レコード芸術1974年2月号 1 | geezenstacの森

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レコード芸術

1974年2月号- 1

 

 

 友人が、お歳暮として新たに1974年のレコード芸術を数冊送ってくれました。食べるものより、こういう知識を触発してくれるものはいいですねぇ。で、その中で一番気になった2月号をとり上げることにしました。下はこの号の目次ですが、特集が何やら興味をそそる内容だったからです。

 

 

 ちょうど50年前の1973年10月17日、中東の石油が手に入らなくなるかもしれないという恐怖(きょうふ)が世界を襲(おそ)い、物価高や不況(ふきょう)が広がりました。高度経済成長を続けてきた日本の転換点にもなった「第1次石油危機(オイルショック)」です。レコード業界も御多分に洩れず石油が原料の塩化ビニールですから直撃を受けています。廃盤になったレコードはレーベル部分をクリ抜き再利用された時代が始まります。この号の記事の「混迷するレコード業界」はそんな業界の内情を暴いています。これにはもう一つ日本ならではの大きな原因もありました。それはこの年の10月28日、信越科学の直江津工場が爆発事故を起こしました。この工場はレコード用のレジンの50%を生産していたのです。レジンを検索してもコードとの関連は見つかりませんが、業界ではレコード盤の材料となる、酢酸ビニールを混ぜた塩ビ樹脂のことをさしているようです。このレジンを生産していたのは日本広しといえどもわずか3社だけで、信越科学50%、日本ゼオン45%、鐘淵化学5%という規模でした。つまり、生産量が半減し、なおかつソニーと東芝の2社は100%信越科学に依存していました。この当時の依存状況です。

日本ビクター ゼオン100%

日本コロムビア 信越科学50%以上

キング 信越科学50%、ゼオン50%

テイチク 日本ゼオン 70-80%、鐘化残り

ポリドール 信越科学40%、ゼオン60%

といった具合でした。また、自社で製造していなかったフォノグラムは100%ビクター、ワーナー・パイオニアは東芝100%、キャニオンはソニー100%依存していました。

 

 このような状況の中、グラモフォンは2月1日からの発売分は新譜の国内プレスはやめて、ドイツからの輸入盤で発売しています。このためタスキと解説書を付けて1枚2500円で発売しています。また、このオイルショックを機にタブルジャケットはシングルジャケットにシフトして行っています。

 

 特集の「インフレの中のレコード価格」では図をふんだんに使い記事を載せています。この記事は興味深いので全掲載します。この表は拡大できます。

 


 

 すでに前年の10月にいち早く日本コロムビアは1000円盤を1200円に値上げしていましたし、レギュラー盤も12月16日にまず東芝とビクターが、続いて21日にコロムビア、74年1月1日にキング、21日にCBSソニーが値上げしました。東芝なんかクレンペラーのベートーヴェンの交響曲全集を本来なら9枚組9000円で出すはずでしたが、急遽10,800円に値上げをしていました。これを受けて、購入予定はしていましたが年末には購入を見送っています。実際に購入したのは手元の記録によると何と昭和51年の2月の20日に購入したことになっています。もう、今となっては時効かもしれませんが当時はレコードを2割引で購入するルートを見つけていましたので、当初の9,000円よりも安い8,640円で購入していました。(^_^;)

 

 この項、続きます。