星条旗よ永遠なれ/スーザ・マーチ集 | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

フィップ・ジョーンズ・アンサンブル

星条旗よ永遠なれ/スーザ・マーチ集

 

曲目/

1.忠誠[3:13]

 2.ガイド・ライト[2:00]

 3.キング・コットン[2:38]

 4.雷神[2:26]

 5.コーコラン・キャデッツ[2:47]

 6.エル・カピタン[2:12]

 7.闘牛士[2:42]

 8.ワシントン・ポスト[2:25]

 9.オン・パレード[3:05]

 10.戦友[2:25]

 11.自由の鐘[3:23]

 12.ディレクトレート[3:21]

 13.選ばれた花嫁[2:18]

 14.自由の精神に万歳[3:13]

 15.星条旗よ永遠なれ[3:23]

 

指揮/エルガー・ハワース

演奏/フィリップ・ジョーンズ・アンサンブル

 

録音/1983/06 キングスウェイ・ホール

P:クリス・ハーツェル

E:サイモン・イードン

 

ポリドール LONDON L28C−1745

 

image

 

 小生がクラシック音楽と出会ったのは行進曲が最初でした。それも父親が買ってきたポータブルレコードプレーヤーにソノシートの行進曲集のアルバムでした。父親は戦時中軍隊でトランペットを吹いていたと聞いていましたから、その流れで吹奏楽が聴きたかったのでしょう。もちろんポータブルのプレーヤーはモノラルでしか聴けませんでした。でも、きびきびとしたリズムで演奏される行進曲は子供心に音楽の素晴らしさを目覚めさせてくれました。その中でもマーチ王と言われるジョン・フィリップ・スーザの曲はどれをとっても健康的で明るくメロディも親しみやすいものが多かったので一番聞き込んでいたと思います。

 

 このアルバムには含まれていませんが、スーザの作品の中で一番好きだったのは「士官候補生」という曲です。こんな曲です。この曲が週路サークされていれば最巨なアルバムだったんですけどねぇ。残念!!

 

 

 さて、このアルバムには都合15曲も収録されています。手持ちはLPですがCDになってもそのままアルバムになっています。録音自体はデジタルですから既にCDを見越して死ュゥ録していたんでしょうなぁ。LP時代なら12曲止まりですからねぇ。トップは「忠誠」です。この曲も好きな曲の一つです。曲のタイトルはアメリカ大統領直属の海兵師団のモットー「不断の忠誠」から撮られているもので、スーザが海兵軍楽隊の楽長を務めていた1888年に発表されています。典型的なABA形式の曲でAメロも Bメロも親しみやすいメロディで作られています。 

 

 

 次の「ガイド・ライト」はこのアルバムで初めて耳にした曲です。何しろスーザは生涯で140曲以上の行進曲を書いていますからその全てを知っているわけではありません。

 

 

 

「キング・コットン」はその名のように綿花の中心地ジョージァ州アトランタでで1895年に開催された「綿花産出州博覧会」のために書かれた公式更新曲だ多様です。言うなればジョン・ウィリアムズのオリンピック行進曲みたいなものだったわけです。

 

 

 「雷神」もよく聴かれる曲ですが、最近はパレードでもこういう行進曲はなかなか演奏されなくなって寂しい限りです。ここでのフィップ・ジョーンズ・アンサンブルは通常より早めのテンポで演奏しています。こんなテンポで更新したら多分足がもつれてしまいます。

 

 

 「コーコラン・キャデッツ」もそうそう演奏される曲ではありません。依頼作曲された作品で少年たちのドリル・チームのために作曲したものです。バトンドリルするシーンが思い浮かぶメロディです。

 

 

 「エル・カピタン」もスーザを代表する曲ですからどこかで耳にしたことがあるでしょう。実はスーザはオペレッタもいくつか書いていて、この曲は元々はその同名の喜歌劇で男性合唱曲として作られたのが元になっています。

 

 

 「闘技士」とタイトルされていますが、そのまま英語読みすれば「グラディエーター」ということでローマ時代の円形劇場で戦う戦士たちの入場行進曲のことです。

 

 

 「ワシントン・ポスト」も同名の新聞の創立80周年の記念事業のために作曲されたものです。

 

 

 ここからはB面の曲ですが、冒頭の「オン・パレード」はあまり知られていません。これもオペレッタの「ライオン使い」のために書いた曲です。ただ、聴いてみると中々の佳曲です。

 

 

 「戦友」はやっつけ仕事的に在郷軍人会の依頼で書いた曲です。マーチングバンドの標準的なスタイルで書かれています。

 

 

 

 「自由の鐘」はよく聴いた方の作品です。曲名は1776年の独立宣言の時に鳴らされた鐘のことを曲にしています。鐘自体はフィラデルフィアに保存されていますが、曲は1893年にシカゴで開催された「コロンブス・アメリカ対立発見400年記念万博」にヒントを得て作曲されています。

 

 

  「ディレクトレート」1893年のシカゴ万博に関連して作曲された作品です。

 

 

 「選ばれた花嫁」は同名のオペレッタの中で使われた行進曲ですが、これも男声合唱が元になっています。

 

 

 「自由の精神に万歳」はパリに建てられたジョージ・ワシントンとフランスのラファイエット卿を讃える除幕式の式典のために作曲されたものです。このレコードで初めて聴いた曲で、一般には知られていません。

 

 

 最後は一番有名であろう「星条旗よ永遠なれ」でこのアルバムは締めくくられています。

 

 

 スーザの行進曲ばかりを集めたアルバムはあるようで中々ありません。そういう意味でもこれは珍しいアルバムと言えます。知らないスーザの一面を垣間見ることが出来ます。ロンドンの一流どころの関学奏者を集めた豪華な演奏で、マーチを演奏するためにここでは木棺奏者も参加しているところから、わざわざ「ブラス」の文字を抜いて表記されている唯一のアルバムです。そういう意味では非常に豪華な管楽アンサンブルになっています。