メンバーが入れ替わるということでは、レベルの維持はかなり難しいのでしょうが、せめてチューニングの音合わせだけはきっちりしてもらいたいなぁというのが今日の演奏会の感想でした。ただ、最後が「威風堂々」ということで、プロムスラストナイトのような気分になり、年末を感じることができました。